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PCI-CLARITY Percutaneous Coronary Intervention-Clopidogrel as Adjunctive Reperfusion Therapy
結論 線溶療法を受けた高リスクのST上昇型心筋梗塞(MI)患者において,経皮的冠動脈形成術(PCI)施行前のclopidogrel投与により,大出血および小出血が増加することなく,手技前後の心血管死および虚血性合併症が抑制された。
コメント 線溶療法に強力な抗血小板療法を併用しても出血/血栓バランスにおいて得になるほど対象例の血栓性が高いことにインパクトがある。本結果が日本人に応用できるか否かには議論があろう。(後藤信哉

目的 ST上昇型MI患者において,PCI施行前のclopidogrel投与による主要心血管イベントの予防効果を,PCI施行時からのclopidogrel投与と比較。有効性の一次エンドポイント:PCI施行時からランダム化30日後までの心血管死+MI再発+脳卒中。有効性の二次エンドポイント:PCI前のMI再発+脳卒中,ランダム化後30日間の心血管死+MI再発+脳卒中。安全性の一次エンドポイント:PCI施行時からランダム化30日後までのTIMI大出血+小出血。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(319施設)。23カ国。
期間 登録期間は2003年2月-2004年10月。追跡期間は30日。
対象患者 1863例。ランダム化前12時間以内に安静時胸部不快感が20分超持続し,隣接する複数の誘導にて0.1mV以上のST上昇/隣接する複数の前胸部誘導にて0.2mV以上のST上昇/新規左脚ブロックのいずれかが認められ,線溶薬,抗凝固薬(フィブリン特異的溶解薬を処方された場合),およびaspirin投与を予定した18-75歳の患者のうち,入院中にPCIを施行した症例。
【除外基準】登録前7日以内のclopidogrel投与/血管造影前のGP IIb/IIIa受容体拮抗薬の投与予定,新規の臨床的適応がない48時間以内の血管造影予定,心原性ショック,冠動脈バイパス術歴,未分画heparinのボーラス投与(4000U超[体重≦67kg]または5000U超[体重>67kg])または基準用量を超える低分子量heparinの投与など。
【患者背景】平均年齢はclopidogrel前投与群57.7±10.0歳,非前投与群56.9±10.1歳。
治療法 clopidogrel前投与群(933例。clopidogrel 300mg投与後,75mg/日を投与)と非前投与群(930例。プラセボを投与)にランダム化。
投与期間は線溶療法開始後45分以内(至適開始時点は10分以内)から血管造影当日まで。
全例に線溶薬(担当医により選択),aspirin(初日150-325mg+翌日以後75-162mg/日を推奨),heparin(フィブリン特異的溶解薬投与例について48時間,未分画heparinは60U/kgボーラス静注[最大4000U]後12U/kg/時静注[最大1000U/時],なお低分子量heparin投与およびストレプトキナーゼ投与例に対するheparin投与は担当医の指示による)を投与。試験薬投与開始48-192時間後(入院中)に血管造影を実施し,責任動脈における後期開存を評価(臨床的適応があった場合のみ48時間後以前の実施を許可)。医師の指示にもとづきPCIを施行。ステント植込み施行例に対し血管造影後のclopidogrel投与(初回300mg以上,以後75mg/日)を推奨。臨床的適応があった場合のみ血管造影前のGP IIb/IIIa受容体拮抗薬投与を許可(血管造影後の投与は許可)。PCI施行例に対し,手技後24時間にわたりCK-MBを3回測定し,PCI後MIをモニタリング。
追跡完了率 追跡完了率は99.9%(1862/1863例)。
結果

●評価項目
有効性の一次エンドポイントは,clopidogrel前投与群34例(3.6%)vs 非前投与群58例(6.2%)と,clopidogrel前投与群にて低かった(補正後オッズ比[OR]0.54,95%CI 0.35-0.85,p=0.008,治療必要数[NNT]39例)。内訳は心血管死1.4% vs 2.6%(補正後OR 0.49),MI再発1.9% vs 3.1%(補正後OR 0.60),脳卒中0.4% vs 1.2%(補正後OR 0.35)。
PCI前のMI再発+脳卒中は,37例(4.0%)vs 58例(6.2%)と,clopidogrel前投与群にて低かった(補正後OR 0.62,95%CI 0.40-0.95,p=0.03)。内訳はMI再発4.0% vs 6.1%(補正後OR 0.60),脳卒中0% vs 0.1%。
ランダム化後30日間の心血管死+MI再発+脳卒中は,70例(7.5%)vs 112例(12.0%)と,clopidogrel前投与群にて低かった(補正後OR 0.59,95%CI 0.43-0.81,p=0.001,NNT23例)。
安全性の一次エンドポイントは,18例(2.0%[TIMI大出血5例,TIMI小出血13例])vs 17例(1.9%[TIMI大出血10例,TIMI小出血7例])と有意差はみられなかった(p>0.99)。

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Sabatine MS, et al; Clopidogrel as Adjunctive Reperfusion Therapy (CLARITY)-Thrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI) 28 Investigators. Effect of clopidogrel pretreatment before percutaneous coronary intervention in patients with ST-elevation myocardial infarction treated with fibrinolytics: the PCI-CLARITY study. JAMA 2005; 294: 1224-32. pubmed
関連トライアル 3T/2R, AAASPS 2003, APPRAISE, ARMYDA-5 PRELOAD, Austrian Acute PCI Registry, Bonello L et al, CAPRIE 2000, CHAMPION PCI, CLARITY-TIMI 28, CLASSICS, clopidogrel前投与と死亡,心血管イベント,大出血, COMMIT, CREDO, ExTRACT-TIMI 25 clopidogrel, ExTRACT-TIMI 25 PCI, MHI Level 1 MI programme, Mishkel GJ et al, NORDISTEMI , OASIS-6, On-TIME 2, On-TIME 2 pooled analysis, PCI-CURE, PLATO, PLATO invasive strategy, PRAGUE-8, PRINCIPLE-TIMI 44, SCAAR upstream clopidogrel treatment, SWISSI II, SYNERGY, TRANSFER-AMI, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 discharge aspirin dose, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI
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