抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
TRITON-TIMI 38 Trial to Assess Improvement in Therapeutic Outcomes by Optimizing Platelet Inhibition with Prasugrel - Thrombolysis in Myocardial Infarction 38
結論 経皮的冠動脈形成術(PCI)施行予定の急性冠症候群患者において,prasugrelはステント血栓症を含む虚血性イベントを抑制したが,致死的出血を含む大出血のリスクが上昇した。死亡率はclopidogrelと有意差はなかった。
コメント 日本の宇部興産が作ったプラスグレルの急性冠動脈疾患における血栓/出血リスクをフランス製のクロピドグレルと比較した。クロピドグレルに比較して代謝経路が単純なプラスグレルでは薬効のバラツキが少ない。今回の研究で選択された用量ではプラスグレルの方において血栓イベントが少なく出血リスクが高かった。用量-反応性が比較的安定していることがプラスグレルのメリットである。(後藤信哉

目的 PCI施行予定の急性冠症候群患者におけるprasugrelの有効性と安全性を,clopidogrelと比較。有効性の一次エンドポイント:心血管死+非致死的心筋梗塞(MI)+非致死的脳卒中。有効性の二次エンドポイント:心血管死+非致死的MI/緊急冠動脈血管形成術。有効性の二次エンドポイント:ステント血栓症,心血管死+非致死的MI+非致死的脳卒中+心虚血イベントのための再入院。安全性のエンドポイント:冠動脈バイパス術(CABG)に関連しないTIMI大出血,CABGに関連しない生命にかかわる大出血,TIMI大/小出血。
デザイン ランダム化,二重盲検,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(707施設)。30ヵ国。
期間 ランダム化期間は2004年11月-2007年1月。治療期間中央値は14.5ヵ月。
対象患者 13608例。急性冠症候群(発症から72時間以内で虚血症状が10分以上持続している不安定狭心症/非ST上昇型MI,TIMIリスクスコア3以上,1mm以上のST変化あるいは心筋壊死マーカーの上昇,primary PCI施行予定あるいはST上昇型MIのため薬物療法を受けて14日以内で,発症から12時間以内)のためPCIを予定された患者。
【除外基準】出血リスク上昇,貧血,血小板減少症,頭蓋内疾患の既往,登録前5日間以内のthienopyridine使用など。
【患者背景】年齢中央値はprasugrel群61歳,clopidogrel群61歳。
治療法 中等度-高リスクの不安定狭心症/非ST上昇型MI(10074例)とST上昇型MI(3534例)に層別化。
prasugrel群(6813例。prasugrel 60mg/日,維持用量10mg/日),clopidogrel群(6795例。clopidogrel 300mg/日,維持用量75mg/日)にランダム化。
aspirin(推奨用量75-162mg/日)は必須とした。
追跡完了率 追跡不能は14例(0.1%)。
【脱落理由】―
結果

●評価項目
一次エンドポイントの発生はprasugrel 群643例(9.9%)と,clopidogrel群781例(12.1%)に比し少なかった(ハザード比[HR]0.81,95%CI 0.73-0.90,p<0.001)。この差は主として,非致死的MIが475例(7.3%)vs 620例(9.5%)(HR 0.76,95%CI 0.67-0.85,p<0.001)と少なかったことによるものであった。心血管死は133例(2.1%)vs 150例(2.4%)(HR 0.89,95%CI 0.70-1.12,p=0.31),非致死的脳卒中は61例(1.0%)vs 60例(1.0%)(HR 1.02,95%CI 0.71-1.45,p=0.93)。
全死亡は188例(3.0%)vs 197例(3.2%)(p=0.64)。
二次エンドポイントもprasugrel 群で少なかった(30日:HR 0.78,p<0.001,90日:HR 0.79,p<0.001)。追跡期間終了時の緊急冠動脈血管形成術は2.5% vs 3.7%(HR 0.66,p<0.001)。
心血管死+非致死的MI+非致死的脳卒中+虚血のための再入院は797例(12.3%)vs 938例(14.6%)(HR 0.84,p<0.001),ステント血栓症は68例(1.1%)vs 142例(2.4%)(HR 0.48,p<0.001)といずれもprasugrel 群で少なかった。
TIMI大出血は146例(2.4%)vs 111例(1.8%)(HR 1.32,95%CI 1.03-1.68,p=0.03),生命にかかわる大出血は85例(1.4%)vs 56例(0.9%)(HR 1.52,95%CI 1.08-2.13,p=0.01),TIMI大/小出血は303例(5.0%)vs 231例(3.8%)(HR 1.31,95%CI 1.11-1.56,p=0.002),致死的出血は0.4% vs 0.1%(p=0.002)と,すべてprasugrel 群で多かった。非致死的出血は1.1% vs 0.9%(p=0.23)。

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Wiviott SD, et al; TRITON-TIMI 38 Investigators. Prasugrel versus clopidogrel in patients with acute coronary syndromes. N Engl J Med 2007; 357: 2001-15. pubmed
関連トライアル 3T/2R, ACCOAST, ACTIVE A, APPRAISE, APPRAISE-2, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS-TIMI 46 , CASPAR , CHAMPION PCI, CHAMPION PHOENIX, CHAMPION PLATFORM, CHARISMA, CHARISMA bleeding complications, CLARITY-TIMI 28, CLASSICS, COGENT, CREDO, CURE, CURRENT-OASIS 7, FAST-MI genetic determinants, ISAR-REACT 3, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Mega JL et al, PCI-CLARITY, PCI-CURE, PLATO, PLATO bleeding complications, PLATO invasive strategy, PLATO renal function, PLATO total events, PLATO undergoing CABG, PRINCIPLE-TIMI 44, PRODIGY, PRoFESS, REAL-LATE / ZEST-LATE, Sarafoff N et al, SPS3, STARS, TRACER, TRILOGY ACS, TRILOGY ACS elderly patients, TRILOGY ACS secondary analysis , TRITON-TIMI 38 bleeding, TRITON-TIMI 38 CABG cohort, TRITON-TIMI 38 diabetes, TRITON-TIMI 38 discharge aspirin dose, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI, WAVE
関連記事