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SITS-MOST Safe Implementation of Thrombolysis in Stroke-Monitoring Study
結論 SITS-MOSTプロトコール [リンク] (アクセス2008年11月20日)による急性虚血性脳卒中発症後3時間以内のalteplase静注は,ルーチンの臨床現場において,脳卒中センターの血栓溶解療法の経験の有無によらず,先行のランダム化比較試験の統合結果と同程度に有効かつ安全であることが確認された。

目的 EUの広範囲の脳卒中センターにおいて,SITS-MOSTプロトコールのもとに急性虚血性脳卒中発症後3時間以内のalteplase静注による血栓溶解療法を行い,その有効性および安全性を,alteplaseに関する先行のランダム化比較試験の統合結果(pooled RCT [alteplase群464例])*1と比較。一次エンドポイント:SITS-MOST基準*2にもとづく24時間の症候性脳内出血(SICH)2型,3ヵ月間の死亡。二次エンドポイント:3ヵ月間の機能的自立(modified Rankin Score[mRS] 0-2)。その他のエンドポイント:NINDS(National Institute of Neurological Disorders and Stroke)/Cochran基準*3にもとづく7日間のSICH;ECASS(European Cooperative Acute Stroke Study)*4にもとづく7日間のSICH;3ヵ月間の全快(mRS 0-1)。

*1: Wardlaw JM et al. Cochrane Database Syst Rev 2000; 2および2003; 3.
*2: National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア≧4の神経学的悪化/致死的な実質性出血2型。
*3: 全出血および致死的/NIHSSスコア≧1の神経学的悪化。
*4:全出血および致死的/NIHSSスコア≧4の神経学的悪化。
デザイン オープン,コホート研究。
セッティング 多施設(285施設,うち50%は脳卒中に対する血栓溶解療法の経験なし)。14ヵ国(EU[2002年現在],ノルウェー,アイスランド)。
期間 登録期間は2002年12月25日-2006年4月30日。追跡期間は3ヵ月。
対象患者 6483例。急性虚血性脳卒中発症後3時間以内の18-80歳の患者。
【除外基準】重篤な脳卒中(ベースライン時のCTスキャンの所見またはNIHSSスコア≧25),3ヵ月以内の脳卒中既往,糖尿病治療中かつ機能障害が残存している陳旧性脳卒中,脳卒中発症時に抗凝固薬の高用量静注/経口を服用。
【患者背景】年齢中央値は68歳。
治療法 alteplase 0.9mg/kgを静注。本研究(SITS-MOST)とpooled RCTを比較。
追跡完了率 7日後の追跡完了率は99.9%。NIHSSデータの追跡完了率は24時間後95.8%,7日後83.6%。mRSの追跡完了率は3ヵ月後94.6%。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
一次エンドポイントについて,24時間のSITS-MOST基準にもとづくSICH発症率は1.7%(107/6444例,95%CI 1.4-2.0)であった。3ヵ月間の死亡率はSITS-MOSTで11.3%(701/6218例,95%CI 10.5-12.1),pooled RCTで17.3%(83/479例,95%CI 14.1-21.1)であった。
二次エンドポイントの3ヵ月間の機能的自立は,SITS-MOSTで54.8%(3362/6136例,95%CI 53.5-56.0),pooled RCTで49.0%(227/463例,95%CI 44.4-53.6)であった。
その他,7日間のNINDS/Cochran基準にもとづくSICH発症率は,SITS-MOSTで7.3%(468/6438例,95%CI 6.7-7.9),pooled RCTで8.6%(95%CI 6.3-11.6)であった。
7日間のECASS基準にもとづくSICH発症率は,SITS-MOSTで4.6%(296/6442例,95%CI 4.1-5.1),ECASS II試験で8.8%(36/407例,95%CI 6.4-12.2)であった(相当するpooled RCTの報告なし)。
3ヵ月間の全快率はSITS-MOSTで38.9%(2386/6136例,95%CI 37.7-40.1),pooled RCTで42.3%(196/463例,95%CI 37.8-47.0)であった。
SITS-MOSTにおける以上のエンドポイントを各施設の治療経験の有無により比較したところ,3ヵ月間の死亡率を除きいずれも同程度であった(24時間のSITS-MOST基準にもとづくSICH:経験あり1.6% vs 経験なし1.7%,7日間のNINDS/Cochran基準にもとづくSICH:7.3% vs 7.3%,7日間のECASS基準にもとづくSICH:4.6% vs 4.6%,3ヵ月間の機能的自立:54.4% vs 56.0%,3ヵ月間の全快率:38.3% vs 40.7%)。なお3ヵ月間の死亡率は10.6% vs 13.3%と経験のない施設にて高値であったが,pooled RCT(17.3%)より低値であった。

●有害事象
3ヵ月以内の死亡原因は,治療による死亡96例,脳梗塞285例,脳内出血66例,脳梗塞/脳内出血50例,心筋梗塞34例,肺血栓塞栓症22例,肺炎92例,他の血管死37例,その他88例。

文献: Wahlgren N, et al. and SITS-MOST investigators. Thrombolysis with alteplase for acute ischaemic stroke in the Safe Implementation of Thrombolysis in Stroke-Monitoring Study (SITS-MOST): an observational study. Lancet 2007; 369: 275-82. pubmed
関連トライアル Bravo Y et al, CASES gender, Cronin CA et al, ECASS III additional outcomes, ECASS-II blood pressure, EPITHET, ESTAT, IPSS use of alteplase, IST-3 18-month follow-up, J-ACT, J-MARS, Mikulik R et al 2009, rtPA血栓溶解療法の転帰における性差, SAINT postthrombolysis ICH, Schellinger PD et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR 2010, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, TTT-AIS, Zinkstok SM et al, 虚血性脳卒中患者に対するIV/IA併用療法, 虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法, 発症からalteplase静注までの時間と転帰, 頸動脈解離による虚血性脳卒中に対する血栓溶解療法
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