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NASPEAF stratified analysis
結論 75歳以上の心房細動(AF)患者は,75歳未満の患者に比し,イベント発生率が高かった。抗凝固薬単独群において,高齢患者は75歳未満に比し出血が多く認められた。高齢患者において,抗血小板薬+抗凝固薬併用投与群は,抗凝固薬単独群に比し血管イベントと失血死が少なかった。
コメント 目標プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)1.4-2.4+aspirin 300mg(triflusal 600mg)の有用性をどう考える?
(1)目標は1.4-2.4であったが,実際の平均PT-INRは2.0-2.1であり,ほとんどはPT-INR 1.6以上にコントロールされていた可能性が高い。
(2)SPAF III試験では,PT-INR 1.2-1.5+aspirin 300mgで有用性は示されていないので,併用の際にもPT-INR1.6以上をめざすべきと考える。
(3)aspirin併用によりnon-cardioembolic strokeをさらに減少させた可能性が示唆される。
(4)すべての症例において,aspirin併用がよいかどうかは不明である。むしろ,出血の発生率増加の可能性も考えあわせた上で,慎重に個々の症例ごとに検討すべきであろう。日本の抗血栓療法合併症に関する大規模調査研究( BAT試験:Stroke 2008;39:1740-5)では,頭蓋内出血はwarfarin単独で0.62%,aspirin併用で0.96%と報告されている。(是恒之宏

目的 NASPEAF試験において,抗血小板薬+中等度の抗凝固薬併用と抗凝固薬単独投与の有効性と出血リスクを,75歳以上と未満に分けて比較。一次エンドポイント:全身性塞栓症,虚血性/出血性脳卒中,一過性脳虚血発作(TIA),心筋梗塞,突然死または血管/出血イベント後30日以内の死亡。二次エンドポイント:入院,輸血,手術を要する非頭蓋内出血/非致死的大出血。
デザイン 本論文はNASPEAF試験(J Am Coll Cardiol 2004; 44: 1557-66)の層別解析。
セッティング
期間 追跡期間中央値は839-1125日。
対象患者 967例。NASPEAF試験対象者のうち,抗血小板薬+中等度の抗凝固薬併用群,抗凝固薬単独群に割り当てられた者。抗血小板薬群は本解析からは除外した。
【除外基準】―
治療法 対象患者を高リスク患者(279例。塞栓既往のある者)と中等度リスク患者(688例。塞栓既往のない者)の2群に層別化。
高リスク患者を抗凝固薬群(145例[75歳以上41例/75歳未満104例]。抗凝固薬を目標PT-INR 2.0-3.0として経口投与),併用群(134例[35/99例]。triflusal 600mg/日+抗凝固薬を目標PT-INR 1.4-2.4として経口投与)の2群に,中等度リスク患者を抗凝固薬群(351例[68/283例]。抗凝固薬を目標PT-INR 2.0-3.0として経口投与),併用群(337例[75/262例]。triflusal 600mg/日+抗凝固薬を目標PT-INR 1.25-2.0として経口投与)の2群にランダム化。
上記の計4群を開始時の年齢により75歳以上と75歳未満に分け,比較。
追跡完了率 追跡不能は4.5%。
【脱落理由】有害事象,担当医または患者の判断。
結果

●評価項目
[年齢別]
一次エンドポイントの発生は,75歳以上が23例(4.6%)と,75歳未満36例(2.0%)に比し多かった(p=0.003)。また塞栓既往のある75歳以上の一次エンドポイント発生率は11.1%/年と,既往のない75歳未満の1.8%/年に比し,約6倍であった。
全身性塞栓症+脳卒中+TIAは17例(3.4%)vs 25例(1.4%)と,75歳以上で多かった(p=0.006)。
重篤な出血は14例(2.8%)vs 28例(1.6%)と,75歳以上で多いものの有意差はなかった(p=0.110)。しかし抗凝固薬単独群に限ると,75歳以上は75歳未満に比し多かった(p=0.024)。
一次エンドポイント+重篤な出血は30例(6.0%)vs 50例(2.8%)と,75歳以上で多かった(p=0.001)。
[治療別]
75歳以上において,一次エンドポイントは抗凝固薬単独群17例(7.0%),併用群6例(2.3%)(p=0.012)と,抗凝固薬単独群で多かった。大出血は10例(4.1%)vs 4例(1.5%)(p=0.132),頭蓋内大出血は5例(うち致死的4例)vs 0例,消化管大出血は2例(うち致死的1例)vs 4例(致死的0例)。

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Pérez-Gómez F, et al. Antithrom0botic therapy in elderly patients with atrial fibrillation: effects and bleeding complications: a stratified analysis of the NASPEAF randomized trial. Eur Heart J 2007; 28: 996-1003. pubmed
関連トライアル ACTIVE W CHADS2 score, ACTIVE W INR control, ACTIVE W paroxysmal vs sustained, AMADEUS, ARISTOTLE renal function, AVERROES, BAT, BAT blood pressure levels, Béjot Y et al, CHARISMA atrial fibrillation, CHARISMA post hoc analysis, ESPRIT , HAT 1, Lamberts M et al, NASPEAF, PROTECT AF, REACH serious bleeding, ROCKET AF renal dysfunction, Ruiz-Nodar JM et al, Sadanaga T et al, SPORTIF elderly patients, SPORTIF hypertension, SPORTIF INR control, SPORTIF pooled analysis, SYNERGY elderly, Torn M et al, 心血管疾患リスクを有する患者におけるaspirin+OAC併用とOAC単独投与の比較
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