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Meurin P et al Low-molecular-weight heparin as a bridging anticoagulant early after mechanical heart valve replacement
結論 機械弁置換術施行後間もない患者において,手術直後の未分画heparin治療から経口抗凝固薬治療が完全に有効になるまでの橋渡し期間中の低分子量heparin(enoxaparin)投与は,血栓塞栓症の予防に有用である。

目的 機械弁置換術を施行された血栓塞栓症の高リスク患者において,手術直後の未分画heparin治療から経口抗凝固薬治療が完全に有効になるまでの橋渡し期間中の,低分子量heparin(LMWH)投与の有効性と安全性を検討。有効性の一次エンドポイント:LMWH投与開始日から術後90日までの症候性動脈血栓塞栓症。安全性の一次エンドポイント:LMWH投与中の大出血。
デザイン 前向き研究。
セッティング 単施設。フランス。
期間 試験期間は2000年1月-2005年1月。追跡期間は90日。
対象患者 250例。機械弁置換術施行後に,術後心リハビリテーションセンター(POCRC)に転院した連続した患者。
【除外基準】LMWH投与を妨げる腎不全(血清クレアチニン>150μm/L),heparin誘発性血小板減少症の既往,妊娠,ビタミンK拮抗薬(VKA)投与により目標国際標準比(INR)を達成,LMWH治療期間2日未満。
【患者背景】平均年齢は60±11歳。
治療法 登録前:未分画heparinを機械弁置換術後1日目から静注または皮下注投与(APTT1.5-2.5を維持するよう用量調整),VKA治療が目標INRに到達するまで,または患者がPOCRCに転院するまで投与を継続。VKAは機械弁置換術後1週目から(一時的に禁忌の場合を除く)投与開始(僧帽弁置換術,二弁置換術はINR 2.5-3.5,大動脈弁置換術はINR2.0-3.0を維持するよう用量調整)。
登録:VKA治療が開始されていない,または目標INRが達成されていない場合に限りPOCRC転院時に登録(除外基準参照)。
登録後:未分画heparin投与を中止し,LMWHであるenoxaparin 100IU/kg*の1日2回皮下注投与を開始(*:肥満患者[BMI>30kg/m2]については3回目投与の4時間後に抗Xa活性を測定し,治療域0.5-1.0IU/mLを維持していなければ用量調整),連続した2日にわたり目標INRを達成するまで投与を継続。VKAは登録前からの投与を続行。
追跡完了率 90日後の追跡完了率は98.8%(247例)。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
有効性の一次エンドポイントは0例と推定された。enoxaparin投与中止後30日以内に大動脈弁置換術施行例にて一過性脳虚血発作1例が認められたが,弁血栓症に起因するものではないと考えられた(INR2.6;脳CTスキャン,経食道心エコー検査,ホルター心電図はいずれも正常;頸動脈のドップラー超音波検査により70%の対側頸動脈狭窄の所見)。またPOCRC入院期間中の血栓塞栓イベントおよび死亡はみられなかった。
安全性の一次エンドポイントは2例(心膜切開術を要するタンポナーデ1例,輸血を要する腹部筋肉内血腫1例)が認められた。
術後90日以内の少量の出血は3例(血液のまざった唾液1例,挿管による扁桃からの少量の出血1例,輸血を要さない腹部筋肉内血腫1例)が認められた。

●有害事象
heparin誘発性の血小板減少症はみられなかった。

文献: Meurin P, et al. Low-molecular-weight heparin as a bridging anticoagulant early after mechanical heart valve replacement. Circulation 2006; 113: 564-9. pubmed
関連トライアル Allou N et al, FCSA, FIDO, Garcia DA et al, PREVAIL, Torn M et al
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