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Bonello L et al Adjusted clopidogrel loading doses according to vasodilator-stimulated phosphoprotein phosphorylation index decrease rate of major adverse cardiovascular events in patients with clopidogrel resistance: a multicenter randomized prospective study
結論 負荷用量600mg投与にもかかわらずclopidogrel抵抗性を示すステント植込み予定患者において,vasodilator stimulated phosphoprotein(VASP)指数を用いて評価した血小板反応性により用量を調整したclopidogrel投与は,安全で,手技後の臨床転帰を改善しうる。
コメント clopidogrelはプロドラッグである。作用メカニズムは活性代謝物によるADP受容体P2Y12の非可逆的阻害である。真にclopidogrel抵抗性を定義するのであればP2Y12受容体阻害薬を指標とすべきであるが,適切な検査法は開発されていない。VASPがP2Y12阻害を正確に反映するマーカーであるか否かには不明確な部分もある。血小板凝集よりは特異的な指標である可能性が高いが,単なるノイズを拾っているだけの可能性もあるので,注意を要する。(後藤信哉

目的 clopidogrel抵抗性を示すステント植込み施行予定患者において,VASP指数を用いて評価した血小板反応性によりclopidogrelの用量を調整するVASPガイド治療と,通常治療を比較。一次エンドポイント:主要心血管イベント(MACE;心血管死,急性ステント血栓症,亜急性ステント血栓症,急性冠症候群再発)発生率。二次エンドポイント:大/小出血。
デザイン ランダム化。
セッティング 多施設(4施設),フランス。
期間 試験期間は2007年2-7月。
対象患者 162例。至適薬物療法下での難治性狭心症,タリウムシンチグラフィーでの無症候性虚血,非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)のため経皮的冠動脈形成術(PCI)施行を予定された患者。
【除外基準】持続性ST上昇型MI,PCI不成功,NYHA心機能分類IIIまたはIV,血小板数<100/L,出血体質など。
【患者背景】平均年齢はVASPガイド群66.3±10.1歳,対照群66.6±11.1歳,性別(女性/男性)は19/59,17/67。
治療法 clopidogrel 600mgボーラス投与の24時間後にVASP指数を測定し,指数が>50%であった者をVASPガイド群(78例)*1,対照群(84例)*2にランダム化。
*1:clopidogrel投与量は,PCI前にVASP指数が50%以下となるよう個別に調整(初期用量投与後,600mg追加ボーラスを24時間おきに3回まで投与)。追加投与によってもVASP指数が50%以下とならない場合は,更なる負荷用量を投与せずにPCIを施行。
*2:clopidogrel追加投与をせずにPCIを施行。
PCIは国際ガイドラインにしたがい施行(clopidogrel 初回投与からPCI施行までの時間はVASPガイド群65±24時間,対照群26±3時間,p<0.0001)。
PCI前後の通常治療(手技の12時間前にclopidogrel 初期用量600mg投与,手技後最低1ヵ月間,75mg/日投与。aspirinは手技12時間前,およびその後最低1ヵ月間は160mg/日投与)は全例にて実施。NSTEMI患者では,抗凝固薬(未分画heparin)はPCI前にICUにて投与開始。GP IIb/IIIa拮抗薬は医師の裁量により投与。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
参加施設において試験期間中に血管形成術を受けた患者から除外基準該当者を除くと,VASP指数>50%は162例,≦50%は166例であった。
clopidogrel 負荷用量初回投与後のVASP指数はVASPガイド群69.3±10%,対照群67.8±10.5%と同等であったが(p=0.7),VASPガイド群では感作後は37.6±13.8%と低下した(p<0.0001 vs 初回投与後)。なお,clopidogrel 600mgを4回投与してもVASP指数>50%であった者は11例(14%)。
MACEの発生はVASPガイド群では認められず,対照群8例(10%)のみであった(p=0.007)。内訳は心血管死2例,急性ステント血栓症1例,亜急性ステント血栓症3例,急性冠症候群再発2例。

●有害事象
大出血は両群とも各1例であった(VASPガイド群;輸血を必要とした大腿部血腫,対照群;手術を必要とした頭蓋内出血)。全出血は3例(4%)vs 4例(5%)(p=1)。

文献: Bonello L, et al. Adjusted clopidogrel loading doses according to vasodilator-stimulated phosphoprotein phosphorylation index decrease rate of major adverse cardiovascular events in patients with clopidogrel resistance: a multicenter randomized prospective study. J Am Coll Cardiol 2008; 51: 1404-11. pubmed
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