抗血栓トライアルデータベース
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RECORD1 Regulation of Coagulation in Orthopedic Surgery to Prevent Deep Venous Thrombosis and Pulmonary Embolism 1
結論 ガイドラインの推奨より長期間にわたる血栓予防療法において,完全股関節形成術施行患者におけるrivaroxaban(リバーロキサバン)10mg,1日1回経口投与は,enoxaparin(エノキサパリン)40mg,1日1回皮下投与に比しより有効で,安全性は同等であった。

目的 完全股関節形成術後,ガイドラインの推奨より長期間にわたる血栓予防療法において,rivaroxaban 10mg,1日1回経口投与の有効性と安全性をenoxaparin 40mg皮下投与と比較。有効性の一次エンドポイント:36日(範囲30-42)以内の深部静脈血栓塞栓症(DVT)+非致死的肺塞栓症(PE)+全死亡。有効性の二次エンドポイント:重篤な静脈血栓塞栓症(近位部DVT+非致死的PE),静脈血栓塞栓症(VTE)関連死。安全性の一次エンドポイント:治療期間中(試験薬投与開始から最終投与の2日後まで)の大出血。
デザイン ランダム化,二重盲検。per-protocol集団にてrivaroxabanのenoxaparinに対する非劣性を検証し,非劣性が認められた場合はintention-to-treat(ITT)集団にて両試験薬を比較。
セッティング 多施設。27ヵ国(南米,北米,ヨーロッパ,イスラエル,オーストラリア,南アフリカ)。
期間 登録期間は2006年2月-2007年3月。
対象患者 4433例(安全性の解析)/3153例(有効性の解析)。待機的完全股関節形成術を予定された18歳以上の患者。
【除外基準】段階的,両側性人工股関節形成術施行の予定,活動性出血,または出血高リスク,用量を調整したenoxaparinを必要とする疾患,重度の肝疾患,重篤な腎障害(クレアチニンクリアランス<30mL/分),HIVプロテアーゼ阻害薬の併用,間欠的空気圧迫法の予定,中止不可能な抗凝固薬を必要とするなど。
【患者背景】平均年齢(範囲)はrivaroxaban群63.1(18-91)歳,enoxaparin群63.3(18-93)歳,各群の女性55.2%,55.8%。
治療法 rivaroxaban 群*1,enoxaparin群*2にランダム化。
*1:rivaroxaban 10mg経口投与を傷縫合6-8時間後より開始。
*2:enoxaparin 40mg皮下投与を手術の12時間前に開始し,傷縫合6-8時間後に再開。
両試験薬とも,手術日(第1日)から第35日(範囲31-39)まで,24時間(範囲22-26)おきに毎夜投与。両側静脈造影は試験薬最終投与の翌日(範囲30-42)に施行。
追跡完了率 ITT集団からの主な排除理由は,血栓塞栓症の評価が不適切rivaroxaban 群25.9%,enoxaparin群27.9%など。
結果

●評価項目
per-protocolの集団において,有効性の一次エンドポイント発生率はrivaroxaban群 0.8%,enoxaparin 群3.4%と,rivaroxaban群の非劣性が示された。
ITTの集団においては,有効性の一次エンドポイント発生はrivaroxaban 群18例(1.1%)と,enoxaparin 群58例(3.7%)に比し少なかった(絶対リスク減少2.6%[95%CI 1.5-3.7],p<0.001,相対リスク減少70%[95%CI 49-82],p<0.001)。
重篤なVTEは4例(0.2%)vs 33例(2.0%)と,rivaroxaban 群で少なかった(絶対リスク減少1.7%[95%CI 1.0-2.5],p<0.001,相対リスク減少88%[95%CI 66-96],p<0.001)。
DVTは12例(0.8%)vs 53例(3.4%)(p<0.001),非致死的PEは4例(0.3%)vs 1例(0.1%)(p=0.37),全死亡は両群4例(0.3%)(p=1.00)。
重篤な静脈血栓塞栓症(近位部DVT+非致死的PE)は6例(0.3%)vs 11例(0.5%)(p=0.22),VTE関連死は2例(推定)vs 1例。

●有害事象
大出血は6例(0.3%)vs 2例(0.1%)と同等であった(p=0.18)。内訳は致死的1(rivaroxaban投与前)vs 0例,危険臓器(眼内)への出血1例 vs 0例,再手術に至る出血2例 vs 1例,手術部位以外の出血2例 vs 1例。

文献: Eriksson BI, et al; RECORD1 Study Group. Rivaroxaban versus enoxaparin for thromboprophylaxis after hip arthroplasty. N Engl J Med 2008; 358: 2765-75. pubmed
関連トライアル ADOPT, ADVANCE, ADVANCE-2, ADVANCE-3 , AMPLIFY, APROPOS, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS-TIMI 46 , BISTRO II , CASSIOPEA, dabigatran,rivaroxaban,apixabanによる関節置換術後の血栓予防, DRIVE, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, EXULT A, Hokusai-VTE, J-ROCKET AF renal impairment, LIFENOX, MAGELLAN, ODIXa-HIP, ODIXa-KNEE, ODIXa-OD-HIP, ORTHO-TEP Registry, PREVAIL, PREVENT 2004, PROTECT, RE-MODEL, RE-NOVATE, RECORD2, RECORD3, RECORD4, ROCKET AF, SAVE-KNEE, SAVE-HIP1, SAVE-HIP2, THRIVE, THRIVE III, van Gogh Studies prophylaxis
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