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Saqqur M et al Clinical deterioration after intravenous recombinant tissue plasminogen activator treatment: a multicenter transcranial Doppler study
結論 急性脳卒中発症後3時間以内にrt-PA静注血栓溶解を行ったが,静注終了時に閉塞血管の再開通を達成/維持できなかった症例は,24時間以内の症状増悪および長期予後不良を生じやすい傾向がみられた。経頭蓋超音波で観察される早期動脈再閉塞の所見は,症状増悪および予後不良の予測に有効であった。

目的 急性脳卒中発症後3時間以内にrt-PAを投与された患者において,経頭蓋超音波による動脈開存所見(持続性動脈閉塞,部分再開通,完全再開通,再閉塞)が24時間以内の症状増悪National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア≧4上昇)および 3ヵ月後の予後不良(modified Rankin Score[mRS]2-6)を予測できるかを検討。
デザイン 後ろ向き研究。
セッティング 多施設(4施設)。北米,ヨーロッパ。
期間 追跡期間は3ヵ月。
対象患者 374例。急性脳卒中発症後3時間以内にNational Institute of Neurological Disorders and Stroke protocolに従って標準的なrt-PA治療(0.9mg/kg[最大90mg]を投与,うち10%をボーラス静注後,90%を持続注入)を受けたが,経頭蓋超音波により脳主幹動脈近位部に閉塞が認められた患者。ただし本研究にはボーラス静注前からultrasound-enhanced systemic thrombolysisを併用したCLOTBUST試験登録例[0.6-0.9mg/kg,最大60mg投与]も含まれている。
【除外基準】ラクナ梗塞。
【患者背景】平均年齢はCD群66.1±14.7歳,非CD群68.8±13.3歳。
治療法 経頭蓋超音波(2MHz)をrt-PAボーラス静注前から開始し,血流パターンをThrombolysis in Brain Ischemia(TIBI)分類により2時間連続モニタリング,または10-30分ごと断続的にモニタリングし,動脈開存の有無を評価,24時間以内の症状増悪が認められた症例(CD群,44例)と認められなかった症例(非CD群,330例)を比較。
NIHSSスコアをrt-PAボーラス静注前,ボーラス静注後2時間,および24時間後に評価。modified Rankin Score[mRS]を3ヵ月後に評価。頸動脈超音波,標準的なバイタルサインのモニタリング,CTスキャン(rt-PA治療後24時間および脳卒中の症状進行時など)を実施。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
24時間後の症状増悪は44例(12%)に認められた(CD群)。
rt-PA静注後の持続性動脈閉塞は219例(59%,CD群22例[50%]vs非CD群197例[59.7%]),再閉塞は54例(14%,14例[31.8%]vs 40例[12.1%]),完全再開通は101例(27%,8例[18.2%]vs 93例[28.2%])にみられた。
症候性頭蓋内出血(脳CTスキャン/MRIにおける出血の所見に関連した発症後1週間以内のNIHSSスコア≧4ポイント上昇)は,CD群13例(29.5%,うち10例は持続性動脈閉塞/再閉塞を合併)vs 非CD群17例(5.2%)と,CD群にて高かった(p<0.001)。
CD群の持続性動脈閉塞/部分再開通に関するリスクは,補正後オッズ比(OR)1.7(95%CI 0.7-4,p=0.28),再閉塞に関するリスクは補正後OR 4.9(95%CI 1.7-13,p=0.002)。長期予後不良例の持続性動脈閉塞/部分再開通/再閉塞のリスクは補正後OR 5.2(95%CI 2.7-9,p=0.001)であった。

●有害事象

文献: Saqqur M, et al. and CLOTBUST Investigators. Clinical deterioration after intravenous recombinant tissue plasminogen activator treatment: a multicenter transcranial Doppler study. Stroke 2007; 38: 69-74. pubmed
関連トライアル Bhatia R et al, CLOTBUST , J-ACT, Kellert L et al, Mendonça N et al, Mikulik R et al 2007, Mikulik R et al 2009, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, RECANALISE, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Schellinger PD et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR elderly, SITS-MOST multivariable analysis, SUMO, Toni D et al, TPA Bridging Study, Tsivgoulis G et al, ultrasound-enhanced thrombolysisの安全性および有効性, von Kummer R et al
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