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FASTER Fast Assessment of Stroke and Transient Ischaemic Attack to Prevent Early Recurrence
結論 一過性脳虚血発作(TIA)または軽症脳卒中発症直後の患者において,aspirinとclopidogrelの併用は脳卒中発症リスクを減少させる可能性が示唆された。また,両薬剤併用による出血リスクは潜在的利益を消失させなかった。simvastatinの利益は認められなかった。
コメント 症例数は少ないが,脳領域での急性冠症候群ともいうべき症例に着目し,安易な抗血小板薬の併用療法に警鐘を鳴らした点で注目に値する試験である。(岡田靖

目的 TIAまたは軽症脳卒中患者において,症状発現後24時間以内に投与を開始し,90日間投与を継続した場合のclopidogrelとsimvastatinの脳卒中発症予防効果を検討。有効性の一次エンドポイント:90日後の脳卒中(虚血性/出血性)。有効性の二次エンドポイント:脳卒中+心筋梗塞+血管死。有効性の三次エンドポイント:脳卒中+TIA+急性冠症候群+全死亡。安全性のエンドポイント(clopidogrel):出血,血栓性血小板減少性紫斑病,顆粒球減少症。安全性のエンドポイント(simvastatin):筋肉痛,筋炎,横紋筋融解症,肝機能障害,腎不全。
デザイン ランダム化,二重盲検,2×2 factorial,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(18施設)。カナダ,米国。
期間 登録期間は2003年5月-2006年12月31日(患者登録不成功のため,予定より早期に登録中止)。追跡期間は90日。
対象患者 392例。40歳以上で,症状発現24時間以内(登録開始後2004年3月までは12時間以内)のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア3以下の軽症脳卒中/TIA患者。5分超の麻痺または言語障害,構音障害または失語症を呈した者も対象とした。
【除外基準】statin/抗血小板薬(aspirin以外)/抗凝固薬または長期の非ステロイド性抗炎症薬(COX2阻害薬以外)の投与,急性脳虚血以外の原因による神経学的欠損,言語障害または麻痺を伴わない純感覚性のイベント/めまい/運動失調または視覚障害症候群,alteplaseまたは緊急インターベンションの適応,心源性塞栓症と推定されるなど。
【患者背景】平均年齢は併用群67.1±12.9歳,clopidogrel単独群68.9±13.0歳,simvastatin単独群66.6±14.2歳,プラセボ群69.8±12.3歳。
治療法 併用群(100例。clopidogrel*1+simvastatin*2),clopidogrel単独群(98例。clopidogrel+プラセボ),simvastatin単独群(99例。simvastatin+プラセボ),プラセボ群(95例)にランダム化。
*1 : clopidogrel負荷用量300mg投与後,ただちに75mg/日投与。
*2 : simvastatin 40mg投与後,ただちに40mg/日,夕方投与。
全例においてaspirin 81mg/日(試験登録前にaspirin投与を受けたことのない者は負荷用量162mg)を投与。
追跡完了率 追跡不能は7例(1.8%)。
【脱落理由】―
結果

●評価項目
一次エンドポイント(脳卒中)は合計35例(8.9%)に発症した。内訳は虚血性脳卒中33例,出血性脳卒中2例(うち致死的1例)。
投与薬剤別にみると,clopidogrel 投与者では14例(7.1%)と非投与者21例(10.8%)に比し少なかったが,有意差は認められなかった。(リスク比0.7[95%CI 0.3-1.2],絶対リスク減少-3.8%[-9.4-1.9],p=0.19)。
simvastatin投与者では21例(10.6%)と非投与者14例(7.3%)に比し多かったが,有意差は認められなかった(リスク比1.3[95%CI 0.7-2.4],絶対リスク増加3.3%[-2.3-8.9],p=0.25)。
clopidogrelとsimvastatinの相互作用は認められなかった(p=0.64)。
二次エンドポイント(脳卒中+心筋梗塞+血管死)の発症は,clopidogrel は投与者17例(8.6%),非投与者23例(11.9%)(p=0.28),simvastatinは投与者23例(11.6%),非投与者17例(8.8%)(p=0.37)であった。
三次エンドポイント(脳卒中+TIA+急性冠症候群+全死亡)の発症は,clopidogrel は投与者29例(14.7%),非投与者42例(21.7%)(p=0.07),simvastatinは投与者38例(19.1%),非投与者33例(17.1%)(p=0.61)であった。

安全性のエンドポイント(clopidogrel)は,脳内出血はclopidogrel 投与者2例(1.0%),非投与者0例に認められた(絶対リスク増加1.0%[-0.4-2.4],p=0.5)。症候性出血は6例(3.0%,うち重篤1例)vs 0例(p=0.03)。血栓性血小板減少性紫斑病,顆粒球減少症は認められなかった。
安全性のエンドポイント(simvastatin)は,simvastatin投与者15例(7.5%),非投与者19例(9.8%)と同等であった(p=0.42)。内訳は,クレアチンキナーゼ異常4例 vs 4例,筋肉痛9例 vs 14例,肝機能悪化2例 vs 1例。横紋筋融解症は認められなかった。

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Kennedy J, et al; FASTER Investigators. Fast assessment of stroke and transient ischaemic attack to prevent early recurrence (FASTER): a randomised controlled pilot trial. Lancet Neurol 2007; 6: 961-9. pubmed
関連トライアル ACTIVE A, ACTIVE W, AVERROES previous stroke/TIA, BAFTA, CAPRIE 1996, CAPRIE 1999, CARESS, CASISP, CASPAR , CHANCE, CHARISMA, CHARISMA stroke severity, COMMIT, COMPASS, CREDO, EARLY, ESPRIT , EXPRESS risk of bleeding, IST 1997, MATCH, PLATO total events, PRoFESS, PRoFESS acute ischemic stroke, PRoFESS disability and cognitive function, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SPS3, SPS3 post hoc analysis, TIPS, TRILOGY ACS elderly patients, TRITON-TIMI 38 PCI, 血管疾患患者に対する抗血小板療法
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