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van Gogh Studies
結論 深部静脈血栓塞栓症(DVT)患者において,idraparinuxの有効性は標準的治療(heparin+ビタミンK拮抗薬)と同等であったが,肺血栓塞栓症(PE)患者においては劣っていた。

目的 静脈血栓塞栓症(VTE)患者において,血栓塞栓イベント再発予防のためのidraparinuxの有効性と安全性を標準的治療(未分画heparin/低分子量heparin+ビタミンK拮抗薬)と比較。有効性の一次エンドポイント:症候性VTE(客観的に確認されたPE/DVT),PEによる死亡。安全性の一次エンドポイント:出血,全死亡。
デザイン PROBE(prospective,randomized,open,blinded-endopoint),非劣性試験,intention-to-treat解析。本論文は別々に行われた2つの試験(DVT試験;DVT患者対象,PE試験;PE患者対象)から成る。
セッティング 多施設(318施設)。25ヵ国(北米,南米,ヨーロッパ,アフリカ,オセアニア)。
期間 スクリーン期間は2003年5月-2004年11月。
対象患者 2904例(DVT試験),2215例(PE試験)。18歳以上の急性症候性DVT/PE患者。下肢に症状を呈した者はDVT試験,胸部に症状を呈した者はPE試験の対象とし,DVTと診断された患者のうち,胸部症状を呈さない者へのPE検査は日常的には行わなかった。
【除外基準】ランダム化前の低分子量heparin/未分画heparinの治療用量の36時間超投与,血栓溶解薬による治療,塞栓除去術/大静脈フィルターを必要とした最近の塞栓症,他疾患によるビタミンK拮抗薬の適応,クレアチニンクリアランス(CCr)10mL/分未満,180/110mmHg超の治療抵抗性高血圧など。
【患者背景】平均年齢はDVT試験58歳,PE試験62歳。
治療法 [DVT試験]
idraparinux群*1(1452例)と標準的治療群*2(1452例)にランダム化。さらに再発リスクにもとづき,治療期間を3ヵ月(idraparinux群321例/標準的治療群316例),6ヵ月(1131/1136例)に層別化。
[PE試験]
idraparinux群*1(1095例)と標準的治療群*2(1120例)にランダム化。さらに再発リスクにもとづき,治療期間を3ヵ月(102/103例),6ヵ月(993/1017例)に層別化。
*1:idraparinux 2.5mg,週1回皮下投与。CCr 30mL/分未満の患者は2回目以降1.5mg投与。
*2:tinzaparin,enoxaparin,またはAPTTが1.5-2.5になるよう用量調整した静注heparinを投与し,ランダム化後24時間以内にwarfarin/acenocoumarol(INR2.0-3.0)を投与。INRは頻回に測定。heparinは初期治療が5日以上でINR値が連続2日以上2.0以上を記録した場合中止。
追跡完了率 有効性の一次エンドポイントに関する追跡完了率はDVT試験99.3%,PE試験99.1%。
【脱落理由】―
結果

●評価項目
[DVT試験]
92日までの一次エンドポイント発生率(3ヵ月群,6ヵ月群の合計,以下全例と表記)はidraparinux群42例(2.9%),標準的治療群43例(3.0%)(オッズ比[OR]0.98,95%CI 0.63-1.50)で,非劣性基準に合致した(非劣性p<0.001)。
183日までの6ヵ月群のみの一次エンドポイント発生率は3.7% vs 3.7%(OR 1.01,95%CI 0.66-1.55)で,非劣性基準に合致した。
92日までの出血(全例)は65例(4.5%)vs 101例(7.0%)と,idraparinux群で抑制された(p=0.004)。183日までの6ヵ月群のみでは8.3% vs 8.1%(p=0.85)と同等であった。
92日までの全死亡(全例)は33例(2.3%)vs 29例(2.0%)と同等であった(p=0.61)。183日までの6ヵ月群のみでは4.9% vs 3.9%(p=0.25)。
[PE試験]
92日までの一次エンドポイント発生率(全例)はidraparinux群37例(3.4%),標準的治療群18例(1.6%)(OR 2.14,95%CI 1.21-3.78)で,非劣性基準に合致せず(非劣性p=0.59),その上劣性を示した。
183日までの6ヵ月群のみの一次エンドポイント発生率は4.0% vs 2.0%(OR 2.09,95%CI 1.22-3.57)で,非劣性基準に合致しなかった。
92日までの出血(全例)は63例(5.8%)vs 92例(8.2%)とidraparinux群で抑制された(p=0.02)。183日までの6ヵ月群のみでは7.7% vs 9.7%(p=0.10)と有意差は認められなかった。
92日までの全死亡(全例)は56例(5.1%)vs 32例(2.9%)と,標準的治療群で少なかった(p=0.006)。183日までの6ヵ月群のみでは6.4% vs 4.4%(p=0.04)。

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Buller HR, et al; van Gogh Investigators. Idraparinux versus standard therapy for venous thromboembolic disease. N Engl J Med 2007; 357: 1094-104. pubmed
関連トライアル AMADEUS, Botticelli, Campbell IA et al, CASSIOPEA, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, EQUINOX, FIDO, Hestia Study, Hokusai-VTE, ISCVT, Main-LITE, Matisse Study, Palareti G et al, PREVAIL, PROTECT, RECORD3, THRIVE, van Gogh Studies prophylaxis, WARFASA, Wells PS et al, 長期VKA療法患者における周術期橋渡し療法
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