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Karjalainen PP et al Safety of percutaneous coronary intervention during uninterrupted oral anticoagulant treatment
結論 抗凝固薬長期投与中の患者において,経皮的冠動脈形成術(PCI)は抗凝固薬を中止しなくとも過度の出血性合併症を起こさず,安全に施行できる。
コメント 臨床的に重要な疑問「PCI施行時に抗凝固薬を中止すべきか否か」に一応の結論を示した優れた試験である。ワルファリン中止群であってもINR 1.7である点を考えると,本邦の実態とは若干異なるかもしれない。(後藤信哉

目的 PCIを受けるwarfarin長期投与中の患者において,周術期の抗凝固療法を検討。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設(7施設),フィンランド。
期間 試験期間は2002-2006年の間の3-5年(施設により異なる)。
対象患者 523例。PCIを受けるwarfarin長期投与中の患者。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】平均年齢は継続群69±9歳,中止群70±9歳。各群の男性79%,69%(p=0.007)。CHADS2スコア1.8±1.3,1.7±1.1。
PCIの適応は安定狭心症48%,52%,ST上昇型心筋梗塞(MI) 12%,7%,非ST上昇型MI 25%,26%,不安定狭心症15%,15%。
抗凝固薬の適応は心房細動71%,73%,脳卒中既往10%,12%,機械弁8%,2%(p=0.001),その他11%,13%。
治療法 抗凝固薬を継続したままPCIを施行した継続群(241例)と手技前に中止してPCIを施行した中止群(282例)を比較。
参加7施設のうち,4施設ではPCI前に抗凝固薬を中止することが基本方針であったが,3施設では抗凝固薬を継続したままPCIを施行する長年の経験を有していた。しかし治療は個々の患者によって異なり,前者の施設では20例が抗凝固薬投与を継続したまま,後者の施設では51例(一部ではINRが治療域を超えていた)が抗凝固薬を中止してPCIを施行した。
追跡完了率
【脱落理由】―
結果

●評価項目
中止群は手技の平均3.0日前(範囲1-30日)に抗凝固薬を中止した。PCI施行当日のプロトロンビン時間国際標準比(INR)は継続群2.2±0.5と,中止群1.7±0.5に比し高かった(p<0.001)。
PCI施行中のGP IIb/IIIa受容体拮抗薬(GPI)投与は43例(18%)vs 100例(35%)(p<0.001),低分子量heparin(LMWH)投与は101例(42%)vs 209例(74%)(p<0.001),PCI施行後12時間未満のGPI投与は41例(17%)vs 98例(35%)(p<0.001),LMWH投与は39例(16%)vs 78例(28%)(p=0.002)と,いずれも中止群の方が多かった。
主要有害心臓事象(MACE)は13例(5.4%)vs 9例(3.2%)で,有意差は認められなかった(p=0.28)。内訳は,死亡8例(3.3%)vs 2例(0.7%)(p=0.05),MI 8例(3.3%)vs 6例(2.1%)(p=0.43),標的血管血行再建術4例(1.7%)vs 2例(0.7%)(p=0.42),ステント血栓症4例(1.7%)vs 1例(0.4%)(p=0.19)。
脳卒中は1例(0.4%)vs 2例(0.7%)で,有意差は認められなかった(p=1.00,脳卒中病型の記載なし)。
アクセス部位合併症は12例(5.0%)vs 32例(11.3%)(p=0.011),大出血は3例(1.2%)vs 14例(5.0%)(p=0.024)と,いずれも中止群の方が多かった。傾向スコアで補正すると,アクセス部位合併症は依然有意差がみられたが(オッズ比[OR]2.8,95%CI 1.3-6.1,p=0.008),大出血は有意差が認められなかった(OR 3.9;1.0-15.3,p=0.05)。なお,アクセス部位合併症,大出血のいずれも両群ともINR値との関連は認められなかった。
多変量解析によるアクセス部位合併症の予測因子は大腿部アクセス(OR 9.9;1.3-75.2),アクセス部位閉鎖デバイスの使用(OR 2.1;1.1-4.0),入院期間中のLMWH投与(OR 2.7;1.1-6.7),加齢(70-79歳 vs 60-69歳のOR 3.8;1.5-9.6,80-88歳 vs 60-69歳のOR 4.3;1.4-13.1),大出血の予測因子はGPI投与(OR 3.0;1.0-9.1)であった。

●有害事象

文献: Karjalainen PP, et al. Safety of percutaneous coronary intervention during uninterrupted oral anticoagulant treatment. Eur Heart J 2008; 29: 1001-10. pubmed
関連トライアル ACUITY 1-year results, AFCAS Registry, CIAO, ISAR-REACT 3 bleeding and MI, PRAGUE-8, STEEPLE anticoagulation level
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