抗血栓トライアルデータベース
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Main-LITE Long-term Innovations in Treatment Program
結論 広範囲の患者において,低分子量heparin(LMWH)長期治療による静脈血栓塞栓症再発(3ヵ月以内)予防効果は,通常のビタミンK拮抗薬療法とほぼ等しく,安全性はより高かった。本試験により近位静脈血栓塞栓症患者における治療の選択肢が増えたといえる。

目的 近位静脈血栓塞栓症患者において,LMWH(tinzaparin)の長期投与の有効性と安全性をビタミンK拮抗薬(未分画heparin/warfarin)の長期投与と比較。有効性の一次エンドポイント:3ヵ月以内の静脈血栓塞栓症の再発,死亡。安全性の一次エンドポイント:3ヵ月以内の出血(全出血,大出血,小出血)。
デザイン ランダム化,オープン(評価者を盲検化)。
セッティング 多施設(30施設)。カナダ。
期間 登録開始は1994年,追跡終了は2003年7月。治療期間は3ヵ月。追跡期間は1年。
対象患者 737例。膝窩部,大腿部,または腸骨の急性近位静脈血栓塞栓症と診断された18歳以上の連続した患者。
【除外基準】出血性素因/抗凝固薬禁忌の対象となる出血,妊娠,授乳,heparin/bisulfateに対するアレルギー,heparin関連血小板減少症の既往,悪性高血圧(250/130mmHg以上),肝性脳症,透析を要する腎不全,14日以内の神経学的/眼科的手術,血栓溶解/血栓切除術/大静脈離断を要する肺血栓塞栓,余命3ヵ月未満,24時間以内の腰椎穿刺,本試験の対象外要因による経口抗凝固薬の服用,ASA服用中止が不可,heparin静注が不可,注射が不可(関節炎,家族の支援欠如などの理由による),急性近位静脈血栓塞栓症の診断後2日超にわたるheparin/LMWH/抗凝固薬の治療など。
【患者背景】年齢<60,≧60:LMWH投与群187例,182例,ビタミンK拮抗薬投与群151例,217例。
治療法 LMWH投与群(369例。tinzaparin 175 IU/kg・日を1日1回皮下投与。患者自身[家族も可]による皮下注を指示。治療開始14日後,21日後に血小板数を計測)とビタミンK拮抗薬投与群(368例。未分画heparin 5000または80U/kgをボーラス静注後,APTTに応じて調整した用量にて持続注入。初日にwarfarin sodium 5-10mgを経口投与後,heparinと合わせた国際標準比[INR]が2.0-3.0となるよう調整した用量にて投与を継続。6日目にINRが目標値に達した場合はheparin投与を中止。以後1-2週ごとにINRを測定)にランダム化。
治療期間中はASAの投与を禁止,ticlopidine,sulfinpyrazone,dipyridamole,非ステロイド抗炎症薬の投与を禁止。
追跡完了率 脱落はLMWH投与群4例,ビタミンK拮抗薬投与群8例。
【脱落理由】追跡不能(3ヵ月以内2例,12ヵ月以内4例),辞退(3ヵ月以内4例,12ヵ月以内2例)。
結果

●評価項目
3ヵ月以内の静脈血栓塞栓症の再発はLMWH投与群4.9%,ビタミンK拮抗薬投与群5.7%で,絶対差は-0.8%(95%CI -4.1-2.4)であった。
3ヵ月以内の死亡は6.8%(25例;転移性癌18例,肺血栓塞栓またはその可能性3例など)vs 6.5%(24例;転移性癌14例,肺血栓塞栓またはその可能性4例など),絶対差0.3%(95%CI -3.4-3.9)と両群ともほぼ等しかった。
3ヵ月以内の全出血はLMWH投与群13.0%,ビタミンK拮抗薬投与群19.8%,絶対差-6.8%(95%CI -12.4--1.5),リスク比0.66で,LMWH群にて低かった(p=0.011)。うち大出血は3.3% vs 4.6%,絶対差-1.4(95%CI -4.3-1.4)と群間差がみられなかったが,小出血は9.8% vs 15.2%,絶対差-5.5%(95%CI -10.4--0.6),リスク比0.64でLMWH群にて低かった(p=0.022)。

●有害事象
死亡,出血は[評価項目]に表記あり。
3ヵ月以内の血小板減少症(<15万/μL)はLMWH投与群で21例(癌または癌治療に関連10例,全身性紅斑性狼瘡1例,heparin関連血小板減少2例;死亡4例),ビタミンK拮抗薬投与群で9例(癌または癌治療に関連5例,自己免疫性汎血球減少症1例;死亡6例),12ヵ月以内の骨折は4例 vs 7例に認められた。

文献: Hull RD, et al. and LITE Trial Investigators. Self-managed long-term low-molecular-weight heparin therapy: the balance of benefits and harms. Am J Med 2007; 120: 72-82. pubmed
関連トライアル Botticelli, Crowther MA et al, DURAC, FIDO, Garcia DA et al, Home-LITE, Main-LITE Cancer, THRIVE, van Gogh Studies, van Gogh Studies prophylaxis, Wells PS et al
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