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SPAF III von Willebrand factor
結論 aspirin投与を受けた血栓塞栓症低-中等度リスクの非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において,von Willebrand因子(vWf)の上昇は脳卒中,血管イベントの予測因子であった。可溶性P-セレクチン(sP-sel)の上昇と心血管リスクの上昇との関連は認められなかった。

目的 NVAF患者において,vWf(内皮障害/機能不全のマーカー),sP-sel(血小板活性のマーカー)の血漿中濃度の上昇が脳卒中または複合エンドポイント(脳卒中,心筋梗塞,血管死)の独立予測因子となるかを検討。
デザイン 本論文は SPAF III試験(Lancet 1996;348:633-8)の血漿マーカーに関する検討。
セッティング
期間
対象患者 994例。SPAF III試験対象者のうちaspirin投与を受けた血栓塞栓症低-中等度リスクのNVAF患者。
SPAF III試験では,>75歳の女性,>160mmHgの収縮期高血圧,左心室機能低下,血栓塞栓症の既往,のいずれかにあてはまるNVAF患者を血栓塞栓症高リスク,あてはまらない患者を高血圧の有無により中等度または低リスクとし,高リスクの者をwarfarin単独群(目標プロトロンビン時間国際標準比[INR]2.0-3.0となるよう調整したwarfarinを投与),併用群(固定量の低用量warfarin[目標INR 1.2-1.5]+aspirin 325mg/日投与)にランダム化。低または中等度リスクの者はaspirin単独群(aspirin 325mg/日投与)とした。本論文ではこのうち,aspirin投与を受けた者(併用群およびaspirin単独群)を対象とし,用量調整warfarinによる脳梗塞抑制の潜在的交絡効果を排除するため,warfarin単独群は除外した。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢は69±9歳,女性25%。開始時の平均血漿中濃度:vWf 145±31 IU/dL,sP-sel 34±13ng/mL。
治療法
追跡完了率
【脱落理由】―
結果

●評価項目
開始時のvWf,sP-selの血漿中濃度により三分位に分割(カットポイントはvWf:131,158IU/dL,sP-sel:28,38ng/mL)。
[vWf]
vWf血漿中濃度が高いほど脳卒中発症率が高かったが(p=0.03),年齢などで補正すると有意差は消失した(第2三分位群 vs 最低三分位群の相対リスク[RR]1.7,95%CI 0.7-4.3,最高三分位群 vs 最低三分位群のRR 2.3,95%CI 1.0-5.6,p=0.13)。
連続変数による解析でも有意差が認められたが(p=0.02),補正後は有意水準に届かなかった(vWf 20IU/dL上昇ごとのRR 1.2,95%CI 1.0-1.5,p=0.06)。
血管イベント(脳梗塞,心筋梗塞,血管死)発症率は最高三分位群で高く(p<0.001),年齢などで補正後も有意であった(第2三分位群 vs 最低三分位群のRR 1.6,95%CI 0.8-3.3,最高三分位群 vs 最低三分位群のRR 2.5,95%CI 1.2-5.0,p=0.02。vWf 20IU/dL上昇ごとのRR 1.2,95%CI 1.0-1.4,p=0.02)。
[sP-sel]
三分位,連続変数のいずれの解析においても,脳卒中,血管イベントとの関連はみられなかった(p=0.2-0.6)。

脳卒中は39例発症した。内訳は心原性20例,非心原性10例,不明9例で,vWf最低三分位群では心原性のみ,他2群では心原性約60% vs 非心原性40%(p=0.05)。

●有害事象

文献: Conway DS, et al. Prognostic value of plasma von Willebrand factor and soluble P-selectin as indices of endothelial damage and platelet activation in 994 patients with nonvalvular atrial fibrillation. Circulation 2003; 107: 3141-5. pubmed
関連トライアル ACTIVE W, ACTIVE W CHADS2 score, ACTIVE W paroxysmal vs sustained, JAST, Koton S et al, Roldan V et al, SPAF III 1998, van Walraven C et al
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