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BISTRO II Boehringer Ingelheim Study in Thrombosis II
結論 人工股関節/膝関節全置換術の術後早期(1-4時間以内)から開始した静脈血栓塞栓症(VTE)予防のためのdabigatran etexilate経口投与は,用量依存的に有効性および安全性を示した。特に高用量投与(150,225mg,各1日2回,300mg,1日1回)は,手技前からのenoxaparin 40mg/日投与より高い有効性を示したが,出血も増加した。

目的 人工股関節/膝関節全置換術を施行した患者において,VTE予防のためのdabigatran etexilate投与の有効性と安全性を用量依存的に検討し,enoxaparin投与と比較。有効性の一次エンドポイント:治療期間中のVTE(症候性または静脈造影により検出された深部静脈血栓塞栓症[DVT]/肺塞栓症[PE])。安全性の一次エンドポイント:治療期間中の大出血。
デザイン ランダム化,二重盲検,並行,実薬対照試験,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(62施設)。ヨーロッパ,南アフリカ。
期間 登録期間は2002年11月-2003年8月。
対象患者 1949例(有効性の解析対象は1464例)。待機的primary人工股関節/膝関節全置換術を予定された18歳以上かつ体重40kg以上の患者。
【除外基準】出血性素因,凝固障害,急性頭蓋内疾患またはその既往,3ヵ月以内の大手術/外傷,心血管疾患(コントロール不良の高血圧,6ヵ月以内の心筋梗塞など),脳卒中の既往,1年以内のDVT/消化管出血/肺出血,肝疾患(AST/ALTが正常値上限の3倍超),腎疾患,長期の抗凝固薬/抗血小板薬(160mg/日までの低用量aspirinを除く)投与,手技前7日間の血栓溶解薬投与,血小板減少症,活動性悪性腫瘍,細胞増殖抑制薬による治療中,下肢切断など。
【患者背景】平均年齢は65.9(範囲20-93)歳。
治療法 dabigatran etexilate 50,150,225mg,各1日2回,300mg,1日1回投与群*1(DE50bid群:389[302]例,DE150bid群:390[282]例,DE300qd群:385[283]例,DE225bid群:393[297]例)とenoxaparin群*2(392[300]例)にランダム化([]内は有効性の解析例)。施設および手技[人工股関節/膝関節全置換術]により層別化。
*1:上記用量を経口投与。初回投与は手技終了1-4時間後または可能な限り早期に実施。2回目の投与は,初回投与から8時間以上経過した場合のみ初回投与当日に実施。
*2:40mg/日を皮下投与。初回投与は手技前夜(国によっては手技後),以後静脈造影まで投与を継続。
両群とも試験薬を6-10日間投与し,最後の経口投与後12時間以内に両側静脈造影を実施。
治療期間中の長時間作用型非ステロイド性抗炎症薬の併用投与は禁止,ただし短時間作用型非ステロイド性抗炎症薬(半減期12時間未満),低用量aspirin,選択的COX-2阻害薬の投与は許可。制酸薬は試験薬投与の2時間前または投与後に限り許可。弾性ストッキングの使用は許可,間欠的空気圧迫デバイスの使用は禁止。
追跡完了率 治療開始後の脱落はdabigatran etexilate群9/1557例(0.6%),enoxaparin群3/392例(0.8%)。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
有効性の一次エンドポイントはDE50bid群86例(28.5%),DE150bid群49例(17.4%),DE300qd群47例(16.6%),DE225bid群39例(13.1%)と用量増加に伴い低下した(p<0.0001)。またenoxaparin群72例(24.0%)に比し,DE150bid群(オッズ比[OR]0.65,p=0.04),DE300qd群(OR 0.61,p=0.02),およびDE225bid群(OR 0.47,p=0.0007)で有意に低かった。
安全性の一次エンドポイントはDE50bid群1例(0.3%),DE150bid群16例(4.1%),DE300qd群18例(4.7%),DE225bid群15例(3.8%),enoxaparin群8例(2.0%)と,dabigatran etexilate群内ではDE50bid群に比し他の3群で有意に高かった(p値のデータなし)。enoxaparin群との比較では,DE50bid群では有意に低く(p=0.047),DE150bid群(p=0.10),DE300qd群(p=0.051),DE225bid群(p=0.15)では高い傾向がみられた。
治療期間中の死亡はなく,追跡期間中に2例が死亡した(DE50bid群,DE225bid群各1例。いずれも活動性悪性腫瘍,うち1例は致死的PEの疑い)。

●有害事象
重篤な有害事象は98例(160件),うち試験薬によるものは24例(DE50bid群0例,DE150bid群4例,DE300qd群12例,DE225 bid群6例,enoxaparin群2例)であった。
治療期間中,ASTおよびALTは全群において緩やかに上昇したが,ビリルビン値上昇には至らなかった。正常値上限3倍超のALT上昇は,dabigatran etexilate各群で5例(1.5%)-10例(3.1%)と,enoxaparin群26例(7.4%)に比し低かった。

文献: Eriksson BI, et al., BISTRO II Study Group. A new oral direct thrombin inhibitor, dabigatran etexilate, compared with enoxaparin for prevention of thromboembolic events following total hip or knee replacement: the BISTRO II randomized trial. J Thromb Haemost 2005; 3: 103-11. pubmed
関連トライアル ADVANCE-2, APROPOS, dabigatran,rivaroxaban,apixabanによる関節置換術後の血栓予防, DRIVE, ODIXa-HIP, ODIXa-KNEE, ODIXa-OD-HIP, RE-COVER, RE-MODEL, RE-NOVATE, RECORD1, RECORD2, RECORD4, SAVE-KNEE, SAVE-HIP1, SAVE-HIP2, 人工股関節,膝関節全置換術施行患者のVTE予防におけるdabigatranの有効性および安全性
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