抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
AbESTT-II wake-up stroke
結論 目覚めに症状を呈している脳卒中患者は,その他の脳卒中患者に比し,ベースライン時の臨床・画像上の特性が同様であったにもかかわらず,転帰は不良であった。目覚めに症状を呈している患者に対する再灌流療法は,発見後短時間のうちに開始したとしても,容認できないかもしれない。
コメント 本研究は発症時間未確認で目覚めに症状を呈している脳梗塞患者に対して,強力な抗血小板薬であるアブシキシマブの急性期静注投与の安全性に問題があることを示している。わが国では軽症ラクナ梗塞の入眠中の発症例も少なくない。しかし本研究の対象例は比較的重症(NIHSSスコア中央値10点)であり,目覚めの時に発見された患者では,たとえ早期治療開始可能でも,強力な介入治療には慎重でなくてはならないことを示唆している。(岡田靖

目的 AbESTT-II試験(Stroke 2007;39:87-99)において,ベースライン時または他の変数が目覚めに症状を呈している脳卒中患者に対する再灌流療法早期開始に影響を与えるか検討。
デザイン AbESTT-II試験はランダム化,二重盲検,プラセボ対照。
セッティング 多施設(119施設),複数国。
期間 登録期間は2003年12月-2005年9月。
対象患者 801例。(1)発症後5時間以内に治療を開始した脳梗塞患者。(2)発症後5時間以降6時間以内または目覚めに症状を呈しており3時間以内に治療を開始した脳梗塞患者。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢は目覚めの有症状;abciximab群68.6歳,プラセボ群70.5歳,その他の脳卒中;abciximab群68.6歳,プラセボ群69.2歳。各群の男性59%,76%,57%,51%。最終健常状態確認からの時間593.7分,587分,355.6分,327.9分(p=0.00)。脳卒中の既往36%,14%,14%,14%(p=0.04)。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値(範囲)10(5-21),9(4-22),8(4-21),8(4-22)。ベースラインCTは正常14%,29%,41%,46%(p=0.01);陳旧性脳卒中病変59%,38%,35%,31%(p=0.05);新規脳卒中病変41%,38%,29%,28%。
治療法 本論文は目覚めの有症状コホート(abciximab群22例,プラセボ群21例),その他の脳卒中コホート(abciximab群381例,プラセボ群377例)について比較。
追跡完了率
【脱落理由】―
結果

●評価項目
abciximab群における5日以内の症候性脳内出血(SICH)は目覚めの有症状コホート3例(13.6%)と,その他の脳卒中コホート15例(4.0%)に比し多い傾向がみられた(p=0.07)。3ヵ月以内では4例(18.2%)vs 18例(4.8%)と有意に多かった(p=0.03)。プラセボ群におけるSICHは,5日以内は1例(5%)vs 2例(0.5%)(p=0.14),3ヵ月以内では1例(5%)vs 4例(1.1%)(p=0.23)。
3ヵ月後の転帰良好は,目覚めの有症状コホートではabciximab群1例(5%)vs プラセボ群3例(14%),その他の脳卒中コホートでは112例(29%)vs 109例(29%)といずれも有意差はみられなかった。治療群を結合し,目覚めの有症状コホート vs 非起床時コホートで検討すると,4例(9.3%)vs 221例(29.2%)と目覚めの有症状コホートの方が不良であった(p=0.005)。
Barthel Index 95-100も17例(39.5%)vs 423例(55.8%)と目覚めの有症状コホートの方が不良であった(p=0.04)。
なお,AbESTT-II試験はabciximab群におけるSICH発症が安全性のマージンを超えたため,早期に中止された。

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Adams HP, et al.; AbESTT-II Investigators. Treating patients with 'wake-up' stroke: the experience of the AbESTT-II trial. Stroke. 2008; 39: 3277-82. pubmed
関連トライアル AbESTT, AbESTT-II, ASP, BRAVE-3, CARESS-in-AMI , ECASS III, EPIC 1997, FINESSE, ISAR-REACT 4, JEPPORT, RAPPORT, RESTORE, SAINT postthrombolysis ICH, Schellinger PD et al, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR elderly, SITS-MOST multivariable analysis, SPEED(GUSTO-IV Pilot), TIMI 14, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
関連記事