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ACUITY switching to bivalirudin
結論 中等度-高リスクの急性冠症候群(ACS)患者において,heparinからbivalirudin単独投与への切り替えは,heparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬(GPI)併用投与に比し,虚血イベント発症率は同等であったが,出血発生率が半減した。ランダム化前に抗トロンビン薬投与を受けていなかった者において,bivalirudin単独投与はheparin+GPI併用投与に比し,出血発生率が減少した。虚血イベント発症率は同等であった。

目的 早期侵襲的治療を受ける中等度-高リスクのACS患者において,【解析1】heparinからbivalirudin単独投与への切り替え vs heparin+GPI併用投与,【解析2】heparin+GPI群vs bivalirudin群,を比較。一次エンドポイント:30日の虚血イベント(死亡,心筋梗塞[MI],虚血による予定外の血行再建術),冠動脈バイパス術(CABG)に関連しない大出血,正味の臨床転帰(虚血イベントまたは大出血)。
デザイン 本論文は ACUITY試験(N Engl J Med 2006;355:2203-16)のサブ解析。
セッティング
期間
対象患者 7104例(4215例【解析1】/2889例【解析2】)。ACUITY試験対象者は,18歳以上の中等度-高リスクのACS患者。10分以上持続する不安定狭心症の症状が認められてから24時間以内,かつ以下の項目に1つ以上該当する症例。1mm以上の新規ST低下または一時的な上昇;トロポニンI/トロポニンT/CK-MBの上昇;既知の冠動脈疾患;TIMI不安定狭心症基準における前述以外4項目がすべて該当。ランダム化前の未分画heparin(UFH)または低分子量heparin単回投与を許可。
本論文の対象者は,解析1:ランダム化前に抗トロンビン薬の投与を受けた者(ただしbivalirudin+GPI併用投与群は除外),解析2:ランダム化時に抗トロンビン薬投与を受けていなかった者。
【除外基準】急性ST上昇/ショックによるMI,出血性素因または狭心症発症前2週間以内の大出血,血小板減少症,クレアチニンクリアランス<30mL/分など。
【患者背景】【解析1】年齢中央値(範囲)はheparin+GPI群63(23-91)歳,bivalirudin切り替え群62(20-92)歳(p=0.03)。各群の男性72.0%,70.2%。【解析2】年齢中央値(範囲)はheparin+GPI群63(30-91)歳,bivalirudin群63(25-92)歳。各群の男性66.6%,66.1%。
治療法 ACUITY試験は,heparin*1+GPI群(4603例),bivalirudin+GPI群(4604例),bivalirudin単独投与群*2(4612例)にランダム化。GPI併用の2群については,投与のタイミングについて,2×2ファクトリアルデザインでさらにランダム化。全例で割付け後72時間以内に血管造影を実施し,医師の判断により経皮的冠動脈形成術(PCI)/CABG/薬物治療のいずれかに決定。入院期間中は全例にaspirin 300-325mg/日経口または250-500mg/日静注投与(退院後は75-325mg/日経口を無期限に処方)およびclopidogrel(初回投与量,時期は医師の判断による。PCI施行例は2時間以内に300mg以上を投与,冠動脈疾患例には75mg/日の1年間継続を推奨)を投与。
*1:UFHまたはenoxaparinのいずれかを投与(両薬剤間の切り替えは不許可)。
*2 :虚血性合併症を発症した場合はGPI投与を許可。

【本論文における解析1】heparin+GPI群(2137例)vs bivalirudin切り替え群(2078例。ランダム化前にheparinの投与を受け,ランダム化時bivalirudinへ切り替えられた者。UFH投与者では30分,enoxaparin投与では8時間,bivalirudin投与まで間隔を開けた)。
【解析2】heparin群+GPI群(1462例)vs bivalirudin群(1427例)。
追跡完了率
結果

●評価項目
【解析1】
30日の虚血イベントはheparin+GPI群159例(7.4%),bivalirudin切り替え群144例(6.9%)と同等であった(相対リスク[RR]0.93,95%CI 0.75-1.16,p=0.52)。死亡は27例(1.3%)vs 21例(1.0%)(p=0.44),MIは117例(5.5%)vs 100例(4.8%)(p=0.33),予定外の血行再建術は37例(1.7%)vs 47例(2.3%)(p=0.22)。
大出血は124例(5.8%)vs 59例(2.8%)とbivalirudin切り替え群の方が少なかった(RR 0.49,95%CI 0.36-0.66,p<0.01)。
正味の臨床転帰も255例(11.9%)vs 191例(9.2%)とbivalirudin切り替え群の方が少なかった(RR 0.77,95%CI 0.65-0.92,p<0.01)。
【解析2】
30日の虚血イベントはheparin+GPI群81例(5.5%),bivalirudin群88例(6.2%)と同等であった(RR 1.11,95%CI 0.83-1.49,p=0.47)。死亡は12例(0.8%)vs 14例(1.0%)(p=0.65),MIは51例(3.5%)vs 67例(4.7%)(p=0.10),予定外の血行再建術は35例(2.4%)vs 28例(2.0%)(p=0.43)。
大出血は71例(4.9%)vs 36例(2.5%)とbivalirudin群の方が少なかった(RR 0.52,95%CI 0.35-0.77,p<0.01)。
正味の臨床転帰は138例(9.4%)vs 114例(8.0%)と有意差は認められなかった(RR 0.85,95%CI 0.67-1.07,p=0.17)。

●有害事象
[評価項目]に記載あり。

文献: White HD, et al. Safety and efficacy of switching from either unfractionated heparin or enoxaparin to bivalirudin in patients with non-ST-segment elevation acute coronary syndromes managed with an invasive strategy: results from the ACUITY (Acute Catheterization and Urgent Intervention Triage strategY) trial. J Am Coll Cardiol 2008; 51: 1734-41. pubmed
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