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S-ACCESS Sarpogrelate-Aspirin Comparative Clinical Study for Efficacy and Safety in Secondary Prevention of Cerebral Infarction
結論 日本人の脳梗塞患者において,再発予防のためのsarpogrelate投与は,aspirin投与に対し非劣性基準に合致しなかった。出血イベントはsarpogrelateの方がaspirinに比し少なかった。日本人患者におけるaspirinの効果は西洋諸国と同様であった。
コメント 低用量アスピリンを対照薬とした,わが国の脳梗塞再発予防に関する無作為化比較臨床試験として,その価値は高い。選択的5-HT受容体拮抗薬サルポグレラートはアスピリンに対する非劣性を証明できなかったが,出血イベントは少なく,全身血管イベント抑制効果については,併用療法などで更なる研究の余地が残されている。アスピリンの効果に関しては比較的早期(平均50日)に登録され,その年間再発率および脳出血発症率はそれぞれ4.86%/年,1.00%/年であり,今後,非心原性脳梗塞に対するわが国の臨床試験比較成績として貴重なデータとなるであろう。(岡田靖

目的 脳梗塞患者において,再発予防のためのsarpogrelateの有効性と安全性をaspirinと比較。一次エンドポイント:脳梗塞再発。二次エンドポイント:血管イベント。
デザイン ランダム化,二重盲検,非劣性試験(非劣性基準:一次エンドポイントのハザード比の95%CI上限が1.33を超えない),intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(113施設),日本。
期間 登録期間は2001年4月-2003年11月。試験終了は2004年9月。平均追跡期間は1.59年。
対象患者 1499例(有効性の解析)/1507例(安全性の解析)。National Institute of Neurological Disorders and Stroke 分類にもとづき,1週-6ヵ月以内に症候性脳梗塞を発症した20歳以上の患者で,以下の基準に合致する者:24時間以上続く局所兆候;CT/MRIにより確認される兆候や症状に矛盾しない,梗塞に関連する局所障害;SBP<180mmHgかつDBP<110mmHg。
【除外基準】心原性脳梗塞:modified Rankin Scale(mRS)≧4,脳梗塞による血管手術歴またはその予定;頭蓋内出血/全身出血の既往,出血体質または凝血障害の既往;心/腎/肝/血液疾患などの重篤な合併症,5年以内の悪性腫瘍治療歴;現在の消化性潰瘍など。
【患者背景】平均年齢はsarpogrelate群65±10歳,aspirin 群65±10歳。各群の男性72.0%,71.5%。脳梗塞の病型はアテローム血栓性30.4%,31.9%,ラクナ64.8%,63.7%。発症からの平均日数は49.8±44.1日,52.8±47.4日。
治療法 sarpogrelate群(747例。sarpogrelate 100mg,1日3回投与),aspirin群(752例。aspirin 81mg,1日1回投与)にランダム化。
追跡完了率 試験薬早期中止はsarpogrelate群248例,aspirin 群233例。
【脱落理由】エンドポイント発生99例 vs 92例,有害事象83例 vs 65例,患者の選択44例 vs 45例など。
結果

●評価項目
脳梗塞の再発はsarpogrelate群72例(6.09%/年),aspirin群58例(4.86%/年)(ハザード比[HR]1.25,95%CI 0.89-1.77,p=0.19)で,非劣性基準に合致しなかった。
脳梗塞の病型別では,アテローム血栓性;7.31%/年 vs 5.96%/年(HR 1.25,95% 0.70-2.16),ラクナ;5.95%/年 vs 4.53%/年(HR 1.31,95% 0.84-2.04)。
重篤な血管イベント(脳卒中,急性冠症候群,血管イベントによる死亡)も90例(7.61%/年)vs 85例(7.12%/年)と同等であった(HR 1.07,95%CI 0.80-1.44,p=0.65)。

●有害事象
出血イベントはsarpogrelate群89例(11.9%/年)と,aspirin群131例(17.3%/年)に比し少なかった(p=0.0035)。試験薬に関連した出血イベントも60例(8.0%/年)vs 103例(13.6%/年)と,sarpogrelate群の方が少なかった(p=0.0006)。脳出血は7例 vs 12例。

文献: Shinohara Y, et al; S-ACCESS Study Group. Sarpogrelate-Aspirin Comparative Clinical Study for Efficacy and Safety in Secondary Prevention of Cerebral Infarction (S-ACCESS): A randomized, double-blind, aspirin-controlled trial. Stroke 2008; 39: 1827-33. pubmed
関連トライアル AAASPS 1998, AAASPS 2003, AICLA, ASPIRE, ATLAS ACS-TIMI 46 , BAT, Camerlingo M et al, CASISP, CSPS 2, CSPS post hoc analysis, Dutch-TIA Trial, ESPS-2 1997, Fukuuchi Y et al, Georgiadis D et al, 2009, JETS-1, SPIRIT, SPIRIT III, Swedish Cooperative Study, TIM, TRITON-TIMI 38 diabetes, WATCH
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