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González-Fajardo JA et al Effect of the anticoagulant therapy in the incidence of post-thrombotic syndrome and recurrent thromboembolism: Comparative study of enoxaparin versus coumarin
結論 残存静脈血栓塞栓症は血栓塞栓症再発および血栓後症候群(PTS)の重要なリスク因子である。血栓サイズがより大きく退縮すると臨床イベント発生率がより低下し,結果としてPTS発症率も低下する。しかしながら,enoxaparinにより再疎通が得られたにも関わらず,PTS発症率はcoumarin群と同等であった。これはサンプルサイズが小さかったためと考えられる。

目的 深部静脈血栓症患者において,PTSに対する5年間の長期抗凝固療法(enoxaparin vs coumarin)の効果を比較。一次エンドポイント:血栓後症候群発症率,症候性再発性静脈血栓塞栓症の進展,血栓の退縮。
デザイン ランダム化,intention-to-treat解析。
セッティング
期間 追跡期間は5年。
対象患者 165例。静脈造影法により確診された症候性,片側性かつ初期症状の深部静脈血栓症患者。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢はenoxaparin 群59.8±13.3歳,coumarin群54.3±15.2歳。各群の男性44.6%,56.8%。体重72.7±11.9kg,76.7±10.5kg。弾性ストッキング73.2%,77.3%。
治療法 enoxaparin群(85例。1週間は40mgを1日2回投与。その後40mgを1日1回固定用量投与),coumarin群(80例。INR 2-3)にランダム化,最低3ヵ月投与。
追跡期間中に症候性血栓症の再発がない限り,3ヵ月後以降は抗凝固療法を受けなかった。なおこの時点で,全例に最低2年間の日中の段階的弾性ストッキング(足首で40mmHg)の着用が指示された。
追跡完了率 5年の追跡完了は60.6%。
【脱落理由】死亡28例(enoxaparin群 17例 vs coumarin群11例),追跡不能37例(12例 vs 25例)。
結果

●評価項目
5年間の追跡完了は100例であった(enoxaparin群 56例,coumarin群44例)。
PTS発症率は,両群間で有意差は認められなかった(p=0.433)。enoxaparin群:発生なし22例(39.3%),中等度23例(41.1%),重度11例(19.6%),coumarin群:発生なし13例(29.5%),中等度18例(40.9%),重度13例(29.5%)。
静脈血栓塞栓症累積再発率は19.3% vs 36.6%とenoxaparin群で抑制された(p=0.02)。Cox比例ハザードモデルによるcoumarin群のハザード比[HR]は1.97,95%CI 1.06-3.66(p=0.032)。
治療3ヵ月後の平均Marderスコア(定量的静脈造影スコア)は両群とも低下したが,enoxaparin群の方が低下率が大きかった;enoxaparin群49.1±51.2%,coumarin群24.0±51.0%(p=0.016)。
ハザード比[HR]1.97,95%CI 1.06-3.66,p=0.032)。
3ヵ月後の血栓抑制の程度と5年後のPTS発生率の間に逆相関がみられた(p=0.007)。

●有害事象

文献: González-Fajardo JA, et al. Effect of the anticoagulant therapy in the incidence of post-thrombotic syndrome and recurrent thromboembolism: Comparative study of enoxaparin versus coumarin. J Vasc Surg 2008; 48: 953-9. pubmed
関連トライアル CaVenT, DURAC, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, Home-LITE, LMWH長期投与による血栓後症候群予防, PREVAIL, REVERSE PTS substudy, THRIVE, VTE再発予防療法の至適期間, Witt DM et al
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