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GRACE hemorrhage and mortality
結論 大出血は急性心筋梗塞患者の1/35に発生した。そのうち1/5が退院前に死亡し,全院内死の10%を占めたが,出血に関連する院内死のリスクは他の試験に比し低かった。出血は有害な転帰と関連しているが,多くの場合は有害転帰の高リスクのマーカーにすぎない。

目的 GRACE試験において,抗血栓療法の中断と大出血および過度の死亡率に関連があるかを検討。
デザイン 本論文はGRACE試験の大出血に関する観察研究。
セッティング 多施設(114施設),14ヵ国(北米,南米,オセアニア,ヨーロッパ)。
期間 本論文の対象患者の登録期間は1999年4月-2007年3月。
対象患者 40087例。急性冠症候群(ACS)に一致したECGの変化,心壊死に関する生化学マーカーの連続的上昇,かつ/または確診された冠動脈疾患,のうち1つ以上を有する,ACSの疑いで入院した18歳以上の患者。各施設の年間ACS患者数に左右されずにバイアスのない登録を行うため,登録の対象は各施設一様に,適格とされた退院患者のうち各月の最初の10例とした。
【除外基準】本論文では,心マーカーの上昇を伴わない不安定狭心症,後に非ACSと判断され,GRACE登録施設内/外へ移送された患者は除外した。
【患者背景】年齢中央値は出血なし群66(56-76)歳,出血あり群74(64-81)歳(p<0.001)。各群の女性31%,47%(p<0.001)。
治療法 大出血を起こした患者1140例と起こさなかった患者38947例を比較。
追跡完了率
結果

●評価項目
大出血は1140例(2.8%)に発生した。出血部位は血管アクセス部位29%,頭蓋内6%,その他53%,報告なし12%。全例のうち入院当日または翌日に大出血が発生したのは49%。
大出血を起こした患者は起こさなかった患者に比し,年齢が高く,女性および併存疾患の既往の数が多かった。また,aspirin,低分子量heparinの使用率が低く(いずれもp<0.001),thienopyridineの使用率が高かった(p=0.002)。
最初の30日間における出血の発生に関連していたのは加齢,女性,出血/末梢動脈疾患の既往および喫煙歴,糸球体濾過量<30mL/分または初回ECGにおけるST偏位,最初の24時間における昇圧剤またはGP IIb/IIIa受容体拮抗薬静注,線溶薬投与,心カテーテル/PCI/大動脈内バルーンポンプ/肺動脈カテーテルの施行であった。逆に,24時間以内のaspirin,未分画heparinの投与は逆相関を示した。
大出血を起こした患者は起こさなかった患者に比し,院内死亡率が高かったが(ハザード比[HR]1.9,95%CI 1.6-2.2),退院後の死亡率は高くなかった(HR 0.8,95%CI 0.6-1.0)。
早期に大出血を起こした患者では抗血栓薬投与率が低かった(aspirin 69% vs 86%,thienopyridine 51% vs 52%,未分画heparin 29% vs 35%,低分子量heparin 27% vs 50%,GP IIb/IIIa拮抗薬9% vs 14%)。
入院当日に大出血を起こした患者の院内死亡率は,投与を継続した患者に比し,以下の薬剤を中止した患者で高かった:aspirin 52% vs 13%(p≦0.001),thienopyridine 58% vs 13%(p<0.001),低分子量heparin 26% vs 16%(p=0.03)。

●有害事象

文献: Spencer FA, et al; GRACE Investigators. Does comorbidity account for the excess mortality in patients with major bleeding in acute myocardial infarction? Circulation 2007; 116: 2793-801. pubmed
関連トライアル ASPECT, CRUSADE registry bleeding and mortality, ExTRACT-TIMI 25 renal dysfunction, fondaparinux によるVTE予防療法における大出血および死亡, ISAR-REACT 3 bleeding and MI, OASIS-5 and 6, RIETE, RIKS-HIA, SYNERGY angiography, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRIUMPH nuisance bleeding
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