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Mattle HP et al Comparison of intraarterial and intravenous thrombolysis for ischemic stroke with hyperdense middle cerebral artery sign
結論 中大脳動脈(MCA)領域脳卒中患者のうちhyperdense MCA sign(HMCAS)を示す者において,動脈内血栓溶解療法(IAT)は静脈内血栓溶解療法(IVT)に比し,治療開始が遅かったにもかかわらず有益であった。
コメント わが国で実施され,すでに報告されているMELT-Japan(Ogawa A et al. Stroke 2007)と本研究のウロキナーゼによる動脈内血栓溶解群(IAT)とを比較すると,その対象(Angio MCA閉塞,CT HMCAS),ウロキナーゼ用量(最大60万U,50-125万U),重症度(NHISS 14.0,16.7),治療開始時間(199分,244分)が多少異なるものの,サンプルサイズ(57例,55例),転帰良好例(mRS 0-2:49.1%,52.7%),死亡例(5.3%,7%)などの割合が類似している点,静注rt-PA療法に比較して,勝るとも劣らない可能性を指摘している点が興味深い。(岡田靖

目的 急性血栓症のマーカーとなりうるCT上のHMCASを示すMCA領域脳卒中患者において,死亡率および臨床転帰をIAT,IVTで比較。評価項目:3ヵ月後の死亡率,良好な転帰(modified Rankin Score[mRS] 0-2)。
デザイン 観察研究。
セッティング 多施設(2施設),スイス。
期間 登録期間は1998年7月-2006年3月。
対象患者 112例。ベルン大学病院で発症6時間以内にIATを受けた患者のうち,HMCASを示したMCA領域脳卒中患者(デジタルサブトラクション血管造影[DSA]にて全例がMCA[M1]閉塞と確認),およびチューリッヒ大学病院でNational Institute of Neurological Disorders and Stroke(NINDS)基準にしたがい発症3時間以内にIVTを受けた患者のうち,HMCASを示したMCA領域脳卒中患者。
【除外基準】内頸動脈終末部位(C1)のhyperdense,他試験に参加,CTでなくMRTで評価。
【患者背景】平均年齢はIAT群61±12歳,IVT群61±14歳。各群の男性51%,67%。
治療法 IAT群(55例):発症6時間以内にurokinase 50万-125万IUを60-90分かけて動注し,さらに,可能な場合はカテーテルにより血栓を破砕。治療終了時にDSAを再施行し,インターベンションの効果と再開通の程度を評価。
IVT群(57例):発症3時間以内にalteplase 0.9mg/kg(最大90mg)の10%をボーラス投与し,残りの90%は60分以上かけて静注。
抗血小板薬は,抗血小板薬投与中の発作の有無にかかわらず,IAT終了直後またはIVT終了24時間後全例に投与。低分子量heparinは全例において24時間後に開始。
追跡完了率 100%。
【脱落理由】―
結果

●評価項目
ベルン大学病院でIATを受けた268例のうち55例(21%),チューリッヒ大学病院でIVTを受けた249例のうち57例(23%)がHMCASを示した。
入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコアはIAT群16.7±5.1,IVT群17.5±4.5と有意差は認められなかった(p=0.608)。発症から治療までの時間は244±63分 vs 156±21分(p=0.0001)とIAT群の方が長かった。
死亡はIAT群4例(7%)と,IVT群13例(23%)に比し少なかった(p=0.022)。しかし,重回帰分析では有意差は認められなかった(p=0.192)。死因は原発脳卒中4例 vs 11例,20日後の脳卒中再発0例 vs 1例,41日後の腹部大動脈瘤破裂0例 vs 1例。脳卒中関連死15例の内訳は,経テントヘルニア3例 vs 9例,肺炎0例 vs 2例,脳出血1例 vs 0例。
良好な転帰(mRS 0-2)はIAT群29例(53%)と,IVT群13例(23%)に比し多かった(p=0.001)。重回帰分析によると,IATは独立して良好な転帰と関連していた(p=0.003)。

●有害事象

文献: Mattle HP, et al. Comparison of intraarterial and intravenous thrombolysis for ischemic stroke with hyperdense middle cerebral artery sign. Stroke 2008; 39: 379-83. pubmed
関連トライアル CLOTBUST , De Marchis GM et al, Engelter ST et al, MELT Japan, Mikulik R et al 2009, RECANALISE, SAINT postthrombolysis ICH, Sarikaya H et al, Schellinger PD et al, SITS-ISTR importance of recanalization, SITS-ISTR blood pressure, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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