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On-TIME 2 Ongoing Tirofiban In Myocardial infarction Evaluation 2
結論 経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行するST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において,入院前のtirofiban高用量ボーラス投与はST上昇およびPCI後の臨床転帰を改善した。この結果は,同患者においては,clopidogrel高用量投与に加えてさらに血小板凝集を阻害することの重要性を示すものである。
コメント 重篤な血栓イベントの発症率が血栓イベントの実数に近づくまで「net clinical event」は改善する,という欧米流の考え方に基づいた試験である。TIMI大出血は本当の大出血であるため,「4%程度の出血は有効性に比べれば無視できる」とはとても考えられない。(後藤信哉

目的 PCI施行患者において,最初の医療行為時(救急車または搬送先)でのtirofiban早期投与によりPCIの成績が改善されるか検討。有効性の一次エンドポイント:PCI施行1時間後に残存するST偏位。有効性の二次エンドポイント:全死亡,MI再発,緊急標的血管血行再建術(UTVR),tirofiban救済ボーラス投与の複合。安全性のエンドポイント:出血,輸血,脳卒中,血小板減少症,重篤な有害事象。
デザイン 二重盲検(一部オープンラベル),ランダム化,プラセボ対照,intention-to-treat解析。ISRCTN0619527。
セッティング 多施設(24施設),3ヵ国(オランダ,ドイツ,ベルギー)。
期間 登録期間は2006年6月29日-2007年11月13日。
対象患者 984例。PCI施行予定のSTEMI患者;21-85歳,24時間以内に30分超持続する急性心筋梗塞の兆候,ECGにて隣接する2部位で1mV超のST上昇が認められる。
【除外基準】既知の重篤な腎機能障害(GFR<30mL/分または血清クレアチニン>2.5mg/dL),治療抵抗性心原性ショック(30分超SBP≦80mmHg),持続する重篤な高血圧(>180/110mmHg),抗凝固薬禁忌または出血リスク,左脚ブロックなど。
【患者背景】平均年齢はtirofiban群61.6±11.8歳,プラセボ群62.0±12.0歳。各群の男性76.6%,75.1%。症状発現から診断までの時間72(44-141)分,79(45-156)分。
治療法 tirofiban群(491例)*,プラセボ群(493例)にランダム化。
*:入院前にtirofiban(25μg/kgボーラス投与および0.15μg/kg/分を18時間注入)投与。
全例に,救急車または搬送先の病院にて,未分画heparin(UFH)5000IUボーラス静注,aspirin 500mg静注,clopidogrel負荷用量600mg経口投与。PCI前,ACTが200秒未満の場合のみUFHを追加投与。
冠動脈造影およびPCIは各施設のガイドラインにしたがって施行。PCI前/施行中/後,以下の場合のtirofiban 25μg/kgボーラス投与は可とした;TIMI血流グレード減少,血流減少を伴う解離,遠位部塞栓,側副枝閉鎖,責任血管の急性閉塞,臨床的不安定,長引く虚血。このtirofiban救済ボーラス投与が行われた場合はオープンラベルに切り替えられた。
追跡完了率 試験参加合意拒否/撤回はtirofiban群14例,プラセボ群13例,追跡不能は4,3例。
結果

●評価項目
PCI前のST偏位の合計はtirofiban群10.9±9.2mm,プラセボ群12.1±9.4mmと,tirofiban群の方が小さかった(p=0.028)。PCI施行1時間後も同様の結果であった;3.6±4.6mm vs 4.8±6.3mm(p=0.003)。
二次エンドポイントは123例(26.0%)vs 157例(32.9%)とtirofiban群の方が少なかった(p=0.020)。全死亡は11例(2.3%)vs 19例(4.0%)(p=0.144),MI再発は13例(2.7%)vs 14例(2.9%)(p=0.863),UTVRは18例(3.8%)vs 20例(4.2%)(p=0.761)と同等であったが,tirofiban救済ボーラス投与は97例(19.9%)vs 140例(28.5%)とtirofiban群の方が少なかった(p=0.002)。
正味の臨床アウトカム(死亡,MI,UTVR,脳卒中,大出血)は44例(9.3%)vs 56例(11.7%)と,有意差は認められなかった(p=0.221)。

●有害事象
TIMI大出血は19例(4.0%)vs 14例(2.9%)(p=0.363),脳卒中は1例(0.2%)vs 7例(1.5%)(p=0.069),血小板減少症は10例(2.0%)vs 9例(1.8%)(p=0.806)と,有意差は認められなかった。

文献: Van't Hof AW, et al.; Ongoing Tirofiban In Myocardial infarction Evaluation (On-TIME) 2 study group. Prehospital initiation of tirofiban in patients with ST-elevation myocardial infarction undergoing primary angioplasty (On-TIME 2): a multicentre, double-blind, randomised controlled trial. Lancet 2008; 372: 537-46. pubmed
関連トライアル 3T/2R, ACUITY GP IIb/IIIa inhibitors , ATLAS ACS-TIMI 46 , COMMIT, ExTRACT-TIMI 25 PCI, FATA, Kereiakes DJ et al 1996, On-TIME 2 pooled analysis, PCI-CLARITY, PCI-CURE, PLATO invasive strategy, SEPIA-ACS1 TIMI 42, STREAM, TRANSFER-AMI
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