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GRACE Global Registry of Acute Coronary Events
結論 長期aspirin治療により急性冠症候群の重症度が低下すること,さらに冠動脈疾患(CAD)歴を有する症例においては院内死および院内合併症の頻度が減少することが示唆された。

目的 長期aspirin治療がCADの予防だけでなく急性冠症候群に対しても有効かどうかを検討するため,aspirin治療の有無およびCAD歴の有無により急性冠症候群の重症度,院内合併症を比較。
デザイン 前向きコホート研究,後ろ向きコホート研究。
セッティング 多施設(14ヵ国,94施設)。南米,北米,オセアニア,ヨーロッパ。
期間 登録期間は1999年7月-2001年6月。
対象患者 11388例。登録時に18歳以上,来院時点での生存が確認され,急性冠症候群の推定診断を受け,心電図による急性冠症候群の所見,心臓壊死の血清生化学的マーカーの連続的増加,CADの診断のいずれか1項目以上に該当する症例。
【除外基準】前向き研究に登録した後に急性冠症候群以外の一次診断;登録外病院からGRACEの病院に転院;warfarin,clopidogrel,ticlopidineの服用歴。
【患者背景】年齢中央値はCAD歴あり/aspirin治療歴あり群67.5歳,CAD歴あり/aspirin治療歴なし群69.1歳,CAD歴なし/aspirin治療歴あり群70.9歳,CAD歴なし/aspirin治療歴なし群63.4歳。
治療法 CAD歴あり/aspirin治療歴あり群3629例,CAD歴あり/aspirin治療歴なし群1345例,CAD歴なし/aspirin治療歴あり群1243例,CAD歴なし/aspirin治療歴なし群5171例を比較。
CAD歴の基準:急性心筋梗塞の既往,経皮的冠動脈形成術,冠動脈バイパス術,負荷試験陽性,または冠動脈造影像陽性。
aspirin治療歴の基準:aspirin の常用(急性冠症候群の発症7日前からの服用を含む)。
追跡完了率
結果

●評価項目
CAD歴のある症例に関してST上昇型心筋梗塞の割合はaspirin治療歴がある群の14.6%,aspirin治療歴がない群の26.2%において認められた。患者背景の違いによる群間の偏向を補正したオッズ比(OR)は0.52で,aspirin治療歴がある群にて低値であった(95%CI 0.44-0.61,p<0.001)。また,院内死(3.1% vs 7.1%,補正OR 0.69,95%CI 0.50-0.95,p<0.001),うっ血性心不全/肺水腫(15.7% vs 22.0%,p<0.001),心室頻拍/心室細動(2.7% vs 4.5%,p<0.005)の各割合はいずれもaspirin治療歴がある群にてaspirin治療歴がない群に比して低値であった。一方,出血はaspirin治療歴がある群の2.7%,aspirin治療歴がない群の3.5%で認められ,群間差はみられなかった(補正OR 0.87,95%CI 0.59-1.27,p=0. 13)。
過去にCAD歴のない症例がST上昇型心筋梗塞を発症した割合はaspirin治療歴がある群にてaspirin治療歴がない群に比して低かった(24.5% vs 50.6%,補正OR 0.35,95%CI 0.30-0.40,p<0.001)。一方,院内死はaspirin治療歴がある群の5.1%,aspirin治療歴がない群の5.6%で認められた(補正OR 0.77,95%CI 0.55-1.07,p=0. 51)。また,出血はaspirin治療歴がある群の3.8%,aspirin治療歴がない群の3.1%に認められ,群間差を認めなかった(補正OR 1.15,95%CI 0.80-1.64,p=0. 17)。

●有害事象
表記なし。

文献: Spencer FA, et al. Impact of aspirin on presentation and hospital outcomes in patients with acute coronary syndromes (The Global Registry of Acute Coronary Events [GRACE]). Am J Cardiol 2002; 90: 1056-61. pubmed
関連トライアル Bybee KA et al, COMMIT, Garcia Rodriguez LA et al (BMJ), PARIS-I, SYNERGY angiography
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