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Steno-2 study
結論 2型糖尿病と微量アルブミン尿症合併患者において,複合リスク因子への長期的な目標達成型強化介入により,心血管疾患および微小血管疾患のリスクが約50%減少した。

目的 2型糖尿病と微量アルブミン尿症合併患者において,強化治療法が心血管疾患の修正可能なリスク因子に及ぼす効果を従来型治療法と比較。
一次エンドポイント:心血管疾患(心血管要因による死亡+非致死的心筋梗塞+冠動脈バイパス術[CABG]+経皮的冠動脈形成術[PCI]+非致死的脳卒中+虚血による切断+末梢の粥状動脈硬化による血管手術の複合)。二次エンドポイント(詳細はLancet 1999; 353: 617-22に報告): 微小血管疾患(糖尿病性腎症の発症,糖尿病性網膜症の進展/進行,神経障害の進展/進行)。
デザイン ランダム化,オープン,パラレル試験。
セッティング 多施設。デンマーク。
期間 追跡期間は一次エンドポイントで8年間(平均値7.8年間,範囲6.9-8.8年間),二次エンドポイントで4年間。試験期間は1993-2001年。
対象患者 160例。2型糖尿病かつ微量アルブミン尿症と診断された患者。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】平均年齢55.1歳。
治療法 尿中アルブミン排出量により層別化した後,従来型治療群(80例)と,より厳しい治療目標を設定した強化治療群(80例)にランダム化。
強化治療群:食事療法(1日当たりの全エネルギー摂取量に占める割合が,脂質摂取量<30%,飽和脂肪酸摂取量<10%)。運動(軽度-中程度の運動を30分間,3-5回/週)の推奨。喫煙者(患者またはその家族)は禁煙プログラムに参加。全例にアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬をcaptopril換算で100mg/日(分2)相当(ただしACE阻害薬禁忌の場合はアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)をlosartan換算で100mg/日(分2)相当),経口ビタミン薬(ビタミンC 250mg,D-α-トコフェノール 100mg,葉酸400μg,クロミウム・ピコリネート100μg)1錠/日,aspirin 150mg(ただし1999年10月までは虚血性心血管疾患歴のある患者のみに投与)をいずれも経口投与。
食事,運動療法開始3ヵ月後にHbA1c<6.5%にならない場合は次のように段階的治療を実施。BMI≧25の患者にはmetformin 最大2g/日(分2)を,やせている,またはmetformin禁忌の患者には経口血糖降下薬gliclazide 最大320mg/日(分2)を投与。高血糖が改善されない場合はそれぞれの薬剤を追加。最大用量で投与してもHbA1c>7.0%の場合は就寝時の中間型インスリン(NPH)投与を開始し,gliclazideまたはmetforminの一方を中止。インスリンの用量は早朝空腹時血糖値により調節し,改善を認めない,またはNPH>80IUとなった場合はNPH2-4回/日投与。
高血圧(目標値:収縮期血圧<140mmHg[1993-1999年],<130mmHg[2000-2001年],拡張期血圧<85mmHg[1993-1999年],<80mmHg[2000-2001年])の場合は次のように段階的治療を実施。微量アルブミン尿症の治療としてACE阻害薬およびARBは全例に投与され,併用投与も許可。必要に応じてサイアザイド系利尿薬,Ca拮抗薬,β遮断薬を投与。
空腹時血清コレステロール(目標値:<190mg/dL[1993-1999年],<175mg/dL[2000-2001年])が上昇(異常脂質血症の併発を含む)した場合はatorvastatin 最大80mg/日,またはそれに相当するスタチンを投与。高中性脂肪血症(空腹時血清トリグリセリド>350mg/dL,目標値:<150mg/dL)の場合はフィブラート系薬剤を投与(スタチンの併用投与も可)。
従来型治療群:各数値の目標値は収縮期血圧<160mmHg(1993-1999年),<135mmHg(2000-2001年); 拡張期血圧<95mmHg(1993-1999年),<85mmHg(2000-2001年); HbA1c<7.5%(1993-1999年),<6.5%(2000-2001年); 空腹時血清コレステロール<250mg/dL(1993-1999年),<190mg/dL(2000-2001年); 空腹時血清トリグリセリド<195mg/dL(1993-1999年),<180mg/dL(2000-2001年)。2000-2001年は高血圧の有無にかかわらず全例に対しACE阻害薬またはARBを投与。虚血性心血管疾患の場合のみ全期間aspirinを投与。
追跡完了率 8年後の追跡不完了は3例(1.7%:強化治療群1例,従来治療群2例)。
【脱落理由】転居による。
結果

●評価項目
HbA1cp<0.001),空腹時血漿グルコース濃度(p<0.001),空腹時血清コレステロール濃度(p<0.001),空腹時血清トリグリセリド濃度(p=0.015),収縮期(p<0.001)/拡張期(p=0.006),血圧,尿中アルブミン排出量(p=0.007)は,いずれも強化治療群にて従来型治療群に比し有意に改善された。
一次エンドポイントは従来型治療群にて44%(35/80例)vs 強化治療群にて24%(19/80例)認められ,総イベント数は118例(死亡7例 vs 7例,非致死的心筋梗塞17例 vs 5例,CABG 10例 vs 5例,PCI 5例 vs 0例,非致死的脳卒中20例 vs 3例,虚血による切断14例 vs 7例,末梢の粥状動脈硬化による血管手術12例 vs 6例)であった。心血管疾患のリスクは強化治療群において従来型治療群に比し有意に低かった(ハザード比[HR] 0.47,95%CI 0.24-0.73,p=0.008)。
二次エンドポイントは糖尿病性腎症が従来型治療群31例 vs 強化治療群16例(HR 0.39,95%CI 0.17-0.87,p=0.003),糖尿病性網膜症の進展/進行が従来型治療群51例 vs 強化治療群38例(HR 0.42,95%CI 0.21-0.86,p=0.02),自律神経障害の進展/進行が従来型治療群43例 vs 強化治療群24例(HR 0.37,95%CI 0.18-0.79,p=0.002)認められ、いずれも強化治療群において従来型治療群に比し有意に低かった。

●有害事象

文献: Gaede P, et al. Multifactorial intervention and cardiovascular disease in patients with type 2 diabetes. N Engl J Med 2003; 348: 383-93. pubmed
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