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メタ解析
aspirin抵抗性と心血管疾患罹患率のリスク
Aspirin "resistance" and risk of cardiovascular morbidity: systematic review and meta-analysis
結論 aspirin抵抗性患者は,aspirin感受性患者に比し,臨床的に重篤な心血管疾患罹患リスクに長期間さらされている。
コメント 筆者は「アスピリン抵抗性」という用語に対して「抵抗性」がある。本論文は「アスピリンを服用している症例」のうち「血小板機能検査」を施行して「血小板機能」が十分に抑制されていない症例では「心血管イベントの発症率が高い」ことを示したメタ解析である。血小板活性化にかかわる因子を有する症例であれば,「アスピリン」が適切な薬効を発揮していても「血小板の活性化」は抑制されず「心血管イベント」の発症率も高いと理解すべきというのが筆者のスタンスである。(後藤信哉

目的 長期aspirin投与は冠動脈疾患患者の脳・心血管リスクを低下させるが,特定の患者ではaspirin投与のベネフィットが得られない。そのため,それはなぜか,そのような患者はいかにして同定できるのかということがaspirinをめぐる主要な議論となっている。本論文では,aspirin抵抗性,およびそれが心血管転帰に及ぼす影響について検討する。
方法 4つのデータベース(Medline,Embase,CHINAHL,Cochrane Controlled Trials Registry)を用い,1966年から現在までに発行された論文を“アセチルサリチル酸”“aspirin”,“抗血小板物質(単数形および複数形)”,“血小板”,“薬剤抵抗性”,“aspirin抵抗性”,“血小板抵抗性”で検索。言語の制限は設けなかった。
対象 2930例(脳卒中既往414例,急性冠症候群401例,心筋梗塞132例,冠動脈グラフトバイパス術542例,経皮的冠動脈形成術715例,安定心血管疾患760例,末梢血管障害96例)。
(a)参加者が抗血栓薬としてaspirin投与(75-325mg/日)を受けている,(b)参加者が臨床転帰確認前,または臨床転帰をもとにaspirin感受性/抵抗性*に分類されている,(c)適切な盲検化がされている(参加者のaspirin感受性/抵抗性について治験責任医師が盲検化されている),(d)前向きの臨床転帰評価が用いられている,(e)他の抗血小板薬投与を受けている患者も含む,20の試験。
*:aspirin治療により患者の血小板機能(測定法は問わない)が予期した通りに反応した場合をaspirin感受性,予期した通りに抑制されなかった場合をaspirin抵抗性と定義。
血小板機能分析は全血血小板機能検査,光透過性多血小板血漿血小板機能検査,出血時間(血小板止血機能測定として)を対象とした。
平均年齢はaspirin抵抗性群62.2±10.1歳,感受性群62.7±11.3歳,男性71.4%,79.5%(p=0.001)。急性冠症候群48/206例,260/878例,安定狭心症145/212例,412/587例,腎機能障害11/51例,22/217例(p=0.03),脳血管イベント113/129例,365/659例。
主な結果 aspirin 感受性(sensitive)は2120例(72%),抵抗性(resistant)は810例(28%)。
aspirin単独投与は14試験(13試験では75-325mg/日,1試験では1500mg/日),6試験では他の抗血小板薬を併用(clopidogrel,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬)であった。
コンプライアンスが治験責任医師により評価されたのは17試験であった(14試験では直接確認,3試験では電話またはインタビューによる)。
・心血管イベント
aspirin抵抗性群39%,感受群16%に発症した(オッズ比[OR] 3.85,95%CI 3.08-4.80,不均一性68.3%,p<0.001)。
・死亡
OR 5.99,95%CI 2.28-15.72,不均一性5.5%,p<0.003。
・急性冠症候群
 OR 4.06,95%CI 2.96-5.56,不均一性58.6%,p<0.001。
・グラフト不成功
OR 4.35,95%CI 2.26-8.37,不均一性28.2%,p<0.001。
・新規の脳血管イベント発症
OR 3.78,95%CI 1.25-11.41,不均一性38.1%,p<0.02。
aspirin抵抗性と,aspirin単独または他の抗血小板薬併用投与を受けたaspirin抵抗性患者における心血管転帰との間に,用量反応関係は認められなかった(OR 3.28,95%CI 2.39-4.49,p<0.001,R2=0.0046)。
aspirin抵抗性患者において,他の抗血小板薬併用投与はベネフィットをもたらさなかった(aspirin+clopidogrel併用;OR 3.06,95%CI 1.99-4.70,aspirin単独;OR 2.52,95%CI 1.79-3.56)。
文献: Krasopoulos G, et al. Aspirin "resistance" and risk of cardiovascular morbidity: systematic review and meta-analysis. BMJ 2008; 336: 195-8. pubmed
関連トライアル CHARISMA, WHS
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