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ICTUS Invasive versus Conservative Treatment in Unstable Coronary Syndromes
結論 至適薬物療法を受けた心筋トロポニンT値上昇を伴う非ST上昇型急性冠症候群(ACS)患者において,早期侵襲的治療の有効性は選択的侵襲的治療と同程度であった。

目的 心筋トロポニンT値上昇を伴う非ST上昇型ACS患者において,早期侵襲的治療が選択的侵襲的治療より優れているかを検討。一次エンドポイント:ランダム化後1年以内の全死亡+心筋梗塞(MI)再発+狭心症による再入院。
デザイン ランダム化。
セッティング 多施設(42施設)。オランダ。
期間 登録期間は2001年7月-2003年8月。追跡期間は1年。
対象患者 1200例。以下のすべての項目を満たす18-80歳の患者:(1)直近の発作から24時間以内の進行性または安静時発症の虚血症状,(2)心筋トロポニンT値上昇(≧0.03μg/L),(3)心電図による虚血変化(0.05mVを超えるST低下/一過性ST上昇または隣接する複数の誘導における≧0.2mVのT波反転)または冠動脈疾患の既往(MIの既往/冠動脈造影所見/運動負荷試験陽性)。
【除外基準】48時間以内のST上昇型MI,primary経皮的冠動脈形成術(PCI)または血栓溶解療法の適応,血行動態の不安定化または明らかなうっ血性心不全,7日間以内の経口抗凝固薬の服用,96時間以内の血栓溶解療法,14日間以内のPCI,最近の外傷または出血のリスク,治療抵抗性高血圧(>180/100mmHg),体重>120kgなど。
【患者背景】年齢(中央値)は両群とも62歳,男性は早期侵襲群74%,選択的侵襲群73%,各群のMI既往25%,21%,高血圧37%,40%,糖尿病14%,13%,高コレステロール血症35%,35%,喫煙40%,42%,冠動脈疾患の家族歴44%,40%。
治療法 早期侵襲群*1 (604例),選択的侵襲群*2 (596例)にランダム化。
*1:ランダム化後24-48時間以内に血管造影を行い,適応がある場合はPCIを施行。3枝病変または重症左主幹部病変には初回入院期間中の可能なかぎり早期に冠動脈バイパス術(CABG)を施行。
*2:至適薬物治療にもかかわらず難治性狭心症,血行動態/律動の不整,退院前の運動負荷試験で臨床的に明らかな虚血が認められた場合にのみ血管造影および血行再建術を施行。至適薬物治療にもかかわらず重度の狭心症症状(Canadian Cardiovascular Society分類IIIおよびIV)が認められた場合,またはその後の試験で虚血が認められた場合は,初回入院期間後に血管造影および血行再建術を施行。

全例に対しランダム化時にaspirin 300mgを投与し,以後75mg/日を無期限投与。enoxaparin 1mg/kg(最大80mg)を48時間以上1日2回皮下投与(すでに未分画heparinを投与していた場合はランダム化直後にenoxaparin投与に切り替え)。2002年にclopidogrelのACSへの適応が認可されてからはaspirin+clopidogrel(ランダム化直後に300mg,以後75mg/日)併用投与を医師に推奨。早期入院期間中の手技に際しバルーン拡張の10-60分前からabciximab 0.25mg/kgをボーラス投与,以後0.125μg/kg/分を12時間投与(引き続きPCIを施行する場合もabciximabを投与)。強化脂質低下療法としてランダム化後可能なかぎり早期からatorvastatin 80mg/日などの無期限投与を推奨。入院後/新規虚血発症後/経皮的血行再建術後,24時間以上にわたりCK-MBを6時間ごとに測定。
追跡完了率 1年以内の脱落は6例。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
一次エンドポイント(全死亡+MI再発+狭心症による再入院)は137例 vs 126例にみられ,1年間の累積見積もり発生率は22.7% vs 21.2%と同等であった(相対リスク[RR]1.07,95%CI 0.87-1.33,p=0.33)。死亡率は2.5% vs 2.5%と同等であったが(RR 0.99,95%CI 0.49-2.00,p=0.97),MIの累積リスクは15.0% vs 10.0%と早期侵襲群の方が高く(RR 1.50,95%CI 1.10-2.04,p=0.005),再入院率は7.4% vs 10.9%と早期侵襲群の方が低かった(RR 0.68,95%CI 0.47-0.98,p=0.04)。

●有害事象
入院中のCABGに関連しない大出血は19例(3.1%)vs 10例(1.7%)に認められた。

文献: de Winter RJ, et al., Invasive versus Conservative Treatment in Unstable Coronary Syndromes (ICTUS) Investigators Early invasive versus selectively invasive management for acute coronary syndromes. N Engl J Med 2005; 353: 1095-104. pubmed
関連トライアル ACUITY GP IIb/IIIa inhibitors , CAPTURE 1999, CAPTURE 2000, CLARITY-TIMI 28, CRUSADE, CURE, DANAMI, GUSTO IIb 1996, GUSTO IIb 1997, ICTUS 5-year outcomes, OASIS-5, OASIS-5 and 6, PRISM-PLUS 1998, PURSUIT 1998, RESTORE, SYNERGY, TACTICS-TIMI 18 1998, TACTICS-TIMI 18 2001, TIMI II 1989, TIMI IIIB 1994, TIMI IIIB 1995, TRANSFER-AMI, VANQWISH, WARIS 1990, 非ST上昇型ACS患者におけるルーチン侵襲治療と選択的侵襲治療の長期転帰, 非ST上昇型急性冠症候群に対する初期侵襲的治療および保存的治療の性差
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