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Bravo Y et al Influence of antiplatelet pre-treatment on the risk of symptomatic intracranial haemorrhage after intravenous thrombolysis
結論 脳梗塞患者において,抗血小板薬前投与は症候性頭蓋内出血を増加させなかった。したがって,抗血小板薬前投与を血栓溶解薬静注の禁忌とすべきではない。
コメント 本論文は後ろ向き研究でやや症例数が少ないものの,抗血小板薬(大部分はアスピリン)前投与はrt-PA静注後の症候性頭蓋内出血を増加させず,したがって適応を検討する際に禁忌項目とすべきでないとしている。わが国では慎重項目にあげられているが,血小板数減少(10万/mm3以下)や高血糖(400mg/dL以上)などと比較するとその臨床的影響は少ないと考えられている。今後より大規模な臨床研究で評価が確立されるであろう。(岡田靖

目的 rt-PA投与を受けた脳梗塞患者において,抗血小板療法前投与(aspirinなど)が症候性頭蓋内出血リスクを増加させるかどうか検討。
デザイン 後ろ向き研究。
セッティング 多施設(7施設),スペイン。
期間
対象患者 605例。1999-2004年に,発症3時間以内にrt-PA静注を受けた脳梗塞患者。
【除外基準】heparinまたは経口抗凝固薬の事前投与。
【患者背景】平均年齢は抗血小板薬群72.2±7.2歳,非投与群66.6±11.2歳(p<0.001)。各群の男性65%,56.2%(p=0.04)。高血圧63.2%,54.3%。糖尿病29.2%,19.2%(p=0.01)。高コレステロール血症39%,27.6%(p=0.006)。治療までの時間148.5±29.7分,151.1±56.4分。NIHSSスコア中央値14,15。TOAST分類による脳卒中病型(p=0.004);大血管アテローム血栓27.2%,22.8%,心原性脳塞栓53.7%,42.3%,小血管閉塞2.2%,5%,その他の原因による急性脳卒中0%,5.2%,原因不明16.9%,24.7%。治療の基準(p=0.004);National Institute of Neurological Disorders and Stroke(NINDS)22.7%,17.3%,European Cooperative Acute Stroke Study(ECASS)15.9%,31.9%,Safe Implementation of Thrombolysis in Stroke Monitoring Study(SITS-MOST)53.3%,42.2%,病院独自6.1%,5.5%。
治療法 治療した年により,ECASS II,NINDS,SITS-MOST基準にもとづきrt-PA静注を行った(1施設ではNINDS基準に加え施設独自の基準を使用)。
抗血小板薬前投与の定義は入院日前の抗血小板薬長期投与とし,正確な投与期間,用量,最終投与からの時間は記録しなかった。
追跡完了率
結果

●評価項目
全例のうち抗血小板薬の前投与を受けていたのは137例(22.6%)で,その大部分(106例)がaspirinであった。
頭蓋内出血発生率は抗血小板薬群18.4%,非投与群20.1%で,有意差は認められなかった。内訳は,出血性梗塞タイプ1(HI1)は1例(0.7%) vs 29例(6.2%)と非投与群が多かった(p=0.004)が,その他は有意差は認められなかった;HI2は9例(6.6%)vs 29例(6.2%),実質性出血タイプ1(PH1)は7例(5.1%)vs 20例(4.3%),PH2は8例(5.9%)vs 16例(3.4%),症候性頭蓋内出血は9例(6.6%)vs 17例(3.6%)。
ロジスティック回帰分析によると,活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)のみが症候性頭蓋内出血の独立予測因子であった(オッズ比1.24,95%CI 1.04-1.46,p=0.012)。

●有害事象

文献: Bravo Y, et al. Influence of antiplatelet pre-treatment on the risk of symptomatic intracranial haemorrhage after intravenous thrombolysis. Cerebrovasc Dis 2008; 26: 126-33. pubmed
関連トライアル BAT, Cronin CA et al, ECASS III additional outcomes, Georgiadis D et al, 2006, IPSS use of alteplase, IST-3, J-ACT, Kellert L et al, Mikulik R et al 2009, rtPA血栓溶解療法の転帰における性差, Ruecker M et al, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Sarikaya H et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR blood pressure, SITS-MOST, SITS-MOST multivariable analysis, SUMO, Toni D et al, Tsivgoulis G et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 発症からalteplase静注までの時間と転帰
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