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CARESS-in-AMI Immediate Angioplasty versus Standard Therapy with Rescue Abciximab Reteplase Stent Study in Acute Myocardial Infarction
結論 経皮的冠動脈形成術(PCI)設備のない施設に入院した高リスクのST上昇型心筋梗塞(MI)患者は,半用量のreteplase,abciximab投与後ただちにPCI施設に搬送することにより,予後が改善する。
コメント 以前から指摘されていた早期の再灌流の重要性を現在の医療環境にて再確認した結果となった。早期の再灌流を行い予後を改善するためには,自らの施設内で治療を完結させることなく,冠インターベンションの可能な施設に早急に移送する必要があることを示唆した。(後藤信哉

目的 PCI設備のない施設に入院したST上昇型MI患者において,PCI施行可能な施設に搬送するimmediate PCIと,必要であればrescue PCIを行う標準治療を比較。一次エンドポイント:30日以内の死亡+再梗塞+治療抵抗性心筋虚血。安全性の一次エンドポイント:30日以内の頭蓋内出血(出血性脳卒中),頭蓋外大出血。
デザイン PROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint), intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(61施設;PCI設備のないスポーク施設41+PCI可能なハブ施設20)。3ヵ国(ポーランド[14+3],イタリア[21+12],フランス[6+5])。
期間 登録期間は2002年12月-2007年2月。
対象患者 598例。発症から12時間以内にPCI設備のない施設に入院した75歳以下のST上昇型MI患者で,高リスク因子(累積ST上昇>15mm,左脚ブロック新規発症,MI既往,Killip分類class≧2,EF≦35%)のうち1つ以上を有する者。
【除外基準】冠動脈バイパス術あるいはPCI(グラフト,ステント)既往;心原性ショック;大手術の追加施行;重症慢性腎・肝機能障害;2週間以内のMIなど。
【患者背景】平均年齢はimmediate PCI群60.2±10.2歳,標準治療/rescue PCI群59.6±9.7歳。各群の男性77.9%,79.3%。高脂血症21%,32%。高血圧39%,47%。MI既往12%,10%。Killip分類class≧2 45%,43%。
治療法 全例に次の薬物治療を実施:reteplase半用量(5Uボーラス投与後,30分後に5U投与),aspirin 300-500mg静注,未分画heparin(40U/kg[最大3000U]投与後7U/kg/時),abciximab 0.25mg/kgボーラス投与後,0.125μg/kg/分を12時間(最大10μg/分)。
immediate PCI群(298例):PCI施行可能なハブ施設へ即時搬送。heparinは搬送中も持続投与し,PCI施行中は活性化凝固時間を200-250秒に調整。施行後に投与中止。
標準治療/rescue PCI群(300例):臨床症状の悪化(90分後の持続性ST上昇が開始時ECGに比し50%以上,胸痛持続,血行動態不安定)がみられる場合のみPCI施行可能なハブ施設へ搬送。それ以外はスポーク施設で治療。heparinはrescue PCIを施行しない場合は24時間持続投与(immediate PCI群も同様)。
clopidogrelは血管形成術が可能な施設到着後,300mgをボーラス投与し,ステント植込み後75mg/日を1-12ヵ月投与。禁忌例以外の全例にβ遮断薬,ACE阻害薬,スタチン系薬剤を投与。
追跡完了率 追跡不能はimmediate PCI群1例。
【脱落理由】―
結果

●評価項目
スポーク施設とハブ施設の距離は8-110km,中央値31km。
症状発現から血栓溶解薬投与までの時間はimmediate PCI群165分,標準治療/rescue PCI群161分。血栓溶解からハブ施設入院までの時間は110分 vs 180分(p<0.0001)。
血管造影施行は289例(97.0%)vs 107例(35.7%),PCI施行は255例(85.6%)vs 91例(30.3%)。
一次エンドポイントはimmediate PCI群13例(4.4%)と,標準治療/rescue PCI群32例(10.7%)に比し少なかった(ハザード比0.40,95%CI 0.21-0.76,p=0.004)。内訳は死亡9例(3.0%)vs 14例(4.7%)(p=0.40),再梗塞4例(1.3%)vs 6例(2.0%)(p=0.75),治療抵抗性心筋虚血1例(0.3%,再梗塞後発症)vs 12例(4.0%)(p=0.003)。
大出血は10例(3.4%)vs 7例(2.3%)(p=0.47),脳血管イベントは2例(0.7%)vs 4例(1.3%)(p=0.50)といずれも同等であった。脳血管イベントの内訳は,脳梗塞0例 vs 1例,出血性脳卒中2例 vs 3例。
小出血は32例(10.8%)vs 12例(4.0%)とimmediate PCI群の方が多かった(p=0.002)。

●有害事象

文献: Di Mario C, et al.; on behalf of the CARESS-in-AMI (Combined Abciximab RE-teplase Stent Study in Acute Myocardial Infarction) Investigators. Immediate angioplasty versus standard therapy with rescue angioplasty after thrombolysis in the Combined Abciximab REteplase Stent Study in Acute Myocardial Infarction (CARESS-in-AMI): an open, prospective, randomised, multicentre trial. Lancet 2008; 371: 559-68. pubmed
関連トライアル CAPTURE 1997, ECSG-RTPA, ExTRACT-TIMI 25 PCI, FATA, FINESSE, GUSTO IIb 1997, ISAR-REACT 4, MHI Level 1 MI programme, MULTISTRATEGY, NORDISTEMI , PAMI, SPEED(GUSTO-IV Pilot), STREAM, TRANSFER-AMI, TRIANA
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