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PREPAIR
結論 clopidogrel 600mgダブルボーラス投与は標準的シングルボーラス投与に比し,優れた血小板阻害作用を示した。
コメント 比較的少数の症例を対象とし,血小板凝集をサロゲートエンドポイントとした場合には,クロピドグレルの投与量が多いほど凝集抑制効果が強いという,ある意味当然の結果を示した試験である。集団に対しては多量のクロピドグレルを用いたが,効果が強いことが示された。しかし,この結果は単に,大量のクロピドグレル投与により効果のバラツキが克服されたことを示しているだけかもしれない。(後藤信哉

目的 待機的血管造影および経皮的冠動脈形成術(PCI)を受ける冠動脈疾患患者において,clopidogrelの負荷用量が大きく,至適治療期間が長いほど抗凝集作用が促進されるか否か検討。一次エンドポイント:血管造影施行時の最大凝集阻害率。二次エンドポイント:6分後の凝集阻害率;PCI後の最大凝集阻害率;clopidogrelノンレスポンダー(抵抗性,最大凝集の<10%,<20%,<40%減少)の割合;死亡,心筋梗塞,手技30日後の標的血管血行再建術;血管/出血性合併症。
デザイン PROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints)。
セッティング 単施設,カナダ。
期間 表記なし。
対象患者 148例。待機的血管造影およびPCI(適切な場合)を受けるために入院した,確診された冠動脈疾患またはその疑いを有する患者。
【除外基準】不安定狭心症,急性または最近(<14日)の心筋梗塞;GP IIb/IIIa受容体拮抗薬(GPI)投与;3ヵ月以内の脳卒中;悪性腫瘍,活動性出血,出血体質;経口抗凝固薬(coumarin)投与中,またはプロトロンビン時間が対照の>1.5倍;最近(<30日)のGPIまたはthienopyridine投与歴;血小板数<10万/mm3;血清クレアチニン>180mmol/L;ビリルビン値の異常をもたらす重篤な肝疾患など。
【患者背景】平均年齢はA群61.8±8.9歳,B群61.9±8.9歳,C群61.3±9.7歳,各群の男性83.7%,79.6%,70.0%。群間差がみられた項目は糖尿病;30.6%,33.3%,12.2%。
治療法 A群(49例)*1,B群(49例)*2 ,C群(50例)*3にランダム化。
*1:手技前日(≧15時間)にclopidogrel 300mg,さらに当日の朝75mg追加投与。
*2:手技当日の朝(≧2時間前)にclopidogrel 600mg投与。
*3:手技前日(≧15時間)にclopidogrel 600mg,さらに当日の朝(≧2時間前)600mgを追加投与。
ステント植込みを施行された患者には,手技後最低30日間 clopidogrel 75mgを投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
血管造影時の最大凝集阻害率(アデノシン二リン酸[ADP]5μmol/Lで刺激した場合)はA群31.4%,B群29.0%,C群49.5%と,C群が最も高かった(p<0.0001)。ADP 20μmol/Lで刺激した場合も22.4% vs 22.3% vs 39.8%と同様の結果であった(p<0.0001)。
6分後の凝集阻害率はADP 5μmol/Lで刺激した場合;54.1% vs 57.7% vs 81.1%(p<0.0001)。ADP 20μmol/Lで刺激した場合;36.7% vs 40.5% vs 68.0%(p<0.0001)。
PCI後の最大凝集阻害率(ADP 20μmol/L)は21.0% vs 28.4% vs 59.8%(A群vs C群p<0.0001,B群vs C群p=0.0005)。
clopidogrelノンレスポンダー(最大凝集の<10%減少)は9例 vs 8例 vs 0例(p=0.005)。<20%,<40%減少と定義した場合も,C群が最も少なかった(A群vs C群p=0.001,B群vs C群p=0.0002)。
死亡,心筋梗塞のための再入院,手技30日後の標的血管血行再建術はいずれも0例。

●有害事象
大出血は認められなかった。小出血は3例 vs 8例 vs 4例(p=0.19)。

文献: L'Allier PL, et al; PREPAIR Study Investigators. Clopidogrel 600-mg double loading dose achieves stronger platelet inhibition than conventional regimens: results from the PREPAIR randomized study. J Am Coll Cardiol 2008; 51: 1066-72. pubmed
関連トライアル ARMYDA-PRO, Bonello L et al, Cuisset T et al, Erlinge D et al, ONSET/OFFSET, PRAGUE-8, PRINCIPLE-TIMI 44, RELOAD, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI
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