抗血栓トライアルデータベース
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ECASS-II blood pressure
結論 血栓溶解療法を受けた急性脳梗塞患者において,7日以内の出血性変化および90日後の良好な転帰は,発症24時間以内の血圧動態と独立して関連していたが,プラセボ投与を受けた患者においては,良好な転帰のみ関連がみられた。
コメント rt-PAの無作為化試験における後解析において,発症後24時間以内の血圧変動が偽薬群ではなく,特にrt-PA実薬群の転帰に影響することはrt-PA急性期管理のガイドラインを支持する結果である。また出血性梗塞の性状の差違(実質性出血か否か)について詳細に分析している点はより臨床的で,独自性があるが,selection biasの影響を受けていることは否めない点である。(岡田靖

目的 rt-PAとプラセボの比較を行ったECASS-II試験(Lancet 1998;352:1245-51)において,血圧に関する分析結果と機能転帰,死亡率,梗塞部位の出血性変化発生率との関連を検討。一次エンドポイント:90日後の良好な転帰(mRS 0-1),90日間の全死亡率。二次エンドポイント:7日以内の出血性変化。
デザイン ECASS-II試験はランダム化,二重盲検。
セッティング 多施設。
期間
対象患者 793例。ECASS-II試験の対象となった急性大脳半球虚血性脳卒中患者のうち,試験薬の投与を受けた患者。
【除外基準】活性化部分トロンボプラスチン時間を延長させるために十分なheparin,またはプロトロンビン時間国際標準比(INR)を治療域に上昇させるために十分なwarfarinの投与をすでに受けている者,登録前の連続測定でSBP>185mmHgまたはDBP>110mmHgの者。
【患者背景】rt-PA投与は高血圧群51.8%,非高血圧群49.7%。平均年齢67.2±10.2歳,61.0±13.0歳(p<0.0001)。各群の男性59.1%,55.8%。症状発現から治療までの平均経過時間4.34±1.2時間,4.25±1.1時間。
治療法 rt-PA 0.9mg/kg投与407例とプラセボ投与386例にランダム化。試験薬投与は症状発現後6時間以内に開始。試験薬投与終了24時間以内の経口抗凝固薬,抗血小板薬,血流改善薬,脳保護薬は不許可,血圧を180/105mmHg未満に保つための降圧薬は許可。
血圧は,入院時,最初の2時間は15分間隔,その後8時間は30分間隔,その後24時間以内は1時間間隔,計37回測定。半身麻痺患者では背臥位にて測定。
追跡完了率 90日後の追跡不能は9例。
【脱落理由】―
結果

●評価項目
ECASS-II試験で試験薬の投与を受けた患者793例のうち,2例が24時間以内に死亡。開始時血圧がSBP≧140mmHgまたはDBP≧90mmHgであった者(患者背景で高血圧群と表記)は630例(79.5%)。
rt-PA 投与を受けた者では,SBPの開始時高値(補正後オッズ比[OR]0.84,95%CI 0.74-0.94),24時間以内の最高値(OR 0.82,95%CI 0.73-0.91),平均値(OR 0.81,95%CI 0.71-0.93),変動(OR 0.57,95%CI 0.35-0.92)は良好な転帰と逆相関しており,また7日以内の実質性出血との関連もみられた(OR 1.27,95%CI 1.07-1.51;OR 1.49,95%CI 1.27-1.75;OR 1.52,95%CI 1.23-1.87;OR 2.62,95%CI 1.40-4.87)。
プラセボ投与を受けた者では,24時間以内の最高値(OR 0.76,95%CI 0.66-0.86),平均値(OR 0.76,95%CI 0.65-0.89),変動(OR 0.41,95%CI 0.22-0.76)は良好な転帰と逆相関していたが,SBPの開始時高値(OR 0.91,95%CI 0.80-1.03)は有意ではなかった。出血性変化との関連はみられなかった。
rt-PA,プラセボ投与のいずれにおいても,死亡率と血圧との関連はみられなかった。

●有害事象

文献: Yong M, et al. Association of characteristics of blood pressure profiles and stroke outcomes in the ECASS-II trial. Stroke 2008; 39: 366-72. pubmed
関連トライアル Alshekhlee A et al, CASES elderly patients, ECASS, ECASS III additional outcomes, ECASS-II hyperglycemia, EPITHET predictors of HT, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, J-MARS, Kellert L et al, Mattle HP et al, MELT Japan, MERCI and Multi MERCI, Mikulik R et al 2009, PREVAIL subanalysis, rtPA血栓溶解療法の転帰における性差, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rtPA Registry SITS-MOST criteria, Saqqur M et al, Schellinger PD et al, SITS-ISTR blood pressure, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, TPA Bridging Study, Tsivgoulis G et al, 脳梗塞患者に対する血栓溶解療法施行率における性差
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