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ACUITY diabetes mellitus
結論 侵襲的手技を受ける急性冠症候群(ACS)患者において,糖尿病患者は虚血および大出血の発生率が高かった。糖尿病患者において,bivalirudin単独投与は,heparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬(GPI)併用投与に比し,同様の虚血イベントおよび大出血の抑制がみられ,その結果正味の有害事象発生の低下が認められた。

目的 早期侵襲的治療を受ける中等度-高リスクのACS患者において,30日の臨床転帰について【解析1】糖尿病患者 vs 非糖尿病患者,【解析2】糖尿病患者におけるbivalirudin単独もしくはGPI併用投与 vs heparin+GPI併用投与,を比較。一次エンドポイント:正味の臨床転帰(虚血イベントまたは大出血),30日の虚血イベント(死亡,心筋梗塞[MI],虚血による予定外の血行再建術),冠動脈バイパス術(CABG)に関連しない大出血。
デザイン 本論文は ACUITY試験(N Engl J Med 2006;355:2203-16)のサブ解析。
セッティング
期間
対象患者 13819例。侵襲的手技を受けるACS患者。
糖尿病の定義は,食事,経口薬かつ/またはインスリンを必要とする高血糖症。
【除外基準】―
【患者背景】【解析1】年齢中央値(範囲)は糖尿病群64(25-92)歳,非糖尿病群62(20-95)歳(p<0.001)。女性34.9%,28.2%(p<0.001)。【解析2】年齢中央値(範囲)はheparin+GPI群65(25-87)歳,bivalirudin+GPI群64(26-90)歳,bivalirudin単独群64(32-92)歳。各群の女性35.3%,34.5%,34.8%。
治療法 ACUITY試験は,heparin*1+GPI群(4603例),bivalirudin*2+GPI群(4604例),bivalirudin単独群*3(4612例)にランダム化。GPI併用の2群については,投与のタイミングについて,2×2ファクトリアルデザインでさらにランダム化。全例で割付け後72時間以内に血管造影を実施し,医師の判断により経皮的冠動脈形成術(PCI)/CABG/薬物治療のいずれかに決定。aspirinは血管造影前に投与。clopidogrelの投与量,時期は医師の判断による(プロトコールでは全例でPCI後2時間以内に300mg投与)。
*1: 未分画heparinは60IU/kgボーラス静注後,血管造影前の活性化部分トロンボプラスチン時間が50-75秒,PCI施行中の活性凝固時間が200-250秒となるよう12IU/kg/時を静注。enoxaparinは,血管造影前1mg/kg,1日2回皮下投与。PCI前に最新の皮下投与が>8時間前であった場合は0.3mg/kg,>16時間前であった場合は0.75mg/kgを追加静注。
*2 :bivalirudin投与は血管造影前に0.1mg/kgボーラス静注を開始し,その後0.25mg/kg/時投与。PCI前に0.5mg/kgを追加ボーラス静注し,1.75mg/kg/時に増量。
*3 :虚血性合併症を発症した場合はGPI投与を許可。
追跡完了率
結果

●評価項目
【解析1】
ACUITY試験対象者のうち,糖尿病患者は3852例(27.9%)であった。30日の正味の臨床転帰は糖尿病群496例(12.9%)と,非糖尿病群1042例(10.6%)に比し多かった(p<0.001)。
虚血イベントも 337例(8.7%)vs 非糖尿病群712例(7.2%)と糖尿病群が多かった(p=0.003)。死亡は81例(2.1%)vs 125例(1.3%)(p<0.001),MIは202例(5.2%)vs 498例(5.1%)(p=0.65),予定外の血行再建術は111例(2.9%)vs 228例(2.3%)(p=0.05)。
大出血も220例(5.7%)vs 418例(4.2%)と糖尿病群の方が多かった(p<0.001)。
【解析2】
糖尿病患者における各群の患者数はheparin+GPI群1298例,bivalirudin+GPI群1267例,bivalirudin単独群1287例。
30日の正味の臨床転帰はheparin+GPI群179例(13.8%),bivalirudin+GPI群177例(14.0%),bivalirudin単独群140例(10.9%)で,bivalirudin単独群はbivalirudin+GPI群に比し少なかった(p=0.02)。これは主に大出血が少なかったことによるものであった;92例(7.1%)vs 80例(6.3%)vs 48例(3.7%)(p<0.001,bivalirudin単独群 vs bivalirudin+GPI群)。
虚血イベントは115例(8.9%)vs 120例(9.5%)vs 102例(7.9%),死亡/MIは96例(7.4%)vs 95例(7.5%)vs 77例(6.0%),予定外の血行再建術は32例(2.5%)vs 40例(3.2%)vs 39例(3.0%)で,すべて有意差は認められなかった。

●有害事象
[評価項目]に記載あり。

文献: Feit F, et al. Safety and efficacy of bivalirudin monotherapy in patients with diabetes mellitus and acute coronary syndromes: a report from the ACUITY (Acute Catheterization and Urgent Intervention Triage Strategy) trial. J Am Coll Cardiol 2008; 51: 1645-52. pubmed
関連トライアル ACS患者に対するenoxaparinとUFHの比較, ACUITY, ACUITY 1-year results, ACUITY bivalirudin, ACUITY gastrointestinal bleeding, ACUITY GP IIb/IIIa inhibitors , ACUITY switching to bivalirudin, ExTRACT-TIMI 25 clopidogrel, HORIZONS-AMI , ISAR-REACT 3, ISAR-REACT 3 bleeding and MI, OASIS-5 and 6, SYNERGY, SYNERGY elderly, SYNERGY long-term outcomes, TAO
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