抗血栓トライアルデータベース
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DECLARE-DIABETES
結論 薬剤溶出性ステント(DES)植込み後の糖尿病患者において,aspirin,clopidogrel,cilostazolの抗血小板薬3剤併用療法は,aspirin,clopidogrelの2剤併用療法に比し再狭窄,血管径の後期損失が少なく,そのため9ヵ月後の標的病変血行再建術リスクが低かった。
コメント 薬剤溶出ステントの出現と同時期に,シロスタゾールが冠動脈インターベンション後の再狭窄率を低下させることが示されていた。薬剤溶出ステントのインパクトが大きかったため,その当時はシロスタゾールの効果は大きく取り上げられなかった。今回,薬剤溶出ステント使用時であっても糖尿病の症例ではシロスタゾールの投与によりさらに再狭窄が予防されることが示された。シロスタゾールが国産であることを考えると意義の大きな研究である。(後藤信哉

目的 DES施行後の糖尿病患者において,抗血小板薬3剤併用(aspirin,clopidogrel,cilostazol)と2剤併用(aspirin,clopidogrel)の比較により,cilostazolの新生内膜形成抑制効果を検討。一次エンドポイント:6ヵ月後のステント内後期損失。二次エンドポイント:セグメント内後期損失,再狭窄率(以上6ヵ月後),ステント血栓症,標的血管血行再建術,主要有害心臓事象(MACE;9ヵ月後の死亡,心筋梗塞,標的病変血行再建術を含む)。安全性の評価項目:大/小出血,有害反応,試験期間における試験薬中止率。
デザイン PROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints),intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(5施設)。韓国。
期間 試験期間は2005年5月-2006年3月。追跡期間は270日。
対象患者 400例。18歳以上,狭心症または負荷試験陽性,狭窄率≧50%かつ参照血管径2.5mm以上のnative血管病変の患者。
【除外基準】左主幹部病変;グラフト病変;EF<30%;白血球数<3,000/mm3かつ/または 血小板数<10万/mm3;ASTあるいはALT≧標準上限の3倍;クレアチニン≧2.0mg/dL;24時間以内の急性心筋梗塞によるprimary血管形成術など。
【患者背景】平均年齢は3剤併用群61.0±8.5歳,2剤併用群60.7±9.1歳。各群の男性59.0%,57.0%。高血圧は両群とも59.5%。糖尿病の治療;食事療法のみ10.0%,8.5%,経口血糖降下薬75.5%,73.5%,インスリン14.5%,18.0%。
治療法 ガイドワイヤーが病変を通過後,sirolimus溶出ステント(SES)あるいはpaclitaxel溶出ステント(PES)にランダム化。植込み後,下記2群に2×2 ファクトリアルでランダム化。
3剤併用群(200例):SES→aspirin,clopidogrel,cilostazol投与(100例),PES→aspirin,clopidogrel,cilostazol投与(100例)。
2剤併用群(200例):SES→aspirin,clopidogrel投与(100例),PES→aspirin,clopidogrel投与(100例)。
手技の24時間以上前に,全例にaspirin 200mg/日,clopidogrel 負荷用量300mg,75mg/日を6ヵ月以上投与。3剤併用群は手技直後にcilostazol 負荷用量200mgを投与,その後100mg,1日2回を6ヵ月投与。
前拡張,直接植込み,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬の投与は担当医の裁量とした。
追跡完了率 9ヵ月後の臨床転帰の追跡完了は399例。
【脱落理由】死亡1例。
結果

●評価項目
[評価項目]
ステント内後期内径損失は3剤併用群0.25±0.53mm,2剤併用群0.38±0.54mm(p=0.025),セグメント内後期内径損失は0.42±0.50mm vs 0.53±0.49mm(p=0.031)と,いずれも3剤併用群の方が小さかった。
セグメント内再狭窄は13例(8.0%)vs 26例(15.6%)と3剤併用群の方が少なかった(p=0.033)。
ステント血栓症は0例 vs 1例(0.5%,急性期)(p=0.999),標的血管血行再建術は7例(3.5%)vs 16例(8.0%)(p=0.053)と有意差は認められなかった。
MACEは6例(3.0%)vs 14例(7.0%)と有意差は認められなかった(p=0.066)。うち死亡は1例(0.5%,心臓死)vs 0例(p=0.999),心筋梗塞は両群とも1例(0.5%)(p=0.999),標的病変血行再建術は5例(2.5%)vs 14例(7.0%)(p=0.034)。
大出血は両群とも認められなかった。小出血は両群とも3例(1.5%)(p=0.999)。

●有害事象
試験薬中止は29例(14.5%)vs 5例(2.5%)(p<0.001)で,cilostazolの主な中止理由は皮膚発疹,胃腸障害。

文献: Lee SW, et al. Drug-eluting stenting followed by cilostazol treatment reduces late restenosis in patients with diabetes mellitus the DECLARE-DIABETES Trial (A Randomized Comparison of Triple Antiplatelet Therapy with Dual Antiplatelet Therapy After Drug-Eluting Stent Implantation in Diabetic Patients). J Am Coll Cardiol 2008; 51: 1181-7. pubmed
関連トライアル DECLARE-LONG II, DES LATE, EXCELLENT, KAMIR, KAMIR triple vs. dual antiplatelet therapy, OPTIMIZE, PRODIGY, PRODIGY type of stent, PRODIGY in-stent restenosis, REAL-LATE / ZEST-LATE, Sarafoff N et al, SPIRIT III, Yoon Y et al
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