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JAST Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial
結論 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者においてaspirin 150-200mg/日投与は脳卒中予防に対して有効でなく,安全性も認められなかった。日本人NVAF患者における脳血管イベントの最適予防治療を確立するために,さらなる前向き試験の実施が必要である。

目的 低リスクの日本人NVAF患者において予後改善に対する低用量aspirinの有効性と安全性を検討。一次エンドポイント:心血管死,脳卒中,心原性脳塞栓,血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞,一過性脳虚血発作(TIA)。二次エンドポイント:非心血管死,頭蓋内出血,重篤な出血,末梢動脈塞栓。
デザイン ランダム化,オープン,盲検(解析者のみ),intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(89施設)。日本。
期間 割付け開始は1998年9月1日。試験終了は2002年5月31日。平均追跡期間は768±403日(中央値810日)。
対象患者 871例。12ヵ月以内に2回以上のECGにより慢性的/間欠的心房細動と診断された患者。
【除外基準】人工心臓弁,リウマチ性心疾患,僧帽弁膜症,管理されていない高血圧,甲状腺機能亢進症,重度の心不全(New York Heart AssociationのクラスIV),過去1年以内の症候性血栓塞栓症の既往,頭蓋内出血の既往,過去6ヵ月以内の胃腸管出血の既往,試験薬以外の抗凝固薬/抗血小板薬の適応症(冠動脈疾患,肺動脈塞栓症,静脈血栓症など)など。1年以上前の脳卒中またはTIAの既往は,患者および医師の同意のもと例外的に可。
【患者背景】平均年齢はaspirin群65.5歳,対照群64.8歳。
治療法 低用量aspirin 150-200mg/日投与*群(426例;aspirin群)と非投与群(445例;対照群)にランダム化。
*:毎朝食後の投与を指示。330mg/隔日投与も可とした。
割付け2週間以上前までに抗凝固薬/抗血小板薬の服用を中止するよう指導。aspirinおよび非ステロイド抗炎症薬の頓服は禁止。その他の薬剤は服用を許可。
追跡完了率 脱落例は185/871例。
【脱落理由】副作用(aspirin群21例 vs 対照群0例),心疾患(12例 vs 20例),個人的理由(56例 vs 62例)など。
結果

●評価項目
中間解析の結果aspirin治療により重篤な出血が生じ,かつ一次および二次エンドポイントにおいてaspirin群が対照群に比し優れる可能性がきわめて低い(0.015%)ことが判明したため,907例を登録した時点で試験を中断。
一次エンドポイントはaspirin群27例(3.1%/年,95%CI 2.1-4.6%/年),対照群23例(2.4%/年,95%CI 1.5-3.5%/年)で群間差はみられなかった(p=0.458)。また患者背景を考慮して補正したハザード比は1.50であった(95%CI 0.84-2.70,p=0.175)。一次エンドポイントの個々のアウトカムについても群間差は認められなかった。多変数ロジスティック回帰分析によると,一次エンドポイントに対する独立予測因子は,年齢75歳超(ハザード比2.06,95%CI 1.08-3.95,p=0.028),糖尿病(ハザード比2.46,95%CI 1.25-4.83,p=0.009),トロンビン抗トロンビンIII複合体が最高四分位(ハザード比1.95,95%CI 1.06-3.56,p=0.031)であった。
二次エンドポイントは非血管死aspirin群7例 vs 対照群6例,末梢動脈塞栓0例 vs 1例が認められ,また重篤な出血は7例(1.6%)vs 2例(0.4%)とaspirin群にて増加する傾向がみられたが,有意差はなかった(p=0.101)。

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Sato H, et al., Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial Group Low-dose aspirin for prevention of stroke in low-risk patients with atrial fibrillation: Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial. Stroke 2006; 37: 447-51. pubmed
関連トライアル AAASPS 2003, ACTIVE W, ACTIVE W CHADS2 score, ACTIVE W INR control, ACTIVE W paroxysmal vs sustained, AMADEUS, AVERROES, AVERROES previous stroke/TIA, BAT, CARESS, CAST-IST, CHARISMA atrial fibrillation, CHARISMA post hoc analysis, EAFT 1993, ECLAP, ESPRIT , Georgiadis D et al, 2009, HAEST subanalysis, Hart RG et al, JNAF-ESP, JPAD, LASAF Pilot Study, MOST factor analysis, NASPEAF, NVAFにおける全身性塞栓症予防のためのwarfarin, Pearce LA et al, PROTECT AF, SPAF, SPAF I-III 1999, SPAF III 1998, SPAF III von Willebrand factor, SPIRIT, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, TASS 1993, van Walraven C et al, WARSS, 心房細動患者に対する脳卒中予防療法における年齢効果
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