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ESPRIT European/Australasian Stroke Prevention in Reversible Ischaemia Trial
結論 動脈源性の軽症脳梗塞/一過性脳虚血発作(TIA)患者において,二次予防のための抗凝固薬(目標プロトロンビン時間国際標準比;INR 2.0-3.0)はaspirinに比し,より有効ではなかった。虚血イベント抑制効果は出血合併症の増加により相殺された。

目的 動脈源性の軽症脳梗塞/TIA患者において,二次予防のための中等度抗凝固療法とaspirin療法を比較。一次エンドポイント:全血管死+非致死的脳卒中+非致死的心筋梗塞+大出血の複合。
デザイン PROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints),intention-to-treat解析,on treatment解析。
セッティング 多施設(75施設),14ヵ国(ヨーロッパ,シンガポール,中国,米国)。
期間 ランダム化期間は1997年7月1日-2005年7月1日。平均追跡期間は4.6±2.2年(本論文の一次解析のための抗凝固薬群の追跡期間終了は2005年12月31日)。
5年の追跡が終了した患者に対しては,追跡を終了するオプションが施設に与えられた。残りのaspirin群の患者では2005年7月1日-12月31日にclose-out visitが,抗凝固薬群およびaspirin+dipyridamole併用群の患者では2006年1月1日-9月1日にpost hoc解析のための最終追跡が行われた。
対象患者 1068例。動脈起源と推定されるTIA(一過性単眼性盲を含む)または軽症脳梗塞(mRS≦3)発症後6ヵ月以内の患者。
【除外基準】心原性塞栓の可能性(心電図上の心房細動,心臓弁膜症,最近の心筋梗塞),頸動脈血管内膜切除術または血管内治療が予定されている重度の頸動脈狭窄症を合併している脳虚血,血液凝固障害,脳白質の中等度-重度の拡散性虚血障害(白質希薄化),脳出血など。75歳超の患者はなるべく除外,ただし無作為割り付け担当医が抗凝固薬治療可能と判断した場合は採用とした。
【患者背景】平均年齢は抗凝固薬群62±10歳,aspirin群61±9歳。各群の男性72%,65%。試験の対象となった疾患は一過性単眼性盲5%,5%,TIA 31%,26%,軽症脳梗塞64%,68%。modified Rankin Score(mRS)スコアは0:43%,42%,1:31%,33%,2:20%,20%,3:6%,6%。aspirin群の投与量は30mg 57%,75mg 15%,80mg 6%,100mg 12%,300mg 6%など。
治療法 抗凝固薬群*1,aspirin群*2,aspirin+dipyridamole併用群にランダム化。
*1:536例。目標INR 2.0-3.0,使用薬剤はphenprocoumonが好まれたが,acenocoumarolおよびwarfarinも可とした。
*2:532例。30-325mg/日,投与量は担当医の裁量により,試験期間中は用量固定。中央値30mg。
抗凝固薬群およびaspirin群へのランダム化はdipyridamoleの利用が不可能な国で予定された。
ESPRIT試験におけるaspirin群およびaspirin+dipyridamole併用群の比較は別論文にて報告(Lancet 2006;367:1665-73)。
追跡完了率 試験薬中止は抗凝固群198例(37%),aspirin群84例(15%)。
【脱落理由】有害事象15例 vs 8例,医学的理由51例 vs 11例など。
結果

●評価項目
ESPRIT試験は,別論文にてaspirin+dipyridamole併用群の方がaspirin単独群に比し二次予防効果に優れているとの結果を受け,時期を早めて中止された。
平均INRは2.57±0.86であった。
一次エンドポイント発生は抗凝固薬群99例(19%),aspirin群98例(18%)で,有意差は認められなかった(ハザード比[HR]1.02,95%CI 0.77-1.35)。
全虚血イベント(虚血性血管死+非致死的脳梗塞+非致死的心筋梗塞)は62例 vs 84例(HR 0.73;0.52-1.01)と有意差は認められなかったが,大出血は45例 vs 18例(HR 2.56;1.48-4.43)と抗凝固薬群の方が多かった。頭蓋外出血は27例 vs 9例,頭蓋内出血は18例 vs 9例。
【抗凝固薬群vs aspirin+dipyridamole併用群についてのpost hoc解析】一次エンドポイント発生は抗凝固薬群106例(20.3%),aspirin+dipyridamole併用群82例(16.1%)で,有意差は認められなかった(HR 1.31;0.98-1.75)。
全虚血イベントは67例 vs 70例(HR 0.94;0.67-1.31)と有意差は認められなかったが,大出血は47例 vs 11例(HR 4.37;2.27-8.43)と抗凝固薬群の方が多かった。頭蓋外出血は28例 vs 10例,頭蓋内出血は19例 vs 1例。
(HR,95%CIはintention-to-treat解析の数値を示す)

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Halkes PH, et al; ESPRIT Study Group. Medium intensity oral anticoagulants versus aspirin after cerebral ischaemia of arterial origin (ESPRIT): a randomised controlled trial. Lancet Neurol 2007; 6: 115-24. pubmed
関連トライアル AAASPS 2003, ACTIVE W, ACTIVE W CHADS2 score, ACTIVE W paroxysmal vs sustained, ACUITY bivalirudin, AMADEUS, APPRAISE-2, ATLAS ACS-TIMI 46 , AVERROES previous stroke/TIA, BAFTA, CABADAS, CARS, CAST, CAST-IST, CHARISMA atrial fibrillation, CHARISMA stroke severity, CHARISMA subgroup analysis, COMMIT, Dutch-TIA Trial, EAFT 1993, EARLY, ESPRIT 2006, ESPS-2 1996, FASTER, FISS-tris, Georgiadis D et al, 2009, Hellemons BS et al, IST 1997, JAST, MATCH, NASPEAF, PREVAIL, PRoFESS disability and cognitive function, PROTECT AF, RE-LY previous TIA or stroke, SALT, SPAF III 1996, SPIRIT, SPORTIF III, SYMPHONY, Torn M et al, TPT, TRITON-TIMI 38 PCI, WAPS, WASID, WAVE, 心血管疾患リスクを有する患者におけるaspirin+OAC併用とOAC単独投与の比較, 脳卒中/TIA既往患者におけるaspirin+dipyridamole併用とaspirin単独投与の比較
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