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Campbell IA et al Anticoagulation for three versus six months in patients with deep vein thrombosis or pulmonary embolism, or both: randomised trial
結論 血栓性素因や再発のリスク因子をもたない深部静脈血栓症(DVT)または肺血栓塞栓症(PE)の患者において,経口抗凝固薬warfarinの有効性は3ヵ月投与と6ヵ月投与で同程度であった。一方,治療期間中の出血のリスクは,3ヵ月投与にて6ヵ月投与に比し有意に抑制された。抗凝固薬の至適投与期間を検討するためには,より大きなサンプルサイズにおいてDダイマー試験を用いたトライアルが必要である。

目的 DVTかつ/またはPEの発症後における経口抗凝固薬の有効性と安全性を投与期間(3ヵ月 vs 6ヵ月)にて比較。エンドポイント:DVT/PEによる死亡,治療期間中における非致死的な治療未完遂(DVT/PEの消散不成功/拡大/再発),治療期間後の非致死的DVT/PE再発,治療期間中の非致死的な大出血,有害アウトカム(以上4つのエンドポイントの複合)。
デザイン ランダム化。
セッティング 多施設(46施設)。イギリス。
期間 登録期間は1999年9月-2002年12月。追跡期間は12ヵ月。
対象患者 749例。DVTかつ/またはPEの診断(またはその疑い)を受け,抗凝固療法を予定された18歳以上の患者。
【除外基準】血栓溶解または肺塞栓摘出術を要する重篤なDVT/PE,3年以内に新生組織形成の診断かつ/またはその治療の必要性,妊娠,3年以内のDVT/PEの既往,赤血球増加症/血小板増加症/アンチトロンビンIII欠損症/ループス性抗凝固因子/ホモ接合型の第V因子Leiden変異/プロテインCまたはプロテインS欠損症などの血液疾患,進行した多発性硬化症または下肢の整形外科的障害のような長期的/継続的な臥床またはこれらが予想される状態,heparin/warfarinに対するアレルギー,長期抗凝固療法の必要性など。
【患者背景】平均年齢は3ヵ月投与群59.0歳,6ヵ月投与群58.5歳。
治療法 warfarinを3ヵ月間投与する群(369例;3ヵ月投与群)と6ヵ月間投与する群(380例;6ヵ月投与群)にランダム化。
warfarinは国際標準比(INR)2.0-3.5を維持するよう用量調整。はじめの5日間はheparin(原則として低分子量heparin であるdalteparinを使用,tinzaparin,未分画heparinも許可)を併用投与。医師の判断により必要に応じてwarfarinの代わりにcoumarinの投与を許可。
追跡完了率 脱落は3ヵ月投与群6例,6ヵ月投与群4例。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
DVT/PEによる死亡は3ヵ月投与群2例(0.5%,治療期間中1例,治療期間終了1ヵ月後1例)vs 6ヵ月投与群3例(0.8%,いずれも治療期間中)。
治療期間中における非致死的な治療未完遂(DVT/PEの消散不成功/拡大/再発)は6例 vs 10例。
治療期間後の非致死的再発は23例 vs 16例。
治療期間中の致死的/非致死的な治療未完遂+治療期間後の再発は31例(8.4%)vs 29例(7.6%)と有意差は認められなかった(p=0.80,差の95%CI -3.1-4.7)。
治療期間中の非致死的な大出血は0例 vs 8例(2%,2ヵ月目1例,3ヵ月目2例,4ヵ月目5例)と6ヵ月投与群にて有意に高かった(p=0.008,差の95%CI -3.5--0.7)。
有害アウトカムは31例(8%)vs 35例(9%)と有意差は認められなかった(p=0.79,95%CI -4.9-3.2)。

●有害事象
DVT/PE以外の原因による死亡(治療期間中/後)は3ヵ月投与群12例,6ヵ月投与群16例(うち1例は治療期間中に詳細不明の脳血管イベントにより死亡)。

文献: Campbell IA, et al. Anticoagulation for three versus six months in patients with deep vein thrombosis or pulmonary embolism, or both: randomised trial. BMJ 2007; 334: 674. pubmed
関連トライアル CASSIOPEA, ELATE, Fitzmaurice DA et al, Hestia Study, Kucher N et al, Palareti G et al, PREVENT 2003, THRIVE, van Gogh Studies, VTE再発予防療法の至適期間
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