抗血栓トライアルデータベース
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Couma-Gen
結論 遺伝薬理学と臨床因子にもとづくアルゴリズムは,warfarin用量調整の精度と能率を改善したが,プロトロンビン時間国際標準比(INR)値の治療域からの逸脱は減少させなかった。

目的 経口抗凝固薬の投与を受けている患者において,遺伝薬理学による用量調整のアルゴリズムの有効性と安全性を評価。一次エンドポイント:NRの治療域逸脱の割合(測定誤差や過剰補正を考慮し,治療域は1.8超3.2未満とした)。二次エンドポイント:INRが治療域を超えるまでの日数,INRが治療域内を維持した割合,5,8日目にINRが治療域へ達した患者の割合,INR/用量調整の回数,重篤な有害イベント発生率(INR≧4,出血,血栓塞栓イベント,脳卒中,心筋梗塞,全死亡)。
デザイン ランダム化,患者と臨床医/研究者を盲検化(投与量を決定した薬剤師などは非盲検),intention-to-treat解析。
セッティング
期間 試験期間は3ヵ月またはwarfarin投与終了まで。追跡期間は90日(平均46日)。
対象患者 200例。目標INR 2-3の経口抗凝固薬投与を受けている18歳以上の患者。
【除外基準】3週間以内のrifampin投与,標準用量の投与を不可能にする併存疾患(生理的年齢が高い,腎機能障害/クレアチニン2.5mg/dL超,肝機能障害,末期疾患)など。
【患者背景】平均年齢は遺伝薬理学群63.2(範囲25-86)歳,対照群58.9(18-82)歳(p<0.02)。
治療法 1および2日目に,標準群(99例)は標準維持用量,遺伝薬理学群(101例)は個別に予測した遺伝薬理学にもとづく維持用量を投与し,その後はINR値にもとづいて調整した個別の維持用量を投与。
標準群の用量調整はKovacsらの計算図表によった。遺伝薬理学群では,以前の研究や,CYP2C9*1,*2,*3),VKORC1(C1173T)遺伝子型,年齢,体重,性別より決定した。
INRは0,3,5,8,21,60,90日目に測定。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
遺伝薬理学群は標準群に比し,開始用量と最終用量の差(p<0.001),予測用量と実際の用量の差(p=0.002)がいずれも小さかった。
INRの治療域逸脱は遺伝薬理学群30.7%,標準群33.1%と同等であった(p=0.47)。しかし野生型を有する者(平均より高用量を必要とする)および複数の変異を有する者(必要とする用量が平均より少ない)では29.3% vs 39.1%と,遺伝薬理学群で少なかった(p=0.03)。
INRが治療域を超えるまでの日数は53.4(中央値73)日 vs 47.1(24)日と有意差は認められなかった(p=0.53)。
INRが治療域内を維持した割合は69.7±23.4% vs 68.6±24.3%と有意差は認められなかった(p=0.74)。
5,8日目にINRが治療域へ達した患者の割合は5日目は69.7% vs 68.3%(p=0.85),8日目は68.8% vs 63.0%(p=0.41)と有意差は認められなかった。
INR測定回数は7.2回 vs 8.1回と遺伝薬理学群で少ない傾向がみられ(p=0.06),用量調整回数は3.0回 vs 3.6回と,遺伝薬理学群で少なかった(p=0.035)。
重篤な有害イベント発生率(INR≧4+臨床イベント)は34.7% vs 42.4%(p=0.26),臨床イベントのみは4.0% vs 5.1%(p=0.71)と,いずれも有意差は認められなかった。
また,複数の変異を有する者ではINR≧4のリスクが46%と,他の患者29%に比し高かった(p=0.029)。

●有害事象

文献: Anderson JL, et al; Couma-Gen Investigators. Randomized trial of genotype-guided versus standard warfarin dosing in patients initiating oral anticoagulation. Circulation 2007; 116: 2563-70. pubmed
関連トライアル COAG, Crowther MA et al, EU-PACT, Takeuchi F et al
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