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PROSPECT Prospective Peri-operative Enoxaparin Cohort Trial
結論 治療量のenoxaparin を投与する橋渡し療法において,侵襲的手技および小手術を施行された患者における大出血の発生率は低かった。

目的 治療量のenoxaparin を投与する橋渡し療法において,周術期の大出血発生率を調査し,手技の侵襲度が出血リスクに影響を与えるか検討。また,心房細動患者における血栓塞栓イベント発症率,および深部静脈血栓症(DVT)患者における静脈血栓塞栓症(VTE)イベント発症率を調査。安全性の一次エンドポイント:enoxaparin投与中または投与中断24時間以内の大出血。安全性の二次エンドポイント:enoxaparin投与中または投与中断24時間以内の小出血。有効性の一次エンドポイント:試験期間(warfarin中断から国際標準比[INR]の治療域達成28日後まで)の心房細動患者における血栓塞栓イベント発症率,DVT患者におけるVTEイベント発症率。
デザイン コホート研究,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(24施設),北米。
期間 試験期間は2002年1月-2003年8月。
対象患者 260例。18-85歳,体重45kg以上120kg以下で,心房細動またはDVTの既往のため長期warfarin投与を必要とし,大/小手術または侵襲的手技のためwarfarinを中断しなければならず,治療量の抗凝固薬による周術期の橋渡し療法を予定されている患者。
【除外基準】人工弁,登録1ヵ月前以内の脳梗塞,出血性脳卒中の既往;活動性出血または先天性/後天性出血性疾患;眼内出血または増殖型糖尿病性網膜症の既往;重篤と判断されるか,またはヘモグロビンが男性<11.0g/dL,女性<10.0g/dLの貧血;血小板数10万/mm3;頭蓋内腫瘍,動脈瘤,動静脈奇形;重篤な腎疾患(クレアチニンクリアランス≦30mL/分または血清クレアチニン>2.0mg/dL;重篤な肝障害;管理不良高血圧;心原性ショック;活動性心内膜炎;頸動脈手術,眼内手術,神経外科手術;周術期における脊髄/硬膜外の全身麻酔または穿刺の予定など。
【患者背景】平均年齢68.1±11.1歳,男性56.5%。抗凝固療法の適応理由は心房細動67.7%,深部静脈血栓塞栓症の既往36.9%。
治療法 warfarinは手術5日前に中止。手術3日前より毎朝,enoxaparin 1.5mg/kgを自宅にて皮下投与し,手術前日に投与終了。手術の前日または当日にプロトロンビン時間およびINRを測定し,INR≧1.8の場合はビタミンK(1-2.5mg)を経口投与。warfarinは,止血が適切になされた場合は手術日の夜または翌日に再開し,用量は入院前の通常量と同じとした。enoxaparin 1.5mg/kg,1日1回皮下投与は手術の12-24時間後に再開し(止血が不適切な場合は延期可),INRが治療域内に達するまで継続。
追跡完了率 enoxaparin早期中止は48例(18.5%)。
【脱落理由】有害事象28例(大出血4例,小出血19例)など。
結果

●評価項目
手技の内訳は侵襲的手技148例(56.9%),小手術72例(27.7%),大手術40例(15.4%)。
enoxaparin投与中およびその後の24時間以内の大出血は9例(3.5%)に発生した。大部分は手術部位で,頭蓋内/後腹膜/眼内出血,致死的出血,外科的介入を要する出血はなかった。手技別の発生率は侵襲的手技0.7%,小手術0%,大手術20.0%。
小出血は全体では108例(41.5%)に発生し,主に斑状出血(63.9%),血腫(23.1%),肉眼的血尿(7.4%),鼻出血(7.4%)であった。手技別の発生率は侵襲的手技44.6%,小手術47.2%,大手術20.0%。
血栓塞栓症は5例(1.9%)に発症,すべて非致死的であった。心房細動患者においては4例(2.3%)で,内訳は一過性脳虚血発作2例,末梢動脈血栓塞栓イベント2例,DVT患者においては1例(1.0%)で肺塞栓症であった。

●有害事象

文献: Dunn AS, et al. Bridging therapy in patients on long-term oral anticoagulants who require surgery: the Prospective Peri-operative Enoxaparin Cohort Trial (PROSPECT). J Thromb Haemost 2007; 5: 2211-8. pubmed
関連トライアル ACE , ACTIVE W CHADS2 score, ACTIVE W INR control, APROPOS, Botticelli, DRIVE, FCSA, Garcia DA et al, Jaffer AK et al, ODIXa-HIP, ODIXa-OD-HIP, RECORD2, RECORD4, Tafur AJ et al, Torn M et al, VENUS
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