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FIDO Fixed-Dose Heparin
結論 静脈血栓塞栓症患者の早期治療において,未分画heparinの固定用量皮下投与による有効性と安全性は低分子量heparinの同投与とほぼ同じであった。また未分画heparinの投与において現在推奨されているAPTTに応じた用量調整は必須でないことが示唆された。よって未分画heparinの固定用量投与は自宅治療に適していると考えられる。

目的 静脈血栓塞栓症治療における未分画heparin(体重に応じて用量調整後,固定用量を皮下投与)の有効性と安全性を低分子量heparinと比較。有効性の一次エンドポイント:3ヵ月以内の静脈血栓塞栓症再発。安全性の一次エンドポイント:ランダム化後10日以内の大出血。
デザイン ランダム化,オープン,単盲検(評価者のみ)。
セッティング 多施設(6施設)。カナダ,ニュージーランド。
期間 登録期間は1998年9月1日-2004年2月29日。追跡期間は3ヵ月。
対象患者 708例。18歳以上。新規の急性静脈血栓塞栓症(下肢部の深部静脈血栓症[症候性/非症候性],肺血栓塞栓症[症候性のみ])患者。
【除外基準】皮下投与に対する禁忌(過去48時間におけるショックまたは大手術),活動性出血,余命3ヵ月未満,48時間超にわたる静脈血栓塞栓症の治療歴,長期の抗凝固薬の服用,heparinまたはX線造影に対する禁忌,クレアチニン濃度200μmol/L(2.3mg/dL)超,妊娠など。
治療法 未分画heparin投与群(355例)と低分子量heparin投与群(353例)にランダム化(うち有効性の解析対象は345例 vs 352例,安全性の解析対象は348例 vs 352例,「追跡完了率」を参照)。
用量:未分画heparinは初回333U/kg皮下投与後,250U/kgを12時間おきに皮下投与。低分子量heparin(dalteparin,enoxaparin)は初回から100IU/kgを12時間おきに皮下投与。
投与期間:両群とも5日以上とし,連続した2日における国際標準比が2.0以上になるまで投与を継続(平均投与期間は未分画heparin投与群6.3±2.1日,低分子量heparin投与群7.1±2.4日)。
原則として全例にwarfarinを国際標準比2.0-3.0を達成する用量にてheparin投与開始日から3ヵ月以上にわたり併用投与。また全例に病院外での投与を許可。
試験期間中は用量を調整するための抗凝固試験は実施しなかったが,未分画heparin群の197例については治療開始から平均2.8日後にAPTTを測定した。
追跡完了率 有効性の解析にて11例,安全性の解析にて8例が脱落。
【脱落理由】静脈血栓塞栓症の診断保留(3例),診断時に長期抗凝固治療を適用(4例),試験薬の非投与(4例)など。
結果

●評価項目
病院外でのみ投与を行った患者の割合は未分画heparin投与群72%(251/351例),低分子量heparin投与群68%(238/352例)であった。
有効性の一次エンドポイントは未分画heparin投与群13/345例(3.8%,うち肺血栓塞栓症2例,深部静脈血栓症11例),低分子量heparin投与群12/352例(3.4%,うち肺血栓塞栓症4例,深部静脈血栓症8例)と,絶対リスク差は0.4%(95%CI -2.6-3.3%)であった。また未分画heparin投与の低分子量heparin投与に対する非劣性(p=0.002)が認められた。
安全性の一次エンドポイントは未分画heparin投与群4/348例(1.1%),低分子量heparin投与群5/352例(1.4%)と,絶対リスク差は-0.3%(95%CI -2.3-1.7%)であった。
なお1例にて大出血(登録15日後)と静脈血栓塞栓症(登録27日後,warfarin服用中)の両方が発症した。
未分画heparin投与群のAPTT測定例(APTT<60秒:39例,APTT 60-85秒:37例,APTT>85秒:121例)において,有効性の一次エンドポイントはAPTT<60秒で0/39例(0%),APTT≧60秒で5/158例(3.2%)と両者に有意差はなかった(p=0.58)。安全性の一次エンドポイントについても,APTT>85秒で0/121例(0%),APT≦85秒で0/76例(0%)と両者に有意差はなかった(p>0.99)。

●有害事象
死亡は未分画heparin投与群18例(外傷に関連した硬膜下血腫による大出血[登録68日後]1例,癌13例,その他4例),低分子量heparin投与群22例(肺血栓塞栓症3例[うち2例は非致死的静脈血栓塞栓症の診断後に発症],硬膜外血腫による大出血[登録3日後]1例,癌16例,その他2例)が認められた。
低分子量heparin群にて血小板減少症(heparin投与が原因ではないと思われたが早期に投与中止)1例,非致死的脳内出血(登録26日後の転倒による)1例がみられた。

文献: Kearon C, et al. and Fixed-Dose Heparin (FIDO) Investigators. Comparison of fixed-dose weight-adjusted unfractionated heparin and low-molecular-weight heparin for acute treatment of venous thromboembolism. JAMA 2006; 296: 935-42. pubmed
関連トライアル ACE , EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, FRAX.I.S, Home-LITE, Main-LITE, Main-LITE Cancer, Matisse Study, PREVAIL, PROTECT, THRIVE, van Gogh Studies, Wells PS et al
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