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FATA Facilitated Angioplasty with Tirofiban or Abciximab
結論 primary経皮的冠動脈形成術(PPCI)の補助療法としてのtirofiban高用量ボーラス投与は,abciximab標準用量投与との同等性を示さなかった。

目的 PPCIを施行するST上昇型心筋梗塞(MI)患者の心筋組織再灌流について,tirofiban高用量ボーラス投与がabciximab標準用量投与と同等の効果をもつか,ST上昇解消により検討。有効性の一次エンドポイント:バルーン初回拡張後90分後のST上昇解消(≧70%)。有効性の二次エンドポイント:30日の死亡,再梗塞,標的血管血行再建術。安全性の一次エンドポイント:大/小出血(TIMIおよびGUSTO基準の組み合わせによる)。
デザイン PROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints), intention-to-treat解析。NCT00383136。
セッティング 多施設。
期間 登録期間は2004年11月-2007年8月。追跡期間は30日。
対象患者 692例。>18歳,隣接する2つ以上の誘導で0.1mV以上のST上昇を伴う20分以上持続する胸痛,症状発現から6時間以内の入院。
【除外基準】完全左脚ブロック,同一領域におけるMIの既往,出血性素因,進行中の発作に対する血栓溶解薬投与,後無酸素症性昏睡,既知の血小板減少症または白血球減少症,重篤な肝機能異常,既知の重篤な腎障害(血清クレアチニン>3mg/dL),3ヵ月以内の大手術,管理不良の高血圧,30日以内の脳卒中の既往,頭蓋内疾患の既往(動脈瘤,動静脈奇形),6週以内の大外傷,経口抗凝固療法など。
【患者背景】平均年齢はabciximab群63.4±12.5歳,tirofiban群65.0±12.7歳。各群の女性78.9%,71.8%(p=0.03)。差違のみられた項目はMIの既往2.6%,6.0%(p=0.03)。
治療法 全例に対し,手技前にaspirin 250mg静注およびheparinボーラス投与(70IU/kg)を行い,abciximab群*1およびtirofiban群*2にランダム化。冠動脈造影前に試験薬を投与。冠動脈閉塞または冠動脈造影にて>50%の狭窄が認められた場合にはPPCIを実施し,ステント植込みを推奨。梗塞関連動脈が左主幹部/重篤な3枝病変であっても,PCI/ステント植込みによる血行再建は常に試みられた。更なる血行再建手技(PCI/CABG)を進めるかどうかの決定は,その後の評価にもとづいて行われた。
ステント植込み施行患者には,手技中または直後にclopidogrel 300mgボーラス経口投与後,最低30日間75mg/日投与,あるいは手技中または直後にticlopidine 500mg経口投与後,最低30日間250mg,1日2回投与。全例にaspirin生涯継続使用を推奨。β遮断薬およびACE阻害薬は現行のガイドラインにしたがい投与。

*1:341例。0.25mg/kgボーラス投与後,0.125μg/kg/分を12時間投与。
*2:351例。25μg/kgボーラス投与後,0.15μg/kg/分を18時間投与。
追跡完了率 解析不能はabciximab群5例,tirofiban群6例。
【脱落理由】手技中の死亡1例vs 3例など。
結果

●評価項目
手技の成功はabciximab群96.7%,tirofiban群96.6%と同等であった(p=0.94)。
有効性の一次エンドポイント(≧70%のST上昇の解消)は70.45% vs 67.05%(Δ-3.4%,95%CI -10.35-3.56)で,あらかじめ定義された同等性の境界(△±10%)を超えた。
有効性の二次エンドポイントはいずれも同等であった。
30日の死亡:5例(1.5%)vs 7例(2.0%)(p=0.60)。
再梗塞:1例(0.3%)vs 2例(0.6%)(p=0.58)。
標的血管血行再建術:0例vs 3例(0.8%)(p=0.09)。

●有害事象
大出血は6例(1.8%)vs 5例(1.4%)(p=0.73),頭蓋内出血は両群とも0例。

文献: Marzocchi A, et al.; FATA Investigators. Randomized comparison between tirofiban and abciximab to promote complete ST-resolution in primary angioplasty: results of the facilitated angioplasty with tirofiban or abciximab (FATA) in ST-elevation myocardial infarction trial. Eur Heart J 2008; 29: 2972-80. pubmed
関連トライアル BRAVE-3, CARESS-in-AMI , EASY, EPIC 1997, MULTISTRATEGY, On-TIME 2, On-TIME 2 pooled analysis, PPCIを行うSTEMI患者におけるabciximabと小分子の有用性, TARGET, TRIANA
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