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Saito H et al Efficacy and safety of recombinant human soluble thrombomodulin (ART-123) in disseminated intravascular coagulation: results of a phase III, randomized, double-blind clinical trial
結論 遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモジュリン(ART-123)は低用量heparinに比し,より有意に播種性血管内凝固症候群(DIC)を改善し,出血症状を軽減した。

目的 悪性血液疾患または感染を合併したDICの治療において,ART-123と低用量heparinの有効性と安全性を比較。有効性一次ポイント:投与開始7日後(または中止時点)のDIC回復率。二次エンドポイント:投与開始28日後の血液症状と死亡率の臨床経過。
デザイン ランダム化,二重盲検。
セッティング 多施設(113施設),日本。
期間 登録期間は2000年6月-2005年9月。
対象患者 241例。悪性血液疾患または感染を合併したDIC患者。
DICはJMHW DIC基準により診断。DICスコア≧7,または≧4で骨髄不全による重度の血小板減少症の所見がある者,DICスコア6,または3で骨髄不全による重度の血小板減少症の所見がある場合は,補足テストで2つ以上の所見がある者;ART-123皮膚試験陰性;≧15歳;体重≦100kg;入院中。
【除外基準】致死的または生命に関わる出血;それらの高い可能性;1年以内の脳血管障害の既往;最近の中枢神経系の手術または外傷;蛋白製剤または未分画heparinに対する過敏症の既往;妊娠,授乳中または妊娠の可能性;ART-123皮膚試験陽性;腎障害による透析または重度の薬物排出障害;劇症肝炎,非代償性肝硬変または他の重度肝障害;試験薬の注入やデータ取得に困難が予期される;6ヵ月以内の他の試験薬の投与;これまでのART-123試験への参加歴;3ヵ月以内の未分画heparinの投与;試験参加不適当と判断。
【患者背景】年齢は,ART-123群は<50歳26例(22.8%),50-69歳44例(38.6%),≧70歳44例(38.6%),低用量heparin群は<50歳9例(8.0%),50-69歳41例(36.3%),≧70歳63例(55.8%)。
治療法 動的バランシング法(事前登録のDICスコアと出血症状を含む)によりART-123群(117例)と低用量heparin群(117例)にランダム化し,ART-123群は1日1回30分,0.06mg/kgを6日間連続点滴,低用量heparin群は1日24時間,8U/kg/時を6日間連続点滴。試験薬を投与中は抗凝固薬,抗血小板薬,線溶薬など有効性の評価に影響を及ぼす薬剤は禁止。ただし,抗トロンビン薬以外の血液製剤,カテーテル凝固予防のためのheparin(≦1000U/日)またはurokinase(≦10000U/注入)は除く。腎不全による透析または血液浄化のための体外循環は禁止。
追跡完了率 試験薬投与完了はART-123群114例,低用量heparin群113例。7日後の追跡完了はART-123群112例,低用量heparin群112例。
【脱落理由】二重登録,基礎疾患(固形腫瘍など)があり基準に合致せず,など。
結果

●評価項目
DIC回復率は,悪性血液疾患合併DIC患者ではART-123群65.6%(42/64例),低用量heparin群45.9%(28/61例),絶対リスク差19.7%(95%CI 2.6-36.8),感染合併DIC患者ではART-123群66.7%(32/48例),低用量heparin群54.9%(28/51例),絶対リスク差11.8%(95%CI -7.3-30.9),7日後の血液症状消失率は,悪性血液疾患合併DIC患者ではART-123群32.6%(14/43例),低用量heparin群13.3%(6/45例),絶対リスク差19.2%(95%CI 2.1-36.4),感染合併DIC患者ではART-123群37.8%(17/45例),低用量heparin群28.3%(13/46例),絶対リスク差9.5%(95%CI -9.7-28.8)であった。
28日後の死亡率は,悪性血液疾患合併DIC患者ではART-123群17.2%(11/64例),低用量heparin群18.0%(11/61例),絶対リスク差-0.8%(95%CI-14.2-12.5),感染合併DIC患者ではART-123群28.0%(14/50例),低用量heparin群34.6%(18/52例),絶対リスク差-6.6%(95%CI -24.6-11.3)であった。

●有害事象
投与開始後7日以内の出血関連の有害事象発生率はART-123群が43.1%と,低用量heparin群56.5%に比し有意に低かった(p=0.0487)。試験薬投与を中止にする出血関連の有害事象発生率は低用量heparin群が6.1%で,ART-123群1.7%に比し高かった。他の有害事象では発生率の有意差はみられなかった(28日以内の重篤な有害事象発生率はART-123群31.9%,低用量heparin群35.7%,試験薬投与を中止にする有害事象発生率はART-123群8.6%,低用量heparin群15.7%)。

文献: Saito H, et al. Efficacy and safety of recombinant human soluble thrombomodulin (ART-123) in disseminated intravascular coagulation: results of a phase III, randomized, double-blind clinical trial. J Thromb Haemost 2007; 5: 31-41. pubmed
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