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ACUITY bivalirudin
結論 経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行かつGP IIb/IIIa受容体拮抗薬(GPI)を投与された中等度-高リスクの急性冠症候群(ACS)患者において,未分画heparinまたはenoxaparinの代わりにbivalirudinを投与しても,臨床アウトカムは同程度であった。bivalirudin単独投与は,heparin+GPI投与に比し,虚血性イベントの抑制は同程度であったが,大出血のリスクは低かった。

目的 PCIを施行する中等度-高リスクのACS患者において,抗トロンビン薬bivalirudinの周術期投与(単独またはGPI薬併用)の有効性と安全性をheparin投与(GPI併用)と比較。30日間一次エンドポイント:虚血イベント(全死亡,心筋梗塞[MI],虚血による予定外の血行再建術),冠動脈バイパス術(CABG)に関連しない大出血,全臨床アウトカム(虚血性イベント,またはCABGに関連しない大出血)。
デザイン ランダム化,オープン,2×2 factorial,intention-to-treat解析。本論文はACUITYのサブ解析として,PCI施行例においてbivalirudinの有用性を検討。
セッティング
期間
対象患者 ACUITY登録例のうちPCIを受けた患者7789例。ACUITY試験の対象患者:18歳以上の中等度-高リスクのACS患者。10分以上持続する不安定狭心症の症状が認められてから24時間以内,かつ以下の項目に1つ以上該当する症例。1mm以上の新規ST低下または一時的な上昇,トロポニンI/トロポニンT/クレアチニンキナーゼMBの上昇,冠動脈疾患,不安定狭心症のThrombosis in Myocardial Infarction[TIMI]基準における前述以外4項目がすべて該当。
【除外基準】急性ST上昇/ショックによる心筋梗塞,出血性素因または狭心症発症前2週間以内の大出血,血小板減少,クレアチニンクリアランス<30mL/分,abciximab/warfarin/fondaparinux/線溶薬/bivalirudin/低分子量heparin(2倍以上の用量)を服用など。
【患者背景】年齢中央値はheparin併用群63歳,bivalirudin併用群62歳,bivalirudin単独群63歳。
治療法 heparin+GPI投与群(2561例;heparin併用群),bivalirudin*+GPI投与群(2609例;bivalirudin併用群),bivalirudin単独投与群(2619例;bivalirudin単独群)にランダム化。
全例で割付け後72時間以内に血管造影を実施し,PCI/CABG/薬物治療に選別。血管造影またはPCI完了時にすべての抗血栓薬投与を中止。
*:血管造影前に0.1mg/kgをボーラス静注後,0.25mg/kg・時を注入。PCI前に0.5mg/kgを追加ボーラス静注し,注入を1.75mg/kg・時に増量。

入院期間中は全例にaspirin 300-325mg/日経口または250-500mg/日静注投与(退院後は75-325mg/日経口を無期限に処方)およびclopidogrel(初回投与量および時期は医師の判断による,PCI施行例は2時間以内に300mg以上を投与,冠動脈疾患例には75mg/日の1年間継続を推奨)を投与。
追跡完了率 脱落は0.3%(26例:heparin併用群6例,bivalirudin併用群9例,bivalirudin単独群11例)。
【脱落理由】辞退3例,追跡不能23例。
結果

●評価項目
bivalirudin併用群 vs heparin併用群:虚血イベントは243例(9%)vs 210例(8%)(p=0.16,相対リスク1.14[95%CI 0.95-1.36]),CABGに関連しない大出血は196例(8%)vs 174例(7%)(p=0.32,相対リスク1.11[95%CI 0.91-1.35]),全臨床アウトカムは389例(15%)vs 341例(13%)(p=0.10,相対リスク1.12[95%CI 0.98-1.28])と,いずれも群間差を認めなかった。
heparin併用群 vs bivalirudin単独群:虚血性イベントは230例(9%)vs 210例(8%)と群間差を認めなかった(p=0.45,相対リスク1.07[95%CI 0.89-1.28])。一方,CABGに関連しない大出血は92例(4%)vs 174例(7%)と,bivalirudin単独群が低かった(p<0.0001,相対リスク0.52[95%CI 0.40-0.66])。また,30日後の全臨床アウトカムは303例(12%)vs 341例(13%)と,bivalirudin単独群で低下傾向がみられた(p=0.057,相対リスク0.87[95%CI 0.75-1.00])。
CABGに関連しない大出血の内訳(heparin併用群 vs bivalirudin併用群 vs bivalirudin単独群)は,頭蓋内出血1例 vs 1例 vs 1例,後腹膜出血18例 vs 23例 vs 5例,挿入部位での出血84例 vs 94例 vs 25例,原因が明らかなヘモグロビン減少(≧3g/dL)71例 vs 75例 vs 31例,原因不明のヘモグロビン減少(≧4g/dL)25例 vs 29例 vs 24例,輸血77例 vs 101例 vs 44例,出血による再手術1例 vs 5例 vs 3例。
CABGに関連しない小出血は665例 vs 740例 vs 391例。

●有害事象

文献: Stone GW, et al. and Acute Catheterization and Urgent Intervention Triage strategy (ACUITY) trial investigators. Bivalirudin in patients with acute coronary syndromes undergoing percutaneous coronary intervention: a subgroup analysis from the Acute Catheterization and Urgent Intervention Triage strategy (ACUITY) trial. Lancet 2007; 369: 907-19. pubmed
関連トライアル ACUITY, ACUITY 1-year results, ACUITY diabetes mellitus, ACUITY gastrointestinal bleeding, ACUITY GP IIb/IIIa inhibitors , ACUITY switching to bivalirudin, Cohen M et al, ESPRIT 2000, HORIZONS-AMI , ISAR-REACT 3, ISAR-REACT 3 bleeding and MI, ISAR-REACT 4, OPUS-TIMI 16, PARAGON-A, PRISM-PLUS 1998, PURSUIT 1998, SEPIA-ACS1 TIMI 42, STEEPLE, SYNERGY, TACTICS-TIMI 18 2001
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