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PREVAIL Prevention of Venous Thromboembolism after Acute Ischaemic Stroke
結論 急性虚血性脳卒中を発症した患者において,静脈血栓塞栓症(VTE)予防のためのenoxaparin投与は,臨床的ベネフィットおよび1日1回投与という利便性により,未分画heparinに比し優れていることが示唆された。

目的 急性虚血性脳卒中を発症した患者において,低分子量heparin(enoxaparin)によるVTE予防に対する有効性と安全性を,未分画heparinと比較。有効性の一次エンドポイント:治療期間中(最大14日間)のVTE(症候性/無症候性深部静脈塞栓症+症候性/致死的肺塞栓症)。有効性の二次エンドポイント:ランダム化後30,60,90日間の症候性VTE(深部静脈塞栓症+肺塞栓症)など。安全性の一次エンドポイント:治療終了後48時間までの症候性頭蓋内出血,頭蓋外大出血など。安全性の二次エンドポイント:頭蓋外小出血など。
デザイン ランダム化,オープン,単盲検(評価者)。
セッティング 多施設(200施設)。15ヵ国(オセアニア,ヨーロッパ,南米,北米,アジア)。
期間 登録期間は2003年8月-2006年4月。平均治療期間は10.5±3.2日。追跡期間は90日。
対象患者 1762例(有効性の解析対象1335例,安全性の解析対象1749例)。48時間以内に急性虚血性脳卒中を発症し(CTまたはMRIによる診断),運動障害により補助がないと歩行不可能,かつ下肢運動機能に関するNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア≧2の18歳以上の患者。
【除外基準】活動性出血,頭蓋内出血かつ/またはheparin/enoxaparin誘発性血小板減少症(またはこれらの既往),24時間以内の脊椎/硬膜外麻酔法または腰椎穿刺,24時間以内の血栓溶解療法,昏睡(意識に関するNIHSSスコア≧2),脳動脈瘤/動静脈奇形またはその疑い,止血障害, 3ヵ月以内の大手術または大外傷,治療域レベル最大用量の抗凝固療法が必要,48時間以内に低分子量/未分画heparinを予防用量投与,感染性心内膜炎,人工心臓弁,重度の貧血またはその疑い,管理されていない高血圧症または高血圧緊急症の症状,重度の腎疾患など。
【患者背景】平均年齢はenoxaparin群65.9±12.9歳,未分画heparin群66.1±12.9歳。
治療法 enoxaparin群(884例。40mgを1日1回皮下注)と未分画heparin群(878例。5000Uを12時間ごとに皮下注)にランダム化。また,あらかじめNIHSSスコア≧14と<14に層別化。
投与期間は10日(範囲6-14日)。
追跡完了率 治療の脱落は13例(enoxaparin群7例,未分画heparin群6例)。安全性の解析からの脱落は414例(enoxaparin群211例,未分画heparin群203例)。有効性の解析からの脱落は122例(enoxaparin群62例,未分画heparin群60例)。
【脱落理由】安全性の解析: 静脈造影/エコー検査にて評価不能,有害事象,死亡,追跡不能,辞退など。有効性の解析:発症後48時間超のランダム化,下肢の運動障害が著明でない,など。
結果

●評価項目
治療期間中のVTEはenoxaparin群が68例(10%)と,未分画heparin群121例(18%)に比し低かった(相対減少率43%,相対リスク0.57[95%CI 0.44-0.76],p=0.0001,絶対差-7.9%[95%CI -11.6--4.2])。またNIHSSスコアによる層別でも,≧14(26例[16.3%]vs 52例[29.7%],p=0.004)および<14(42例[8.3%]vs 69例[14.0%],p=0.004)とも,enoxaparin群にて低かった。
30日ごとの解析でも,30日間(70例[11%]vs 121例[18%]),60日間(70例[11%]vs 122例[18%]),90日間(70例[11%]vs 122例[18%])とすべてenoxaparin群にて低かった(全時点においてp<0.0001)。
治療終了後48時間までの全出血は69例(8%)vs 70例(8%)と,有意差はみられなかった(p=0.83)。症候性頭蓋内出血も4例(1%)vs 6例(1%)と有意差がみられず(p=0.55),頭蓋外大出血は7例(1%)vs 0例(0%)と未分画heparin群にて低かったが(p=0.015),これらの複合エンドポイント(臨床的に重大な出血)は11例(1%)vs 6例(1%)と有意差がみられなかった(p=0.23)。
治療終了後48時間までの臨床的に重大な出血を伴う死亡は5例(1%)vs 4例(1%)で有意差はみられず(p=1.0),頭蓋外小出血についても,42例(5%)vs 48例(6%)と同様に有意差はみられなかった(p=0.50)。

●有害事象
ランダム化後の死亡は14日間で48例(6%)vs 45例(5%),90日間で100例(12%)vs 103例(12%)と,いずれも有意差はみられなかった(14日間p=0.58,90日間p=0.96)。

文献: Sherman DG, et al. and PREVAIL Investigators. The efficacy and safety of enoxaparin versus unfractionated heparin for the prevention of venous thromboembolism after acute ischaemic stroke (PREVAIL Study): an open-label randomised comparison. Lancet 2007; 369: 1347-55. pubmed
関連トライアル ACE , ACUITY switching to bivalirudin, ADOPT, ADVANCE-2, AMADEUS, ATLAS ACS-TIMI 46 , CASSIOPEA, EARLY, ECASS III additional outcomes, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, ExTRACT-TIMI 25, ExTRACT-TIMI 25 clopidogrel, FIDO, FISS-tris, IST 1997, Kucher N et al, Matisse Study, ODIXa-KNEE, PREVAIL subanalysis, PROTECT, RE-NOVATE, RECORD1, RECORD2, RECORD3, RECORD4, STEEPLE, SYNERGY long-term outcomes, THRIVE, Turpie AGG et al 1992, 急性出血性脳卒中患者におけるVTE予防のための抗凝固療法
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