抗血栓トライアルデータベース
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OASIS-5 and 6
結論 fondaparinuxはheparinをベースにした治療(未分画heparin[UFH],enoxaparin)に比し,死亡率,虚血性イベント,大出血抑制の効果に優れ,侵襲的治療,保存的治療を問わず,全体の臨床転帰を改善した。
コメント 我が国において循環器領域では,特に急性期には抗凝固薬としてヘパリンが使用される。ヘパリンよりも合成抗Xa薬が急性冠症候群の虚血性イベント抑制効果と大出血の副作用頻度に優ったという臨床試験結果である。我が国では,未だこのような臨床試験は開始されていない。そもそも2万数千名の患者を登録することは,おそらく不可能であろう。しかも,ヘパリンとの差は著明ではない。PCIが多用される我が国においては,これらの成績をもとにこの系統の薬剤を急性冠症候群のセッティングで臨床開発することの困難さが予想される。(島田和幸

目的 急性冠症候群(ACS)患者を対象としたOASIS-5試験(N Engl J Med 2006; 354: 1464-76)およびOASIS-6試験(JAMA 2006; 295: 1519-30)の結果を統合し,fondaparinuxの有効性,安全性,正味のベネフィットをUFHまたはenoxaparinと比較。また,侵襲的治療または保存的治療の正味のベネフィットを検討。
デザイン OASIS-5,6ともランダム化,二重盲検,intention-to-treat解析。
セッティング
期間
対象患者 26512例。OASIS-5および6の対象患者。ただしOASIS-6でstratum 1(fondaparinux vs プラセボ)に割り付けられた患者を除く。
OASIS-5:非ST上昇型ACS患者。詳細はOASIS-5
OASIS-6:急性ST上昇型MI患者。詳細はOASIS-6
【患者背景】平均年齢はheparin群65.4歳,fondaparinux群65.5歳。各群の男性 64.0%,64.7%。登録時の診断は不安定狭心症34.1%,34.5%,NSTEMI 41.5%,41.3%,STEMI 24.4%,24.2%。
治療法 OASIS-5:fondaparinux群(2.5mg,1日1回投与), enoxaparin群(1mg/kg,1日2回投与)にランダム化。詳細はOASIS-5
OASIS-6:fondaparinux群,標準治療群にランダム化。詳細はOASIS-6
追跡完了率
結果

●評価項目
fondaparinux投与は13270例,heparin投与(UFHまたはenoxaparin投与)は13242例であった。また,19085例(72%)が侵襲的治療,7427例(28%)が保存的治療を受けた。
fondaparinux群はheparin群に比しエンドポイント(30日の死亡,MI,脳卒中)発生率が抑制された(7.2% vs 8.0%,HR 0.91,95%CI 0.83-0.99,p=0.03)。
死亡は3.8% vs 4.3%(HR 0.89,p=0.05),MIは3.5% vs 3.8%(HR 0.92,p=0.19),脳卒中は0.8% vs 1.0%(HR 0.82,p=0.14)。
大出血はfondaparinux群で顕著な抑制が認められた(2.1% vs 3.4%,HR 0.59,p<0.00001)。
正味の転帰(死亡,MI,脳卒中,大出血)はfondaparinux群で抑制が認められた(9.3% vs 11.1%,HR 0.83,95%CI 0.77-0.89,p<0.0001)。
治療別の検討では,いずれもfondaparinux群ではheparin群に比し正味の転帰抑制が認められた;侵襲的治療9.4% vs 10.8%,HR 0.86,95%CI 0.79-0.94,p=0.001,保存的治療9.0% vs 12.0%,HR 0.74,95%CI 0.64-0.85,p<0.0001。
なお,侵襲的治療例における正味の転帰抑制は大出血抑制のためであり,虚血性イベント発症率は同等であった。保存的治療例では虚血性イベント,大出血のいずれもfondaparinux群で抑制された。

●有害事象
[評価項目]に記載。

文献: Mehta SR, et al.; OASIS 5 and 6 Investigators. Antithrombotic therapy with fondaparinux in relation to interventional management strategy in patients with ST- and non-ST-segment elevation acute coronary syndromes: an individual patient-level combined analysis of the Fifth and Sixth Organization to Assess Strategies in Ischemic Syndromes (OASIS 5 and 6) randomized trials. Circulation 2008; 118: 2038-46. pubmed
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