抗血栓トライアルデータベース
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SYNERGY angiography
結論 SYNERGY試験において,入院から冠動脈造影までの時間が短いほど虚血イベントの発症は少なかったが,出血イベントは増加しなかった。積極的な抗血栓療法を行って,冠動脈造影を遅らせることが有効かどうかは,進行中のトライアルで検証されるだろう。

目的 SYNERGY試験(早期侵襲的治療を受ける,虚血性心合併症高リスクの非ST上昇型急性冠症候群患者に対するenoxaparinおよび未分画heparin[UFH]の有効性と安全性を比較)において,入院から冠動脈造影施行までの時間(6時間ごとに区切り)と虚血/出血転帰の関連を評価。有効性の一次エンドポイント: 30日間の全死亡+非致死的心筋梗塞(MI)の複合。安全性の一次エンドポイント:冠動脈バイパス術(CABG)に関連しない大出血(TIMI/GUSTO),CABGに関連しない輸血。
デザイン 本論文は SYNERGY試験(JAMA 2004; 292: 45-54)の入院から冠動脈造影実施までの時間と転帰との関連についての検討。
セッティング
期間
対象患者 6352例。SYNERGY試験対象者(10027例。登録前24時間に10分以上持続する虚血症状が発症し,以下の2項目以上に該当する患者:年齢60歳以上,トロポニンまたはCK-MBの正常値上限を超える上昇,心電図上のST低下または一過性上昇)のうち,48時間以内に冠動脈造影を受けた患者。
【除外基準】活動性出血,登録前24時間以内の経皮的冠動脈形成術または血栓溶解療法,クレアチニンクリアランス<30mL/分など。
【患者背景】平均年齢は<6h群66歳,6-12h群67歳,12-18h群66歳,18-24h群68歳,24-30h群68歳,30-36h群67歳,36-42h群67歳,42-48h群68歳(p=0.003)。各群の女性32.6%,30.8%,30.1%,34.8%,34.1%,32.4%,35.0%,34.0%。
治療法 enoxaparin群,UFH群にランダム化。全例にaspirinまたはclopidogrelを連日投与。GP IIb/IIIa受容体拮抗薬投与を推奨。
追跡完了率
【脱落理由】―
結果

●評価項目
冠動脈造影施行は9216例(92%),うち48時間以内に施行は6352例(63%)。<6h群714例,6-12h群500例,12-18h群782例,18-24h群1330例,24-30h群1030例,30-36h群583例,36-42h群701例,42-48h群712例。
補正後の30日間の死亡/MI発症率は<6h群10.9%,6-12h群14.3%,12-18h群14.0%,18-24h群14.6%,24-30h群14.0%,30-36h群16.4%,36-42h群16.3%,42-48h群15.8%と,入院から冠動脈造影施行までの時間が長くなるにつれて高くなった。
補正後の30日間の死亡/MI発症のオッズ比(各群において,それより遅く冠動脈造影を施行されたか,または施行されなかった者と比較)は<6h群0.59,6-12h群0.73,12-18h群0.76,18-24h群0.72,24-30h群0.67,30-36h群0.84,36-42h群0.87,42-48h群0.87と,30時間以内に冠動脈造影を施行された者については有意な減少がみられたが,それ以降に施行された者については有意なベネフィットはなかった。

●有害事象
大出血,輸血に関して,発生率と冠動脈造影施行までの時間の間に関連はみられなかった。GUSTO分類によるCABGに関連しない大出血(補正後)は<6h群0.64%,6-12h群0.44%,12-18h群0.59%,18-24h群0.64%,24-30h群0.57%,30-36h群0.64%,36-42h群0.30%,42-48h群1.47%。
TIMI分類によるCABGに関連しない大出血(補正後)は<6h群3.7%,6-12h群3.8%,12-18h群2.5%,18-24h群3.3%,24-30h群3.5%,30-36h群3.0%,36-42h群3.8%,42-48h群3.2%。
輸血(補正後)は<6h群5.8%,6-12h群8.0%,12-18h群5.2%,18-24h群6.1%,24-30h群6.3%,30-36h群5.5%,36-42h群5.8%,42-48h群7.1%。

文献: Tricoci P, et al. Time to coronary angiography and outcomes among patients with high-risk non ST-segment elevation acute coronary syndromes: results from the SYNERGY trial. Circulation 2007; 116: 2669-77. pubmed
関連トライアル ACS後の心房細動患者におけるwarfarin使用と転帰, ACTION Registry-GWTG stratified analysis, ACUITY 1-year results, ACUITY switching to bivalirudin, Barbash GI et al, ExTRACT-TIMI 25 clopidogrel, ExTRACT-TIMI 25 PCI, GUSTO-I 1994, GUSTO-I 1997, MATE, OASIS-5 and 6, SYNERGY, SYNERGY elderly, TIMI 10B, 非ST上昇型ACS患者におけるルーチン侵襲治療と選択的侵襲治療の長期転帰, 非ST上昇型急性冠症候群に対する初期侵襲的治療および保存的治療の性差
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