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HAT Lepirudin in Patients with Heparin-induced Thrombocytopenia Prospective Study
結論 heparin誘発性血小板減少症(HIT)患者において,lepirudinの投与を開始後,新規の血栓塞栓性合併症(TEC)の発生率は低下した。大出血発生率は,ボーラス投与を避け,開始用量を0.1mg/kg/時に減量することにより低下すると思われる。

目的 heparin誘発性血小板減少症(HIT)患者におけるlepirudinの有効性および安全性を,HAT-3の結果および全HAT試験データの統合結果から評価。エンドポイント:新規のTEC,四肢切断,死亡および大出血。
デザイン オープン,プロスペクティブ,intention-to-treat解析。本論文は,HAT-3の結果および全HAT試験(HAT-1[Circulation 1999;99:73-80],HAT-2[Circulation 1999;100:587-93],HAT-3)の統合解析。
セッティング 多施設(70施設)。ドイツ。
期間 治療期間は1996年4月-1997年5月。
対象患者 205例+過去の治療によるコントロール群120例。臨床検査により確認されたHIT(血小板数が≦10万/μLまたはベースライン値の≧50%の減少,および/またはheparin療法中のTEC発症)またはHITの既往があり,非経口的抗凝固薬による治療または予防的投与が必要な18歳以上の患者。
【除外基準】明らかな出血の徴候,妊娠中,予想されるコンプライアンス不良など。
【患者背景】年齢中央値は治療群57-69(範囲20-90)歳,過去の治療によるコントロール群(lepirudin 未使用)67(範囲19-90)歳。
治療法 患者を以下のとおり群別し,lepirudinを投与。A1群(98例):TECを有する患者。0.4mg/kgのボーラス静注から開始し,その後0.15mg/kg・時を連続静注。A2群(12例):TECを有し,血栓溶解療法を受けている患者。0.2mg/kgのボーラス静注から開始し,その後0.1mg/kg・時を連続静注。B群(84例):急性TECを有さない患者。0.1mg/kg/時を連続静注。C群(10例):心肺バイパス術(CPB)中の抗凝固療法。0.2mg/kgを人工心肺装置の準備用量とし,0.25mg/kgをボーラス静注,その後はecarin凝固時間により調整し,体外循環開始前は>2.5μg/mLを,CPB中は3.5-4.5μg/mLを維持するよう静注。CPB後は,担当医の裁量によりB群に変更可能。
過去の治療によるコントロール群(120例):hepain誘発性血小板活性化検査陽性によりHITと診断された患者。
追跡完了率
結果

●評価項目
治療群の98.5%が臨床検査により確認されたHITを有していた。プロトコールに準拠して試験を完了した患者は167例(81.5%),治療群におけるlepirudinの平均維持用量は0.11mg/kg/時,投与期間の中央値は10.0日であった。
lepirudin投与開始後の複合エンドポイントの発生は43例(21.0%)にみられた。内訳は死亡30例(14.6%。投与中9例,投与後21例),四肢切断10例(4.9%),新規TEC 11例(5.4%)。大出血は19.5%(皮注およびCPB中に輸血を要した患者を除くと17.0%)にみられた。死因は多臓器不全,ショック,心不全,大出血,敗血症などであった。
全HAT試験(403例)の統合解析では,lepirudinを投与後,複合エンドポイントは82例(20.3%)にみられた。内訳は死亡47例(11.7%),四肢切断22例(5.5%),新規TEC 30例(7.4%)。大出血は71例(17.6%,C群を除くと15.7%)にみられた。
log-rank testによる,過去の治療によるコントロール群との比較では,投与開始後,主として新規TECの発生率が低下(11.9% vs 32.1%,p=0.0008)したことにより,複合エンドポイントの発生率が低下した(29.7% vs 52.1%,p=0.0473)。大出血はlepirudin群で多かった(29.4% vs 9.1%,p=0.0148)。

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Lubenow N, et al. and Hit Investigators Group. Lepirudin in patients with heparin-induced thrombocytopenia - results of the third prospective study (HAT-3) and a combined analysis of HAT-1, HAT-2, and HAT-3. J Thromb Haemost 2005; 3: 2428-36. pubmed
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