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SPORTIF pooled analysis
結論 抗凝固薬を投与された心房細動(AF)患者において,脳卒中(虚血性/出血性)+全身性塞栓イベント,および全出血(大出血+小出血)の発症率は女性のほうが男性に比し有意に高く,女性においては75歳以上の方が75歳未満より有意に高かった。なお本試験の対象となった女性患者は,男性に比し,有意に高齢かつ血栓塞栓のリスクが高かった。また試験期間中に抗凝固薬投与を中断した女性は,投与を継続した女性に比し,血栓塞栓リスクが有意に高かった。

目的 抗凝固薬を投与されたAF患者における虚血性イベントおよび出血のリスクが,性別および年齢により上昇するかを検討。またwarfarinとximelagatranの有効性と安全性を性別ごとに比較。一次エンドポイント:脳卒中(虚血性/出血性)+全身性塞栓イベント(SEE)。二次エンドポイント:急性心筋梗塞(MI),一過性脳虚血発作(TIA),全死亡,大出血,小出血。
デザイン ランダム化,オープン+医師と評価者を単盲検(SPORTIF III),二重盲検(SPORTIF V),intention-to-treat解析(一次エンドポイント,死亡のみ)。本論文はSPORTIF IIISPORTIF Vをあわせた解析。
セッティング SPORTIF III:多施設(259施設)。欧州,オーストラリア,ニュージーランド,アジアの23ヵ国。
SPORTIF V:多施設(409施設)。北米。
期間
対象患者 7329例(男性5072例,女性2257例)。ランダム化前2週以内の心電図で持続性/発作性の非弁膜症性AFが認められ,かつ以下の脳卒中リスク因子を1つ以上有する患者:高血圧,75歳以上,脳卒中/TIA/SEEの既往,左心室機能障害(左室駆出率<40%または症候性うっ血性心不全),65歳以上で冠動脈疾患または糖尿病。
【除外基準】登録前30日以内の脳卒中/TIA/SEE,出血性疾患,通常の抗凝固薬治療を要する疾患,治療可能な疾患により発症したAF(甲状腺機能亢進症など),降圧治療を実施しているにもかかわらず血圧が>180/100mmHg,modified Rankin Score(mRS)>3,30日以内の急性冠動脈疾患,電気的除細動の予定,抗血小板薬の投与(aspirin ≦100mg/日の10日以内投与は可),腎不全(クレアチニン・クリアランス<30mL/分),活動性肝炎または肝酵素が正常値上限の2倍以上に持続的に上昇,妊娠またはその疑い/授乳。
【患者背景】平均年齢は男性69.8±9.0歳,女性73.4±8.0歳(p<0.0001)。
治療法 warfarin(国際標準比[INR]2.0-3.0を維持するよう用量調整)投与群(男性2525例,女性1099例;warfarin群)とximelagatran 36mg,1日2回投与群(男性2547例,女性1158例;ximelagatran群)にランダム化。
warfarin群の平均INRは2.5±0.7で,男性67.8%,女性66.6%が治療域INR2.0-3.0を維持(また男性82.7%,女性81.5%がINR1.8-3.2を維持)。
試験薬以外の併用投与例は,aspirin(男性17% vs女性14%),β遮断薬(48% vs 46%),ACE阻害薬(52% vs 42%),statin(34% vs 27%)。また女性17%には医師の指導のもとエストロゲン補充療法(エストロゲン単投与[経口/皮下投与]およびプロゲステロンとの併用投与[局所療法/プロゲステロン単投与は除外])を実施。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
75歳以上の症例が占める割合は男性33%,女性50%と女性が有意に高値であった(p<0.0001)。AF以外の血栓塞栓のリスク因子を3つ以上有する症例は男性38%,女性43%と女性が有意に高値であった(p<0.0001)。また同リスク因子の平均値は試験期間中に抗凝固薬投与を中断した女性2.54,続行した女性2.21と,抗凝固薬投与中断女性例にて有意に高値であった(p<0.0001)。
一次エンドポイントは女性にて男性に比し有意に高値であった(男性1.44%/年,95%CI 1.18-1.71%/年,女性2.08%/年,95%CI 1.60-2.56%/年,p=0.016)。性別間有意差はximelagatran群において認められたが(男性1.38%/年,女性2.17%/年,p=0.0313),warfarin群においては認められなかった(男性1.51%/年,女性1.98%/年,p=0.2077)。また女性においては75歳以上にて75歳未満に比し有意に高値であった(2.61%/年vs 1.55%/年,p=0.032)。なお一次エンドポイントの内訳は,女性では脳出血4例(うち致死的3例),虚血性脳卒中40例(うち致死的7例),SEE 5例(うち致死的1例),男性では脳出血10例(うち致死的5例),虚血性脳卒中86例(うち致死的8例),SEE 6例(うち致死的1例)であった。死亡は30日以内をカウントした。
MIは女性にて男性に比し低い傾向にあったが,有意差はなかった(男性1.12%/年,女性0.72%/年,p=0.08)。
全死亡は女性にて男性に比し有意に低値であった(男性3.84%/年,女性2.71%/年,p=0.002)。また女性においては75歳以上にて75歳未満に比し有意に高値であった(p<0.001)。
大出血は性別間有意差が認められず(男性2.15%/年,女性2.25%/年,p=0.766),治療群ごとにみても有意差はなかった(ximelagatran群p=0.208,warfarin群p=0.491)。一方,性別ごとの大出血を群間比較すると,男性ではwarfarin群にてximelagatran群に比し高値であったが(2.57%/年vs 1.71%/年,p=0.016),女性では群間差がみられなかった。また女性においては75歳以上と75歳未満で有意差はみられなかった(2.78%/年 vs 1.74%/年,p=0.065)。
全出血(大出血+小出血)は女性にて男性に比し有意に高値で(男性33.91%/年,女性41.29%/年,p<0.001),治療群ごとにみても女性の方が高値であった(warfarin群p<0.0001,ximelagatran群p=0.001)。一方,性別ごとの全出血を治療群間比較すると,男女ともwarfarin群にてximelagatran群に比し高値であった(男性:37.01%/年vs 30.85%/年,p<0.001,女性:44.82%/年 vs 35.48%/年,p<0.001)。また女性においては75歳以上にて75歳未満に比し有意に高値であった(44.73%/年 vs 38.05%/年,p=0.002)。

●有害事象
「評価項目」に表記あり。

文献: Gomberg-Maitland M, et al. Anticoagulation in women with non-valvular atrial fibrillation in the stroke prevention using an oral thrombin inhibitor (SPORTIF) trials. Eur Heart J 2006; 27: 1947-53. pubmed
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