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Singer OC et al Risk of Symptomatic Intracerebral Hemorrhage in Patients Treated with Intra-Arterial Thrombolysis
結論 血栓溶解薬動注または静注+動注併用は,静注に比し,症候性脳内出血(SICH)リスク上昇に関連しており,このリスクはベースライン時のパラメーター(年齢,入院時のNIHSSスコア,治療前の拡散強調画像[DWI]梗塞部位体積など)の差違とは独立していた。
コメント 動注血栓溶解療法は静注法に比べて症候性頭蓋内出血発症のオッズ比を高めることを示した多施設研究の後ろ向き解析である。今後動注法の効果や長期的な予後との関連についての検討追加が望まれる。(岡田靖

目的 血栓溶解療法を受けた患者において,投与法別(静注,動注,静注+静注併用)のSICH発症率を比較。
デザイン レトロスペクティブ分析。
セッティング 多施設(10施設),5ヵ国。
期間
対象患者 645例。前方循環脳卒中;症状発現から6時間以内に血栓溶解薬投与;治療前にDWIを含むMRIを実施した患者。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】年齢はSICH非発症群69(57-76)歳,SICH発症群71(61-77)歳。男性54%,56%。入院時のNIHSSスコア13(9,17),17(12,20)(p=0.003)。DWI梗塞部位体積18(7,42)mL,44(15,93)mL(p<0.001)。発症後3時間以内に血栓溶解薬投与49%,55%。(%以外の数値は中央値[最小,最大値]を示す)
治療法 (1)静注:536例。標準的tPA静注(0.9mg/kg)。
(2)動注:74例。血栓溶解薬局所動注(tPA 37例,urokinase 37例)。場合により機械的血栓除去(MERCI retriever,penumbra systemなどの特殊なデバイス使用は除く)を追加した。
(3)静注+動注併用:35例。血栓溶解薬静注+動注併用(tPA 27例,tPA+urokinase併用8例)。場合により機械的血栓除去を追加した。
血栓溶解薬投与後24時間以内は,担当医の判断による血管造影中の低用量heparinを除き,heparinは投与しなかった。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
血栓溶解薬静注は536例,動注または静注+動注併用は109例であった。
全体で44例(6.8%)がSICHを発症した。SICHリスクは静注28例(5.2%)と,動注9例(12.2%)または静注+動注併用7例(20%)に比し低かった(静注 vs 動注:p<0.05,静注 vs静注+動注併用:p<0.01,動注vs静注+動注併用:p=0.283)。
入院時のDWI梗塞部位体積による検討でも,同様の結果であった。梗塞部位<18.3mL;静注3% vs 動注または静注+動注併用11.8%,p=0.005。梗塞部位>18.3mL;7.6% vs 17.2%,p=0.021。
SICHの内訳は実質性血腫(グレード2)30例,同(グレード1)11例,出血性梗塞(グレード2)2例,同(グレード1)1例であった。
SICH発症例は入院時のNIHSSスコアが高く,治療前のDWI梗塞部位体積が大きかった(患者背景に表記)。治療の遅れとSICHリスク上昇の関連は認められなかった(3時間以内治療群6.3% vs 3時間以降6時間以内治療群7.6%,p=0.50)。
年齢,入院時のNIHSSスコア,治療までの時間,入院時のDWI梗塞部位体積,使用した血栓溶解薬(tPA vs urokinase)を調整した多変量解析によると,SICHの独立予測因子は血栓溶解薬投与法(動注または静注+動注併用vs静注のOR 3.466,95%CI 1.19-10.01,p=0.023),入院時のDWI梗塞部位体積(10mL増加ごとのOR 1.07,95%CI 1.02-1.12,p=0.006)であった。

●有害事象

文献: Singer OC, et al. Risk of Symptomatic Intracerebral Hemorrhage in Patients Treated with Intra-Arterial Thrombolysis. Cerebrovasc Dis 2009; 27: 368-74. pubmed
関連トライアル Chernyshev OY et al, Cronin CA et al, Guillan M et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Kellert L et al, Kruetzelmann A et al, Madrid Stroke Network, Mikulik R et al 2009, Power A et al, RECANALISE, RESTORE, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI CT versus DWI, Sarikaya H et al, Sarikaya H et al, Schellinger PD et al, Seet RC et al, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, Tsivgoulis G et al, Tutuncu S et al, ultrasound-enhanced thrombolysisの安全性および有効性, VISTA baseline severity, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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