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SPORTIF hypertension
結論 心房細動(AF)患者において,高血圧は脳卒中/全身性塞栓症(SEE)発症率の上昇の一因となるが,発症率上昇は収縮期血圧(SBP)140mmHg以上で著明である。また,SPORTIF IIIにおいてSPORTIF Vに比し脳卒中発症率が高かったのは,SBP 140mmHg以上の患者が多かったことと関連する可能性がある。
コメント AFにともなう脳梗塞のリスクとして高血圧が挙げられるが,これまでは治療中で安定した高血圧もリスクと考えられてきた。果たして,コントロール良好な高血圧は未治療あるいはコントロール不良の高血圧と同等のリスクがあるのか。これに対する示唆を与える研究として,この論文は興味深い。SBPが140mmHgを超えると脳梗塞の発症は増加する。近い将来,コントロール良好な高血圧はCHADS2スコア1点ではなく,より低いリスクとしてカウントされるようになるかもしれない。ただこの論文では,脳梗塞のタイプ別に関する記載がなく,SBP>140mmHg群で心原性塞栓による脳梗塞が増加するのか,非心原性脳梗塞が増加するのかは明らかではない。この点についても興味のあるところである。(是恒之宏

目的 抗凝固療法を受けている,中等度-高度の脳卒中リスクを有するAF患者において,脳卒中/SEEの発症率と高血圧の程度との関連を検討。
デザイン 本論文はSPORTIF III(オープンラベル)とSPORTIF V(二重盲検)の高血圧に関する統合解析。
セッティング
期間 追跡期間中央値は18.6ヵ月(範囲0-31ヵ月)。
対象患者 7329例。脳卒中の危険因子[高血圧(降圧薬投与を必要とするが180/100mmHg以下),75歳以上,脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)/SEEの既往,左室機能不全(LVEF<40%または症候性心不全)]を1つ以上有する,または65歳以上で冠動脈疾患/糖尿病を有する,18歳以上の持続性/発作性AF患者。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢は第1四分位群69.6±9.8歳,第2四分位群70.5±9歳,第3四分位群71.5±8.5歳,第4四分位群72.1±8.1歳(p<0.0001)。
治療法
追跡完了率
【脱落理由】―
結果

●評価項目
患者を全追跡期間のSBP平均値により第1四分位群(84.0-122.6mmHg)1818例,第2四分位群(122.7-131.3mmHg)1835例,第3四分位群(131.4-140.7mmHg)1838例,第4四分位群(140.8-191.7mmHg)1838例に群別。SBP≧140mmHgの割合はSPORTIF III 35.8%,SPORTIF V 20.6%(p<0.0001)。
SBPが高いほど保有する脳卒中リスクの数が多く(p=0.012,リスク数≦2 vs >2),BMI値が高く(p=0.0036),左室機能不全を有する割合が低かった(p<0.0001)。
脳卒中/SEE発症率(症例/年)は第1四分位群1.30%,第2四分位群1.27%,第3四分位群1.62%,第4四分位群2.38%と,第4四分位群で最も高かった。第4四分位群/第1四分位群のハザード比は1.83(95%CI 1.22-2.74),p=0.0037。
死亡率(症例/年)は順に5.22%,2.37%,3.06%,3.34%と第1四分位群で最も高かったが,これは主に同群で左室機能障害を有する者の死亡率が高かったためであった。第4四分位群/第1四分位群のハザード比は0.64(95%CI 0.49-0.83),p=0.0007。
出血性脳卒中発症率(症例/年)は順に0.04%,0.07%,0.17%,0.32%と,SBPが高くなるほど高くなった(p=0.013,第1四分位群+第2四分位群 vs 第3四分位群+第4四分位群)。
大出血,大+小出血とも,血圧値との関連はみられなかった。大出血は順に2.43%,2.02%,2.05%,2.23%,大+小出血は順に36.4%,33.0%,34.9%,36.5%。

●有害事象

文献: Lip GY, et al; SPORTIF Invetigators. Effect of hypertension on anticoagulated patients with atrial fibrillation. Eur Heart J 2007; 28: 752-9. pubmed
関連トライアル ACTION, ACTIVE W CHADS2 score, ACTIVE W paroxysmal vs sustained, AMADEUS, Béjot Y et al, CHARISMA atrial fibrillation, HAT 1, NASPEAF stratified analysis, NVAFにおける全身性塞栓症予防のためのwarfarin, PROTECT AF, SCAF mortality, SPORTIF elderly patients, SPORTIF II , SPORTIF III, SPORTIF INR control, SPORTIF pooled analysis, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V
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