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心房細動患者に対する脳卒中予防療法における年齢効果
Effect of Age on Stroke Prevention Therapy in Patients with Atrial Fibrillation
結論 心房細動患者が年を取ると,脳梗塞予防のための抗血小板療法の相対的効果は低下するように思われるが,抗凝固療法では不変である。脳卒中リスクは加齢とともに上昇するため,抗凝固療法の絶対的ベネフィットは,患者の加齢にしたがって増加する。

目的 非弁膜症性心房細動患者において,脳卒中リスクは加齢にしたがい上昇するが,脳卒中予防療法の有効性が年齢により変動するかは不明確である。本論文では脳梗塞,重篤な出血,血管イベントに対する抗凝固薬および抗血小板薬の相対的効果を検討する。
方法 本論文はAtrial Fibrillation Investigators databaseの解析。同データベースは,下記の臨床試験をほぼすべて包含している。
対象患者:成人の非弁膜症性心房細動患者*1
治療法:十分量の経口抗凝固薬,抗血小板薬*2,プラセボ/対照のうち2つ以上に無作為割り付け

*1:本解析ではNASPEAF試験の僧帽弁狭窄症患者は除外。
*2:抗血小板薬群の患者は場合により低用量経口抗凝固薬を併用したが,本論文では抗血小板薬単独群と抗血小板薬+低用量warfarin併用群(INR中央値<1.5)を結合して解析した。このため,INR中央値がほぼ2.0であったNASPEAF試験の抗血小板薬+低用量warfarin併用群は,本解析からは除外した。
対象 8932例(抗凝固薬群3430例,抗血小板薬群3531例,プラセボ群1971例)。平均観察期間は2.0±1.2年。
以下の12試験を解析の対象とした。表記は順に平均観察期間。経口抗凝固薬群症例数,同目標INR値。抗血小板薬群症例数,用量(表記のないものはASA)。対照群症例数。
AFASAK1
1.3年。335例,2.8-4.2。336例,75mg。336例。
AFASAK2
1.6年。170例,2.0-3.0。340例,300mg。0例。
BAATAF
2.2年。212例,1.5-2.7。0例,―。208例。
BAFTA
2.7年。488例,2.0-3.0。485例,75mg。0例。
CAFA
1.3年。187例,2.0-3.0。0例,―。191例。
EAFT(抗凝固薬適応)
2.3年。225例,2.5-4.0。230例,300mg。214例。
EAFT(抗凝固薬非適応)
2.2年。0例,―。174例,300mg。164例。
NASPEAF(中等度リスク)
2.4年。232例,2.0-3.0。235例,trifusal 600mg。0例。
NASPEAF(高リスク)
2.3年。91例,2.0-3.0。0例,―。0例。
PATAF(抗凝固薬適応)
3.8年。131例,2.5-3.5。141例,150mg。0例。
PATAF(抗凝固薬非適応)
3年。0例,―。178例,150mg。0例。
SPAF1(抗凝固薬適応)
1.2年。0例,―。0例,―。211例。
SPAF1(抗凝固薬非適応)
1.4年。0例,―。346例,325mg。357例。
SPAF2
2.7年。555例,2.0-4.0。545例,325mg。0例。
SPAF3
1.1年。523例,2.0-3.0。521例,325mg。0例。
SPINAF
1.7年。281例,PTR 1.2-1.5。0例,―。290例。
主な結果 ・加齢の影響
加齢は脳梗塞,重篤な出血,心血管イベントのリスクを上昇させた;脳梗塞(10歳年を取るごとの補正後HR 1.45,95%CI 1.26-1.66,p<0.0001),重篤な出血(同HR 1.61,95%CI 1.47-1.77,p<0.0001),心血管イベント(同HR 1.43,95%CI 1.33-1.53,p<0.0001)。
・抗凝固薬
 抗凝固薬はプラセボに比し脳梗塞および心血管イベントのリスクを抑制した;脳梗塞HR 0.36,95%CI 0.29-0.45,p<0.0001。心血管イベントHR 0.59,95%CI 0.52-0.66,p<0.0001。
 抗凝固薬は重篤な出血のリスクを上昇させた;HR 1.56,95%CI 1.03-2.37,p=0.0366。
 抗凝固薬の抗血小板薬,プラセボに比しての相対的ベネフィットは,すべての転帰について年齢による変動はみられなかった。
・抗血小板薬
 抗血小板薬はプラセボに比し脳梗塞および心血管イベントのリスクを抑制した;脳梗塞HR 0.81,95%CI 0.72-0.90,p=0.0001。心血管イベントHR 0.81,95%CI 0.75-0.88,p<0.0001。
 抗血小板薬の脳梗塞予防についてのプラセボに比しての相対的ベネフィットは,患者の加齢により減少した(p=0.01)。
文献: van Walraven C, et al. Effect of age on stroke prevention therapy in patients with atrial fibrillation: the atrial fibrillation investigators. Stroke 2009; 40: 1410-6. pubmed
関連トライアル ACTIVE A, ACTIVE W, ACTIVE W CHADS2 score, ACTIVE W paroxysmal vs sustained, ATRIA on and off anticoagulants, AVERROES bleeding, BAFTA, CAST-IST, Flynn RW et al, JAST, Lamberts M et al, Lamberts M et al, NASPEAF, ORBIT-AF, Palnum KH et al, Pearce LA et al, PROTECT AF, RE-LY concomitant use of antiplatelet, SPAF I-III 1999, SPAF III 1998, SPORTIF V, Swedish Atrial Fibrillation cohort study, VISTA impact of atrial fibrillation, warfarinによるNVAF患者の脳卒中予防, 心房細動患者における新規抗凝固薬の有効性および安全性
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