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ExTRACT-TIMI 25 Enoxaparin and Thrombolysis Reperfusion for Acute Myocardial Infarction Treatment-Thrombolysis in Myocardial Infarction 25
結論 線溶療法を受けるST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において,入院期間中のenoxaparin治療は未分画heparin治療に比し非致死的MI再発,緊急血行再建術を抑制したが,大出血の増加をもたらすことが示された。有効性と安全性の両方を考慮した臨床的有益性は,enoxaparinの方が未分画heparinに比し高いと判断された。

目的 線溶療法を受けるSTEMI患者において,enoxaparin投与の有効性と安全性を未分画heparinと比較。有効性の一次エンドポイント:30日間の全死亡+非致死的MI再発。有効性の二次エンドポイント:30日間の全死亡+非致死的MI再発+緊急血行再建術。安全性のエンドポイント:30日間のTIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction)大出血(頭蓋内出血を含む),小出血,出血(大出血+小出血)。臨床的有益性のエンドポイント:全死亡+非致死的MI再発+障害を残す非致死的脳卒中,死亡+非致死的MI再発+非致死的大出血,死亡+非致死的MI再発+非致死的頭蓋内出血。
デザイン ランダム化,二重盲検,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(674施設)。48ヵ国(ヨーロッパ,アジア,オセアニア,北米,南米,アフリカ)。
期間 ランダム化期間は2002年10月24日-2005年10月1日。追跡期間は30日。
対象患者 20479例。安静時に20分以上持続する虚血症状の発症から6時間以内で,ST上昇(複数の四肢誘導で0.1mV以上,あるいは隣接する複数の胸部誘導で0.2mV)または左脚ブロックが認められ,線溶療法が予定された18歳以上の患者。
【除外基準】心原性ショック,心膜炎,大動脈解離の症状,線溶療法の禁忌,腎機能不全(血清クレアチニン値が男性2.5mg/dL超,女性2.0mg/dL超)など。
【患者背景】年齢中央値はenoxaparin群59歳,未分画heparin群60歳。
治療法 enoxaparin*1群(10256例)と未分画heparin*2群(10223例)にランダム化。線溶療法(担当医の判断によりstreptokinase,tenecteplase,alteplase,reteplaseのいずれかを投与)を開始する15分前-30分後(ランダム化後30分以内)に試験薬およびプラセボの投与を開始。
*1:75歳未満はenoxaparin 30mgボーラス静注(ランダム化前3時間以内に4000U以上の未分画heparinを投与された患者を除く)。15分後および以後12時間ごとに1.0mg/kg(2回目までは最大100mg)を皮下注。75歳以上はボーラス静注をせず,12時間ごとに0.75mg/kg(2回目までは最大75mg)を皮下注。クレアチニン・クリアランス<30mL/分の場合は24時間ごとに1.0mg/kgを皮下注。投与期間はいずれの場合も退院まで,あるいは最大8日間。
*2:未分画heparin 60U/kg(最大4000U)ボーラス静注(ランダム化前3時間以内に4000U以上の未分画heparinを投与された患者を除く)。ボーラス静注15分以内に12U/kg・時(初期最大量1000U/時)の注入を開始。APTTを対照値の1.5-2.0倍に維持するよう用量調整しながら48時間以上継続。
全例にaspirin 150-325mg経口投与あるいは500mg静注(24時間以内に325mg以上を投与された場合を除く)。24時間以内に維持用量75-325mg/日経口投与を開始し30日以上継続。aspirinにアレルギーがある,またはaspirinとの併用投与が必要と判断された場合は,代替抗血小板薬としてclopidogrelなどの投与を許可。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
一次エンドポイントはenoxaparin群9.9% vs 未分画heparin群12.0%と,enoxaparin群にて少なかった(相対リスク[RR]0.83,95%CI 0.77-0.90,p<0.001)。
二次エンドポイントも11.7% vs 14.5%とenoxaparin群にて低かった(RR 0.81;0.75-0.87,p<0.001)。30日間の死亡は6.9% vs 7.5%(RR 0.92;0.84-1.02,p=0.11)と有意差はなかったが,非致死的MI再発は3.0% vs 4.5%(RR 0.67;0.58-0.77,p<0.001),緊急血行再建術は2.1% vs 2.8%(RR 0.74;0.62-0.88,p<0.001)といずれもenoxaparin群にて低かった。
安全性のエンドポイントは,30日間のTIMI大出血(頭蓋内出血を含む)は2.1% vs 1.4%とenoxaparin群にて高かった(RR 1.53;1.23-1.89,p<0.001)。30日間の頭蓋内出血は0.8% vs 0.7%(RR 1.27;0.92-1.75,p=0.14),小出血は2.6% vs 1.8%(RR 1.41;1.17-1.70,p<0.001),出血(大出血+小出血)は4.6% vs 3.1%(RR 1.47;1.28-1.69,p<0.001)であった。
臨床的有益性のエンドポイントはいずれもenoxaparin群にて低かった:30日間の全死亡+非致死的MI再発+障害を残す非致死的脳卒中は10.1% vs 12.3%(RR 0.82;0.76-0.89,p<0.001),死亡+非致死的MI再発+非致死的大出血は11.0% vs 12.8%(RR 0.86;0.80-0.93,p<0.001),死亡+非致死的MI再発+非致死的頭蓋内出血は10.1% vs 12.2%(RR 0.83;0.77-0.90,p<0.001)。

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Antman EM, et al; ExTRACT-TIMI 25 Investigators. Enoxaparin versus unfractionated heparin with fibrinolysis for ST-elevation myocardial infarction. N Engl J Med 2006; 354: 1477-88. pubmed
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