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ACUITY GP IIb/IIIa inhibitors
結論 早期侵襲的治療を行う中等度-高リスクの急性冠症候群(ACS)患者において,経皮的冠動脈形成術(PCI)施行例へのGP IIb/IIIa受容体拮抗薬(GPI)投与を,ランダム化直後からPCI直前に遅らせたところ,虚血イベントの頻度はランダム化直後投与に比し低下傾向がみられたが,非劣性は認めなかった。出血のリスクは有意に低下した。

目的 早期侵襲的治療が予定された中等度-高リスクのACS患者において,GPIによる虚血イベント/出血の予防効果を,施術直前投与とランダム化直後投与で比較。エンドポイントは30日で評価。一次エンドポイント:虚血イベント(全死亡,心筋梗塞[MI],虚血による予定外の血行再建術)。二次エンドポイント:冠動脈バイパス術(CABG)に関連しない大出血,全臨床アウトカム(一次エンドポイント,またはCABGに関連しない大出血)。
デザイン ランダム化,オープン,2×2 factorial,intention-to-treat解析。本論文はACUITYのサブ解析として,GPIの投与の時期を検討。
セッティング 多施設(450施設)。17ヵ国。
期間 登録期間は2003年8月23日-2005年12月5日。追跡期間は30日(範囲25-35日)。
対象患者 ACUITY登録例のうちGPIの投与を受けた患者9207例。18歳以上の中等度-高リスクのACS患者。10分以上持続する不安定狭心症の症状が認められてから24時間以内,かつ以下の項目に1つ以上該当する症例。1mm以上の新規ST低下または一時的な上昇,トロポニンI/トロポニンT/クレアチニンキナーゼMBの上昇,冠動脈疾患,不安定狭心症のThrombosis in Myocardial Infarction[TIMI]基準における前述以外4項目がすべて該当。
【除外基準】急性ST上昇/ショックによる心筋梗塞,出血性素因または狭心症発症前2週間以内の大出血,血小板減少,クレアチニンクリアランス<30mL/分,abciximab/warfarin/fondaparinux/線溶薬/bivalirudin/低分子量heparin(2倍以上の用量)の服用など。ランダム化以前にeptifibatideまたはtirofiban服用例がdeferred群に割り付けられた場合は,血管造影前4時間以上にわたり投与中断しても安全な場合のみ可。
【患者背景】年齢中央値は63歳。
治療法 heparin+GPI併用投与群(heparin併用群)とbivalirudin+GPI併用投与群(bivalirudin併用群)を,routine upstream投与群(upstream群;4605例[heparin併用群2294例+bivalirudin併用群2311例])とdeferred selective投与群(deferred群;4602例[heparin併用群2309例+bivalirudin併用群2293例])にランダム化(2×2 factorial)。
全例で割付け後72時間以内に血管造影を実施し,PCI/CABG/薬物治療に選別。
upstream群ではランダム化直後にeptifibatide(180μg/kgボーラス+2.0μg/kg・分注入)またはtirofiban(投与開始30分間は0.4μg/kg・分+以後0.1μg/kg・分注入)を医師の判断により投与開始,血管造影中およびその後12-18時間にわたり投与継続。血管造影後にCABGまたは薬剤治療を適用された症例では投与を中断(臨床的な必要性から投与を継続の場合あり)。
deferred群ではPCIを適用された症例に対し,医師の判断により心臓カテーテル室にて初回バルーン拡張の5-10分前にeptifibatide(180μg/kgボーラス+2.0μg/kg・分注入,1回目のボーラス後10分以内に180μg/kg再度ボーラス)またはabciximab(0.25mg/kgボーラス+0.125μg/kg・分[最大10μg/分]注入)を投与開始,以後,abciximabは12時間,eptifibatideは12-18時間継続投与。

GPIの用量は腎機能に応じて調整。またdeferred群にて重篤かつ急性虚血性イベントが発症した場合は,血管造影前であってもGPIの投与を例外的に許可。入院期間中は全例にaspirin 300-325mg/日経口または250-500mg/日静注投与(退院後は75-325mg/日経口を無期限に処方)およびclopidogrel(初回投与量および時期は医師の判断による,PCI施行例は2時間以内に300mg以上を投与,冠動脈疾患例には75mg/日の1年間継続を推奨)を投与。
追跡完了率 30日後の追跡完了率は99.6%(9167/9207例)。
【脱落理由】辞退13例,追跡不能27例。
結果

●評価項目
血管造影実施率はupstream群98.9% vs deferred群99.0%,PCI施行は56.7% vs 55.6%,CABG施行は11.6% vs 11.1%,薬剤治療は31.6% vs 33.3%。
GPI投与率はupstream群98.3% vs deferred群55.7%。投与期間中央値は18.3時間 vs 13.1時間と,upstream群にて長かった(p<0.001)。
一次エンドポイントはupstream群7.1%,deferred群7.9%にて認めた。相対リスクは1.12(95%CI 0.97-1.29)で,deferred群のupstream群に対する非劣性(p=0.044,有意水準0.025)および優位性(p=0.13)はみられなかった。
CABGに関連しない大出血はupstream群6.1%,deferred群4.9%にて認めた。相対リスクは0.80(95%CI 0.67-0.95)で,deferred群のupstream群に対する非劣性(p<0.001)および優位性(p=0.009)がみられた。内訳(upstream群 vs deferred群)は,頭蓋内出血2例 vs 4例,後腹膜出血27例 vs 23例,挿入部位での出血123例 vs 111例,原因が明らかなヘモグロビン減少(≧3g/dL)104例 vs 81例,原因不明のヘモグロビン減少(≧4g/dL)46例 vs 26例,輸血137例 vs 107例,出血による再手術5例 vs 2例であった。
CABGに関連しない小出血は1105例 vs 889例であった。
全臨床アウトカムはupstream群11.7%,deferred群11.7%にて認めた。相対リスクは1.00(95%CI 0.89-1.11)で,deferred群のupstream群に対する非劣性(p<0.001)はみられたが,優位性(p=0.93)はみられなかった。

●有害事象

文献: Stone GW, et al. and ACUITY Investigators. Routine upstream initiation vs deferred selective use of glycoprotein IIb/IIIa inhibitors in acute coronary syndromes: the ACUITY Timing trial. JAMA 2007; 297: 591-602. pubmed
関連トライアル ACUITY, ACUITY 1-year results, ACUITY bivalirudin, ACUITY diabetes mellitus, ACUITY gastrointestinal bleeding, ACUITY switching to bivalirudin, ESPRIT 2000, ESPRIT 2001, HORIZONS-AMI , OPUS-TIMI 16, PARAGON-A, PRISM-PLUS 1998, PRISM-PLUS 1999, PURSUIT 1998, PURSUIT 1999, RESTORE, Schulman SP et al, Simpfendorfer C et al, SWISSI II, SYNERGY, TACTICS-TIMI 18 1998, TACTICS-TIMI 18 2001, TARGET, TRITON-TIMI 38 early and late benefits
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